イスラエル「過激派の誤射」ハマス「犯罪を転嫁」ガザ病院爆発“500人死亡”双方否定(2023年10月18日)
ガザ地区北部にある病院で17日、爆発が起きました。500人が死亡したとも伝えられています。
一夜明けた、アル・アハリ病院。多くの車が黒焦げになって大破し、なかには爆風の影響なのか、ひっくり返ったものもあります。芝生の上には、避難者が身を寄せていた痕跡もみられます。
爆発が起きたのは、午後6時59分。その後、広がったのは、地獄のような光景です。ガザ当局は、死者が約500人に上ると発表。その後、ハマスが声明を出しました。
ハマスの声明:「500人が犠牲になった。シオニスト(イスラエル政府)による大虐殺だ」
名指しされたイスラエル側も、即座に反論しました。
ネタニヤフ首相の声明:「全世界が知るべきだ。ガザの病院を攻撃したのは、ガザの野蛮なテロリストたちであり、イスラエル国防軍ではない」
現場は混乱の極みにあり、正確な死者数は出ていません。仮に500人という数が本当であれば、最悪レベルの被害です。ただ、それほどの被害が起きてもおかしくないという状況が、この病院にはありました。ガザ唯一のキリスト教系の病院として設立され、この地で100年以上の歴史があります。宗派に関係なく、どんな人も受け入れることを信条にしてきた病院です。イスラエルの空爆が始まってから2週間近く、避難住民の受け入れ先にもなっていて、患者と合わせて1000人以上が身を寄せていたとされています。
当時病院にいた医師:「病院には死者と負傷者がいっぱいで、助けて!助けて!と大勢が叫んでいました。一瞬にして病院内は、負傷者や泣き叫ぶ人でいっぱいになりました。助けようとしても、医療従事者が少なく、助からない患者もいました」
この悲劇の原因は誰にあるのか。自分たちの攻撃ではないとする、イスラエル軍は会見を開きました。
イスラエル軍 ハガリ報道官:「イスラエル国防軍は事後確認の結果、アル・アハリ病院への攻撃が『イスラム聖戦』によるものと結論付けました。病院での爆発は『イスラム聖戦』のロケット弾の“誤射”によるものです」
出てきたのは、イスラエルでもハマスでもない、『イスラム聖戦』という別のイスラム過激派組織の名です。ガザを本拠地に活動する『イスラム聖戦』。ハマスと同様、イランから支援を受けていて、ハマスとは共闘関係にあります。この10日間は、イスラエルへの砲撃を繰り返していて、事実上“ハマスの砲撃部門”のような立ち位置にあると言われています。
“イスラム聖戦の誤射である”根拠として、イスラエル軍はある映像を公開しました。撮影されたのは病院で爆発が起きたのと同時刻。ロケット弾とされる光が、空中で小さな爆発を起こします。すると直後、別の場所で大きな爆発が起きます。ここが、アル・アハリ病院だとされています。
この映像を見た、アメリカのシンクタンク『ハドソン研究所』でミサイル技術を専門とする、村野将研究員はこう話します。
村野研究員:「これは恐らく、空中でバラバラになったロケットのうち、モーター部分が先に地上に落下して小さな爆発を起こして、よりたくさん火薬を積んでいる弾頭部分が、病院とされる所に落下して、大きな爆発が起きている。イスラエル側の説明、つまり『ガザ側から発射したロケットが落下した』ということに特段、不自然な点はないように思う」
爆発の規模については、こう分析しています。
村野研究員:「ガザ側から発射されているロケットは、小型のものだけではなくて、イランが設計・技術供与したといわれるミサイル・ロケットのように、弾頭重量が300~400キロに達する大型のものも、過去には発射されている」
イスラエル軍は、イスラム聖戦の誤射だとする根拠を他にも示しています。傍受したハマス隊員同士のものとされる音声です。
ハマス戦闘員1:「イスラム聖戦のミサイルといわれている」
ハマス戦闘員2:「我々からってこと?」
ハマス戦闘員1:「そうらしい。彼らは病院の裏から発射したそうだ」
ハマス戦闘員2:「そうなのか?」
ハマス戦闘員1:「病院の裏の基地から発射しようとしたが、失敗して病院に落下してしまったようだ」
ハマス戦闘員2:「病院の裏に墓地があるの?」
ハマス戦闘員1:「マーマダーニ広場の近くに」
事実、アル・アハリ病院の近くには、墓地があることが確認されています。一方のハマスは、こう主張しています。
ハマスの声明:「イスラム聖戦は『占領軍の主張は虚偽だ』と言って否定している。(イスラエルは)パレスチナ人に対する犯罪を転嫁し、アメリカの支援を受けて、パレスチナ人に対する侵略を続けている」
ハマスの最高指導者、イスマイル・ハニヤ氏は、こんな呼び掛けをしています。緊張悪化は避けられません。
イスマイル・ハニヤ氏:「アラブおよびイスラムの国々の国民全体に、虐殺・蛮行・犯罪への抗議のため、今すぐに立ち上がるよう呼び掛ける。一つになって立ち上がるのだ」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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