【報ステ】「抵抗あるのみ」高まる“反イスラエル感情”各国の対応・地上侵攻は?(2023年10月18日)

【報ステ】「抵抗あるのみ」高まる“反イスラエル感情”各国の対応・地上侵攻は?(2023年10月18日)

【報ステ】「抵抗あるのみ」高まる“反イスラエル感情”各国の対応・地上侵攻は?(2023年10月18日)

500人が死亡したとされる今回の病院爆発。イスラエルやアメリカを非難する抗議デモが世界で広がっています。

ヨルダンの首都アンマン。イスラエル大使館の前には抗議する人たちが集まっていました。レバノンでは、アメリカ大使館前に人々が集まり、声を上げていました。そこへ治安部隊が放水。催涙ガスも使われました。
デモ参加者:「我々は魂と血をガザに捧げる」
デモ参加者:「もはや交渉も会合もない。あるのは抵抗だけだ。パレスチナにとっての解決は抵抗以外にはない」

抗議の声は、地方の街でも。
デモ参加者:「我らは聖なる戦いをするのだ。イスラエルの攻撃に対して、アメリカの攻撃に対して」

イスラム諸国各地で、同じような光景が見られました。

イスラエルは病院への攻撃を否定していて、真相はまだわかっていません。ただ、現地では、こう伝えられています。
中東メディア『アルジャジーラ』:「イスラエル占領軍が、病院爆撃という新たな虐殺。500人以上の殉教者」
ヨルダン『ドストール紙』:「イスラエルが病院爆撃によって行った醜い虐殺」

今回の病院爆発は別としても、これまでイスラエルの攻撃によって、ガザの医療機関が犠牲になってきたことは事実です。
WHOガザ地区担当・ピーパーコーン博士:「ガザでは、医療従事者15人が命を落とし、27人が負傷し、医療施設24カ所が影響ないし、損傷を受けています。アル・アハリ病院の惨事が起きる前の数字です」

キャンセルとなったヨルダン訪問でバイデン大統領はアブドラ国王や、パレスチナ自治政府のアッバス議長らと会談の予定でした。
パレスチナ自治政府・アッバス議長:「今夜、起きたことは大きな悲劇であり、醜い戦争による虐殺です。沈黙や、責任を追及せず
、不問にすることはできない」
ヨルダン・アブドラ国王:「この凶悪な戦争犯罪に沈黙することはできない。流血の継続は人類にとって恥となる」

ネタニヤフ首相と会談したバイデン大統領です。
アメリカ・バイデン大統領:「ガザの病院を襲った爆発に深い悲しみと憤りを感じています。私が見た限り“もう一方”の集団の仕業に見える。あなたではない。ただし、当事者が多く、何とも言えない。あなたは1人ではない、孤独ではない。イスラエルは国民を守ろうとしている。アメリカはその後ろ盾であり続ける」

※エルサレムにいる伊従啓記者に聞きます。

(Q.多くの死傷者を出したガザの病院への攻撃、イスラエル政府はどう対応しているのでしょうか)
伊従記者:17日夜からの動きをみていると、かなり慎重に、事実確認を進めたという印象です。軍の会見が18日にありましたが、この中で、持っているすべての証拠を集め、何度も検証を重ねたという話をしていました。会見自体は、病院攻撃から13時間ほど経ってから行われましたが、報道官は、このかかった時間こそが、信頼性の証だということを強調していました。

(Q.イスラエルの人々はどう受け止めていますか)
伊従記者:エルサレムの目抜き通りですが、道行く人に話を聞きました。中には「どちらの攻撃だったのか、まだ半信半疑だ」という人もいましたが、ほとんどの人が「軍の証拠を見たか。疑いの入る余地がない」「ハマスはいつもに嘘のニュースを流すから」など、病院への攻撃はイスラエル側によるものではないと考えています。周辺国で、反イスラエル感情が高まっている点についても、「真実、情報の正確さは私たちの側にある」「敵対心が高いのは、今に始まったことではない」と意に介した様子はありませんでした。ただ、その一方で、“偽の情報”が中東地域や世界を広がっていくことで、今後の地上侵攻に影響が出てくるのではないか、その点を心配する声がありました。

