出店予定のヨドバシ社長「我々の商売の仕方で」『そごう・西武』の売却決定(2023年8月31日)
大手百貨店の『そごう・西武』の労働組合がストライキを実施し、西武池袋本店は31日、終日全館休業となりました。
店の前では、ビラ配りが行われました。また、組合員ら約300人がデモ行進。「西武池袋本店を守ろう」「池袋の地に百貨店を残そう」と声を上げながら練り歩きました。
親会社の社長は31日朝、こう話しました。
セブン&アイホールディングス・井阪隆一社長:「多くのお客さま、関係者にご迷惑をおかけしております。申し訳ございません。ストが長引かないように、精一杯、収束に努めてまいります」
臨時取締役会では、9月1日付で、そごう・西武をアメリカの投資ファンドに売却することを決議しました。売却額は2200億円程度を軸に調整が進められています。
決議が行われたのは、従業員たちが街頭で訴えているまさにその最中でした。
そごう・西武労働組合の寺岡泰博委員長:「最後の最後まで、ストはやらずに交渉の継続を考えていた。一方的にという話もあり、同時進行というか、こういう日に。きょうで終わりではないので、引き続き、労使交渉については、しっかり向き合ってやっていきたい」
西武池袋本店は、9月1日は、通常営業に戻ります。その後、百貨店事業は、どうなっていくのでしょうか。
西武池袋本店には、ヨドバシカメラが一部のフロアに出店する予定で、その分の雇用が減るのではないかと懸念されています。池袋だけではなく、西武渋谷店、そごう千葉店にもヨドバシの出店が検討されています。
セブン&アイホールディングスの井阪社長は「そごう・西武ブランドは継続する」としたうえで、ヨドバシの出店については、来年以降との見通しを示しました。
セブン&アイホールディングス・井阪隆一社長:「ブランドを守っていただくこと、事業継続していただくこと、雇用を守っていただくこと、成長投資をしていただけるようにすること。このいくつかの要素を条件にして、新オーナーを募りました」
アメリカ投資ファンド『フォートレス・インベストメント・グループ』:「そごう・西武の事業継続を実現することに尽力し、最大限の雇用維持に向け、支援してまいります」
ヨドバシのトップが、カメラの前で取材に答えました。
ヨドバシホールディングス・藤沢昭和社長:「(Q.百貨店文化、デパートらしさを残しながら)それは、我々の商売の仕方で、今まで大阪も秋葉原も、主たる店をお客さんに喜んでいただいている。決して、地元の皆さんに迷惑かけたり、心配するようなことはないと。(Q.デパートらしさを残しながら)いやまぁ、その辺は検討、これから」
専門家は、こんな見立てをしています。
流通アナリスト・中井彰人さん:「そごう・西武の百貨店売場は、どんどん小さくなっていきます。買った方が、そごう・西武をテナントには入れるかもしれないが、百貨店としての体をなさなくなることが発生すると、地方の店舗、今までいろいろな取引先に旗艦店の力で持ちつ持たれつで支えられてきたところがある。こういった関係性は、崩れていくということになると、百貨店としての購買力・商品力が大幅に落ちる」
他の百貨店も、他人事としては見ていません。
バブル期にうなぎ上りだった全国の百貨店の売り上げは、崩壊とともに右肩下がりに。この30年で半減しました。一方、コンビニは右肩上がり。その売上額は、百貨店の倍以上です。
31日のデモには、高島屋、三越伊勢丹、阪急阪神といった同業他社の組合も参加していました。
高島屋労働組合・西嶋秀樹委員長:「我々は、商売上はライバルですが、日常的なつながりがある仲間です。仲間ですので、仲間が困っていたら助ける。やっぱり西武池袋本店は売り上げだったり、あと入店客数でも、全国で3本の指に入る店舗。その店舗で、こういった事態が起きてるということは、百貨店業界全体に与える影響も大きいでしょうし、我々も他人事ではないという意思でまいりました」
三越伊勢丹グループ労働組合・菊池史和委員長:「お客さまの消費の動向や買い物の仕方が変化しているので、当然、商売の仕方がこれまでの仕方がこれまでと同じで良いと思わない。知恵をお互い出し合いながら、会社の垣根を越えて、みんなで変化をしながら動いていこうと、常日ごろ話してきましたけれど、きょうのような連帯につながっているのだと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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