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#shorts 出没情報77件…ヒグマ相次ぐ 「ヘア・トラップ」で行動分析
■“クマの背こすり”習性を利用
人身被害を未然に防ぐために今、クマ対策の切り札として期待されている調査があります。設置したカメラの前に現れたヒグマ。仕掛けた杭に興味を示すと、立ち上がって顔をこすり付けています。さらに、まるでダンスするかのように背中をスリスリ。クマの習性を利用して最先端テクノロジーを駆使する調査、その名も「ヘア・トラップ」。謎に包まれたクマの行動パターンが分析できるという訳とは…。
■「ヘア・トラップ」有刺鉄線
今、自治体などが力を入れている対策がヘア・トラップと呼ばれる調査です。森に仕掛けた杭に近付いてきた親子のヒグマ。すると、背中をこすり付けています。これは「背こすり」と呼ばれ、クマが存在をアピールするために自分のにおいを付けている行為とみられています。この習性を利用したわなです。
札幌市 熊対策調整担当 坂田一人課長:「札幌市の市街地周辺の森林のなかに、ヘア・トラップというヒグマの毛を取るわなを30地点に設置して、そこを通るヒグマが有刺鉄線に毛を絡めていく」
実は、この杭には有刺鉄線が巻かれています。クマが背こすりをすることで有刺鉄線に体の毛が絡まる仕組みです。採取した毛を最先端の技術で解析します。
札幌市 熊対策調整担当 坂田一人課長:「毛根の部分にDNAがある。分析することで、その個体の情報が得られる。調査地点でどれくらいのヒグマが出没していたのか、それぞれ遺伝子の情報が違う。ヒグマがどのエリアを行動範囲にしているのか見えてくる」
■ヒグマ相次ぐ出没情報77件
被害軽減の鍵は野生のクマの行動範囲を知ること。11月10日、番組の取材班はヒグマの目撃が相次ぐ旭川市に向かいました。
今年度、ヒグマの出没情報は77件。市街地のすぐ近くで目撃が相次いでいます。ただ、この町では統計を始めた5年前から現在まで、クマによる人身被害は出ていません。市は被害を未然に防ぐ対策の一つとして、市街地に接する山に複数のヘア・トラップを仕掛けています。野生のクマの毛を採取し、DNA鑑定を行うことでクマの行動を分析しています。
例えば、7カ所のヘア・トラップでヒグマの毛が取れた場合、全部違う個体なら7頭です。DNA鑑定の結果、個体の区別ができれば、実は2頭のクマだったということが分かることがあるのです。クマの行動範囲を知る手掛かりになります。
旭川市 環境総務課 中川雅司課長補佐:「出没現場から糞(ふん)や毛を採取することも並行してやっている」
クマの目撃情報が20件以上もあった地域では多くのクマが生息していると思われていましたが、DNAの分析により、クマの数が想定よりも少ないとみられることが分かりました。
被害軽減に向けて期待されるヘア・トラップ。現在、自治体や大学の研究室がそれぞれ行っているなか、担当者は今後の課題を指摘します。
旭川市 環境総務課 中川雅司課長補佐:「野生動物は行政区域関係なしに行動する。旭川市を出てしまうと、どういう範囲で動いているのか分からなくなる。個体の識別や生息状況の調査は、いち自治体が単独でやるよりも広域的にやらないと意味がない。究極の理想は全道単位でやれれば」/a>
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