※ワシントンにいる梶川幸司支局長に聞きます。

(Q.病院での爆発について、バイデン大統領はネタニヤフ首相との会談で、どのように対応しましたか)
梶川支局長:バイデン大統領は首脳会談の冒頭で、病院の爆発はイスラエルではない、他の勢力によるものとの認識を示し、イスラエル側の見解を支持しました。しかし、この事態を受けて、中東全域で反イスラエル感情が盛り上がり、ヨルダンで予定されていた、アラブ指導者との対面での会談を延期せざるを得なくなったことは、大きな誤算だったと言えます。そもそも、バイデン大統領にとって今回の訪問は、大きなリスクを伴うものでした。民間人の犠牲が想定されるなか、イスラエルだけに加担するような姿勢を見せることは、国内外から批判を招きかねないからです。このため、バイデン大統領は、人道支援の確保を強く求めることで、バランスを取るつもりでしたが、改めて事態の難しさに直面した形です。

(Q.今後、アメリカはどう事態を収拾していく考えですか)
梶川支局長:アメリカが今、最も警戒しているのは、中東全域で反イスラエル感情が高まり、この混乱に乗じて『ヒズボラ』などの親イラン勢力が加わって、紛争が拡大することです。ホワイトハウス高官は会談前に、バイデン大統領はネタニヤフ首相に『厳しい質問をする』と述べています。会談では、ハマスへの報復は容認するものの、アメリカが考えるレッドライン(超えてはならない一線)を非公式に伝え、紛争が拡大することは望まないという、アメリカの意思を明確に伝えたものとみられます。ただ、地上侵攻が始まれば、その終結がどうなるのか見通せない状況のなかで、バイデン政権としては今後、難しい対応を迫られることになります。

◆爆発がどちらの勢力による物なのか主張は食い違いもとはいえ、民間人への被害の拡大は、アラブ諸国を中心にイスラエルへの反発を強めています。この状況は、イスラエルとハマスの戦闘にどう影響を与えるのでしょうか。

東京大学・中東地域研究センターの鈴木啓之特任准教授は、「イスラエル側にとって今回の爆発は、パレスチナ側によるものとしている以上、地上侵攻をやめる理由にはならない。イスラエルにとっては、まだハマスに十分に打撃を与えたとはいえない。地上侵攻をする場合、民間人への被害も、それに伴う国際的な批判も覚悟のうえなので、作戦遂行に強い影響はない」と分析します。一方、ハマス側については「イスラエルの攻撃だとして対決姿勢を新たにしている。アラブ諸国のイスラエル軍事侵攻への拒否感は高まっていて、仲裁や対話が難しくなってきている。ハマスとイスラエルの戦闘状態は、今後も厳しさが続く」と話します。

※イスラエルと国境を接するヨルダンにいる、大平一郎記者に聞きます。

(Q.ヨルダンの今の状況はどうなっていますか)
大平記者:ヨルダンの人口の約7割がパレスチナ系の住民で、反イスラエル感情の高まりを実感します。私がいる首都アンマンの商店街では、ほとんどのお店が閉まっています。病院での爆発を受けて3日間の喪に服すということです。道行く人に話を聞くと、イスラエルの説明に納得する人はほとんどいません。ガザ地区内の武装組織による誤爆ではなく、イスラエルの空爆だと信じる人が大半です。その理由については、『これまでも市民の犠牲が出るたびに、イスラエルは同様の説明をしてきたからだ』と主張する人もいました。

(Q.今後、イスラエルの地上侵攻が行われた場合、ますます反発が高まることが予想されます。現地にいてどう感じますか)
大平記者:まず、ヨルダンなどアラブ諸国の国内での混乱が心配されます。アンマンにあるアメリカ大使館とイスラエル大使館の前で、大規模なデモが行われているということです。18日未明も、イスラエルの大使館前でデモが起き、一部が暴徒化して火をつける騒ぎとなりました。先鋭化の兆しも見えています。こういったデモはヨルダンだけではなく、トルコやイラク、レバノンでも起きていて、拡大の様相を呈しています。このような世論に押される形で、アラブ諸国やトルコの政府がイスラエルとのチャンネルを閉じてしまえば、分断が広がることになり、解決の道筋が一層見えにくくなることになりかねません。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
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