「ヤドカリ食堂」で気軽に飲食店営業 “脱サラシェフ”は…新婚妻に支えられ夢追う【Jの追跡】(2023年6月10日)

「ヤドカリ食堂」で気軽に飲食店営業 “脱サラシェフ”は…新婚妻に支えられ夢追う【Jの追跡】(2023年6月10日)

「ヤドカリ食堂」で気軽に飲食店営業 “脱サラシェフ”は…新婚妻に支えられ夢追う【Jの追跡】(2023年6月10日)

飲食業の経験ゼロでもオーケー!誰もが備え付けの設備を使い、気軽に飲食店を営業できる「ヤドカリ食堂」。

亡き姉との夢をかなえるため挑戦する“主婦シェフ”。新婚の妻に支えられながら夢を追う“脱サラシェフ”。様々な思いで腕をふるう“ヤドカリシェフ”の挑戦を追跡しました。

■飲食業の経験ゼロで“シェフ”に…こだわりは野菜

千葉県木更津市の住宅街にある「寛傳知(かんでんち)」は、古民家を改装した“レンタル食堂”です。

利用料は、平日4000円。備え付けの設備を使って、誰でも飲食店を営業することができます。

主婦の近藤桂子さん(55)は、これまで飲食業の経験はゼロ。夫と息子の3人家族を支える主婦でしたが、3カ月前から月に一度、この食堂でシェフになりました。

近藤さん:「メチャクチャ緊張しています。大人になって、そういう緊張感ってあまりない」

この日は、メンチカツをメインに、サラダや副菜、手作りデザートも付いた全7品のおふくろの味です。

サラダやみそ汁の具材に使っている野菜には、こだわりがあります。実は、近藤さん自ら家庭菜園で育て、前日に収穫したものばかりなのです。

近藤さん:「買ったモノを出すよりは、やっぱり自分で作ったモノを出したほうがおいしいし。それこそ収入にもつながるし、赤字ばかりじゃ、何のためにやっているのかとなるので」

ふたを開けてみれば、この日に用意した15食分は、オープン早々1時間でなくなる売れ行きでした。

利用客:「自分のところの畑で採れている野菜だから甘い」「新鮮なので、おいしい」

近藤さんは、積極的にお客さんに意見を求めます。

利用客:「各テーブルにお品書きを置いたほうが良い。これなんだっけ、あれなんだっけと知りながら食べるのが楽しいから」「置いてあげたほうが親切だと思う」

近藤さん:「本当ですね。ありがとうございます」「毎回ちょっとずつ、色んな人の意見を聞いて」

■ヤドカリシェフは…亡き姉の思い継ぐ“夢の舞台”

お客さんの声を今後の店づくりに生かし、いつかは自分の店を持つ夢があるという近藤さん。実は、そこには“亡き姉への思い”がありました。

近藤さん:「カフェを開くのが夢だったので、一緒にできたらいいなと」

料理上手な2つ年上の姉・恭子さんと、コロナ禍が落ち着いたら一緒にカフェを開こうと話していたという近藤さん。しかし、恭子さんはがんが見つかり、2年前に56歳の若さで帰らぬ人になりました。

近藤さん:「何もやる気が起きず、ただ本当に日にちが過ぎていく」

失意の中にいた近藤さんを救ったのも、やっぱり料理。見かねた友人の後押しで“ヤドカリシェフ”を始め、やっと前を向くことができたといいます。

夫・喜明さん(60):「明るくなりましたよね。色んな面で、サポートしていければと」

息子・悠人さん(15):「おいしいです。とてもカワイイです」

近藤さん:「カワイイ関係ないよ」

悠人さん:「おいしい、とてもおいしい」

近藤さんにとって、ここは亡き姉の思いを継ぐ夢の舞台です。

近藤さん:「姉の思いが、ちょっと形になって。気持ちは、一緒にいてくれると思う」

■脱サラシェフ 勝負メニューは「厚切りカツサンド」

この日も、ヤドカリ食堂で新たな挑戦に臨んでいるシェフがいました。

国重利規さん(31)は脱サラして、4月にデビューしたばかりの新米“ヤドカリシェフ”です。

国重さん:「サラリーマンで営業をやっていて、コロナとか始まって。仕事のやり方とか、自分の価値観を見つめ直した結果、自分で会社を起こしたいと思って」

コロナ禍で人生観が変わり、好きなことに挑戦したいと思い立ったという国重さん。勝負のメニューは、なんと厚さ5センチ、総重量は300グラム以上の“厚切りカツサンド”です。お値段は1000円(※取材日の値段)だといいますが…。

