ゴミ拾いは宝探し…日本で唯一“水中ゴミ拾い”専門ダイバー奮闘 海を「楽しく」守る(2023年9月22日)

ゴミ拾いは宝探し…日本で唯一“水中ゴミ拾い”専門ダイバー奮闘 海を「楽しく」守る(2023年9月22日)

ゴミ拾いは宝探し…日本で唯一“水中ゴミ拾い”専門ダイバー奮闘 海を「楽しく」守る(2023年9月22日)

 きれいな海を取り戻すため、日本で唯一の“水中ゴミ拾いダイバー”として活動している女性。考え方1つでゴミ拾いへの気持ちが変わる、そんな彼女の取り組みを追った。

■水中ゴミ7~8割 街から発生

 美しい砂浜に透き通った青い海が広がる沖縄。その海の中を舞台に、日本で唯一の取り組みを始めた女性がいる。

 “水中ゴミ拾いダイバー” 東真七水さん(30):「よろしくお願いします。東です」

 去年5月、沖縄県那覇市に水中ゴミ拾い専門のダイビングショップ「Dr.blue」を立ち上げた東さん。

 東さん:「きょうは愛知から来たお客様で、一緒に潜るのは3回目か4回目ぐらい」

 東さんは、奈良県出身。会社員をしていたが、ゴミ拾いスキューバダイビングをするため3年前に沖縄に移住している。

 東さん:「いっぱい拾ってきま~す」
 愛知県からの参加者:「頑張ってきます」

 目の前に広がるのは、サンゴ礁や色鮮やかな魚たちだ。雄大な海を満喫することおよそ50分…。

 東さん:「ゴミです。いっぱい拾ってきました」

 この日2人で拾ったゴミは、ペットボトルに食品の包装用の袋、ゴルフボール、アルミ缶など合わせておよそ1キロ。拾ったゴミを細かく種類別にチェックする。

 東さん:「これは、機関にゴミの数とか種類を報告するために、データとっています」

 世界で2800万人を超えるダイバーを認定している、教育機関のPADIに報告。こうしたデータは世界中から集められ、研究者や環境保護団体などに提供され、海洋のゴミ問題の分析や対策のために活用されるという。

 東さん:「ビーチとかで見えているゴミって、実は氷山の一角で、もっと多くのゴミが、海の底に沈んでいたりします」

 海にあるゴミの7割から8割は、街から発生し、川や水路を流れて海へ至るという。

 プラスチックゴミだけをとっても、世界の海に1億5000万トン以上が存在しているといわれ、毎年およそ800万トンが、新たに流出していると推定されている。

 東さんは、これまでにおよそ150人と沖縄の海に潜り、ゴミ拾いをしてきたという。

 東さん:「たくさんのゴミがあるんだけど、拾える人はごくごく一部で、それがダイバーだけ。その情報を発信することが、環境問題に関心のない方にも、もしかしたらすごく響くきっかけになるのではないかなと思っています」

 東さんは、水中ゴミ拾いの様子をSNSを通じ発信を続けている。さらに、拾ったゴミを使い新たな試みをスタートさせている。

 東さん:「“530(ゴミゼロ)マグネット”全部、釣り系、ルアーで作りました」

■沖縄移住「ゴミ拾い、めっちゃおもしろい」

 沖縄で水中ゴミ拾い専門のダイビングショップを運営する東さん。なぜ「水中のゴミ拾い」を始めたのか?

 東さん:「教科書とかで、環境問題って知っていたんですね。この海が汚れていくこととか、壊れていくことってものすごく嫌だなって。スキューバダイビングを通してすごく思いました」

 大手化粧品会社に勤めていた東さん。25歳の時に友人と沖縄を訪れ、初めてダイビングをした。海の美しさに魅せられ、各地で潜るなかで“ある違和感”が生まれたという。

 東さん:「やっぱりゴミがたまるとこも、沖縄ですらあるんやって。実際に目の当たりにすることで、何とか変えていきたい、自分にできることをやっていきたい」

 その思いを叶えるため2020年に沖縄へ移住。当時はボランティアで、海のゴミ拾いをしていたという。

 すると、このような発見があった。

 東さん:「なんかゴミ拾いって、めっちゃおもしろいなって。あしたはどんなゴミが落ちているんやろうって。今までのダイビングとは違った魅力を持った、全く別のアクティビティーになる」

 去年5月30日「ゴミゼロの日」に、水中ゴミ拾い専門の「Dr.blue」をオープンした。これまでに300キロ以上のゴミを拾ってきた。

 東さんの自宅では…。

 東さん:「きのうのゴミと、その前に拾って洗っていなかったゴミを入れてました」

 珍しいゴミは、洗浄し保存しているという。

 東さん:「これが多分レアかな。アメリカのものみたいで、50年から60年前のらしい。50年経っても(状態が)いいというか、残っているじゃないですか。姿、形が。あれだけ自然環境の中に残り続けて…」

■ゴミを“アップサイクル”「ゴミ拾いと共存」

 東さんは、拾ったゴミを使い、新たな試みを始めている。

 東さん:「拾ったゴミのアップサイクルをさせていただいている。『jiyukimama』さんで」

 こちらのアトリエでは、海のプラスチックゴミなどを使って、アクセサリーや小物の製作・販売を行っている。

 jiyukimama 眞榮喜南さん(39):「ゴミへの思いというのは、一緒なんですよ」

 東さん:「大量のゴミが海の中にはあるなかで、回収できるのは、ほんの一部。その貴重なゴミを使ったアップサイクル製品って、すごくメッセージを持ったものになる。ずっと思っていたんです」

 東さんは、ゴミをキーホルダーや小物などにアップサイクルし、新たな価値を持たせようという活動をスタートさせた。

 彼女が今、思い描く未来とは…。

 東さん:「“海を守る”というテーマよりは“楽しいから一緒にやろう”というテーマで、活動を今後も広げていきたいと思っています」

■東さんが思い描く「未来図」

 東さんが運営するダイビングショップには、ゴミ拾いを体験するコースがあり、一定の資格が必要だが、全国から人が集まるそうだ。

 そんな東さんに思い描く「未来図」を描いてもらうと、絵の真ん中には、東さんが実際に水中で拾った空き缶があり、ゴミを見てネガティブな気持ちになるのではなく「あった!」と「宝探し」のように水中ゴミ拾いに楽しく取り組む気持ちを大切にしたいと思い、キラキラさせているそうだ。

 そしてゴミを囲うように指のハートマークを描いたのは、「ゴミをなくす社会」ではなく、皆さんの手でゴミ拾いを習慣化し「ゴミ拾いと共存する社会」にしたいという思いを込めているという。

 そして、「1人の100歩より、100人の1歩」になるよう活動を続けていくとのことだ。

(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年9月22日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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