ヒグマ“激やせ”緊迫の北海道 記録的不漁 市街地に出没相次ぐ(2023年11月2日)
かつてない異変が起きているのが「北海道」です。番組では、痩せこけたヒグマの映像を入手しました。北の大地で一体、何が起きているのでしょうか。
■写真家「初めて見た 驚きと悲しみ」
2日も北の大地にクマが出没。観光客なども通る国道に現れたのは親子のヒグマです。
羅臼町役場 産業創生課 田澤道広主任:「親子が道路際に」「(Q.どのくらいの大きさ?)親は100キロぐらい」「全然、道路から出てくれなくて苦労した」
世界遺産に登録されている北海道の知床半島。海外沿いを走る船の上からの映像です。北海道在住の写真家がカメラを向けた先には海岸に現れた黒い生物の姿が。ズームして見ると、岩場の水際を歩きながら何かを探しているように見えます。ガリガリに痩せこけた姿。実はヒグマです。
写真家 齋藤一馬さん:「あのレベルの痩せ細ったクマは初めて見たので、本当に餌(えさ)がないんだなと驚いた。これから冬眠に向けて蓄える時期だが、無事に冬を越せるのかなと悲しくな、あの姿を見ると」
急増する都市型クマの実態に迫ります。
■カラフトマスの遡上が“激減”
毎日のようにクマが市街地に出没している北海道東部の羅臼町です。世界遺産に登録されている知床半島にはヒグマは400頭から500頭、生息しているといわれています。
冬眠に備えて秋は餌をたくさん食べて栄養を蓄える時期です。ところが、今年は痩せ細ったクマの目撃が相次いでいます。ヒグマの写真を知床半島でこの秋に撮影したのは北海道在住の写真家・齋藤一馬さんです。
写真家 齋藤一馬さん:「船の上からヒグマを撮影するツアーに参加した」
山から海岸に下りてきたクマを観察することができます。
写真家 齋藤一馬さん:「一番最初に出てきたのは海岸で昆布をあさっているヒグマ。大体ヒグマのとる餌をカラスが横取りするシーンがよくある。サケが遡上(そじょう)しているとヒグマがサケをとって、落としたサケをカラスが狙う」
3年前の9月に撮影された映像です。知床半島の海を泳ぐヒグマ。口にくわえたのは、オホーツク海など北の海に生息するカラフトマスです。
秋の時期、カラフトマスは産卵のため海から川を遡上してきます。ヒグマは遡上してくるカラフトマスやサケを狙い、冬眠に向けて栄養を蓄えているのです。
ところが、今年の秋は様子が違います。ヒグマが川の水面をのぞいていますが…。
写真家 齋藤一馬さん:「サケがそもそもいなかったのでずっと探していた。サケが遡上していないから他の何か打ちあがった魚とか甲殻類とか探していたんじゃないかと。あまり餌は見つけられていない様子だった」
海岸には、ガリガリに痩せ細ったヒグマの姿も…。
写真家 齋藤一馬さん:「今まで見てきた太ったヒグマの方が活気があるイメージだが、あそこまで痩せちゃってると表情からも悲しい感じが伝わってきた。痩せて肉がないので、むしろ爪はすごくはっきり見えた」
実はクマの貴重なタンパク源となっているサケやカラフトマス。ただ、北海道では今年、漁獲量が激減しています。
羅臼漁業協同組合 竹内勉参事補:「今年は全く駄目。皆無に近いくらい。近年カラフトマスは本当に取れなくなった」「(Q.少ない理由は?)地球温暖化による海水温の上昇が一番大きいと思う」
カラフトマスは、これまで豊漁と不漁の年が交互になっていましたが、この3年は不漁続きで今年は過去最低の記録に。
■記録的不漁 市街地に出没 相次ぐ
酪農学園大学 佐藤喜和教授:「冬眠明け後も春から夏にかけて、この秋に蓄えたエネルギーで賄っているところがある。人の生活圏まで出てしまった結果、駆除も多く行われている」
2日、親子のヒグマが国立公園を通る国道に出没。町の職員が対応に追われています。羅臼町では今年、ヒグマの目撃情報が500件を超え、すでに過去最多を記録しています。
羅臼町役場 産業創生課 田澤道広主任:「若い2、3歳のクマが非常に多い。親とはぐれたのか親が死んだのか、ちょろちょろしている状況がいくつもあった」
ガソリンスタンド店員:「フェンスの上、普通に歩道にいるとたまに歩いている。知床峠もそうだが、街中で普通に道路に座ってたりする。山に餌がないのか、餌を探しに来るクマもいるからおっかない」
羅臼町では電気柵を設置するなど、ヒグマが町へ近付かないよう対策をしています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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