国重さん:「30個以上売らないと、赤字ですね」

国重さんには、なんとしても赤字を出すわけにはいかない理由がありました。

実は、国重さんは去年、6年の交際を経て、1つ年上の福子さん(32)と結婚したばかりなのです。

サラリーマン生活を投げうった夫の決断に、不安はなかったのでしょうか?

妻・福子さん:「前と比べたら収入は少ないとは思うんですが、その分、未来に投資していると思っていて。今のところは、大丈夫です」

現在は、事務職をしている福子さんの収入で家計を支えているといいます。そんな妻のためにも、赤字だけは避けたいところです。

国重さん:「こんにちは。カツサンドを今販売しています」

利用客:「楽しみに(来ました)」

国重さん:「本当ですか!?ありがとうございます。中で食べられますよ」

SNSで宣伝した効果もあったのか、お客さんが次々と来店します。

利用客:「ビッグ!ホントに分厚い」「画像で見ていて、コレは絶対食べてみないと」

見た目のインパクトに、思わずカメラを構えるお客さんが続出。「SNS映えする厚切りカツは、きっと話題になる!」という国重さんの狙い通りです。

もちろん味にも自信ありです。

利用客:「ジューシーでおいしい」「あっさりしているので、食べやすい。分厚いので、かみごたえがあってそこもいい」

果たして、気になる採算ラインの30個は、達成できたのでしょうか?

国重さん:「きょうは50個完売しました」「(Q.良かったですね)なんとかなりました。利益だと、2万円ぐらいじゃないかと」

妻の期待に応えるためにも、さらなる飛躍を誓います。

国重さん:「今(妻に)支えてもらっているので、将来は間違いなく恩返しをしたいと思います」

■フランス人シェフ 一流店の味を日本の食材でアレンジ

“ヤドカリ食堂”を挑戦の場に選ぶのは、日本人ばかりではありません。

準備をしていたのは、フランス人のオリヴィエさん(31)。「食の都」パリの有名レストランで腕を振るっていたシェフ歴10年、押しも押されもせぬ料理人です。

オリヴィエさん:「初めて日本で料理の腕を試す僕にとって、日本のお客さんと接する第一歩を踏み出せるとてもユニークな場所だよ」

オリヴィエさんが、フランスで出会った妻・菜都子さん(38)の実家がある木更津市に移り住んだのは3カ月前。この「ヤドカリ食堂」の存在を知り、すぐに挑戦してみたくなったのだとか。

妻・菜都子さん:「ものすごく時間かかります。フランス料理は、特にソースが命なんです」

準備時間の大半をソース作りだけに費やしました。

一流シェフの料理を格安で味わえると聞きつけ、店内には大勢のお客さんがいました。

フランス料理に、日本の食材や調理法を取り入れた創作フレンチ。キャベツのミルフィーユには、梅のピューレを。甘酒と味噌に漬け込んでから蒸し焼きにしたスズキは、あおさを加えたオランデーズソースで頂きます。

利用客:「想像を絶する」「おいしいよね」「ソースが決め手かな」

肩肘を張らず、お箸で頂ける“和風フレンチ”は大好評です。

利用客:「ディッシュしちゃった」

日本の食材や調理法の奥深さに引かれ、来日したというオリヴィエさん。また一つ、魅力を見つけたといいます。

オリヴィエさん:「誰もが料理を提供できる食堂ってすごいよ。主婦でも、配管工でも、宇宙飛行士でも、料理への愛情を表現できるなんて、アイデアが素晴らしい。誰もが、感動を提供できる」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

ANNnewsCHカテゴリの最新記事