証券トップに聞いてみた 大和証券・中田社長(2023年1月4日)

証券トップに聞いてみた 大和証券・中田社長(2023年1月4日)

証券トップに聞いてみた 大和証券・中田社長(2023年1月4日)

■ことしの日経平均は強気!?の「3万3000円」を予想
 (Q.今年の景気と株価の見通しは?)
 ロシア・ウクライナ情勢、インフレ含め大変不安定な環境でのスタートになっている。そういうなかでも、世界経済全体がプラス2%後半ぐらいの成長率を見込んでいるし、日本はトータルではプラスの1.6%ぐらいの成長と言われている。これは実はG7のなかでも、一番成長率が高い非常に不安定な状況でスタートしているが、景気全体としては緩やかに成長していくと想定していく。そういうなかで株価を語るというのは企業業績がポイントになるが、実は企業業績自体はこういうなかでも全体としては非常にいい今年度は日本の上場企業は過去最高益更新の見込み、昨年度に引き続いて私どものシンクタンクは来年度もこういう環境のなかでも、ほぼほぼ今年度並みの過去最高の業績を上げることができるとみている。そうすると株価は企業の評価なので、今現在、企業の利益に対してだいたい12倍強で買われているところが過去10年間、平均的にはだいたい14から15倍で買われているので、仮に14倍まで買われると、来年度の予想利益に対して、3万3000円という数字が出てくるきょう(日経平均株価は)300円強下げてスタートして2万6000円割っている状況ですが、ロシアウクライナ情勢はじめインフレ状況、その他もろもろの曇りが、霧が晴れてくれれば14倍まで買われて3万3000円になる可能性は十分にあるとみている。

■株式相場は「曇りのち晴れ」一時的な土砂降りも…
 (Q.今年の株式相場、天気予報で言うと?)
 天気予報に表すのは大変難しいが、非常に荒れた天候状態と想定している。『荒れた』というのは、曇りもあれば土砂降りもあれば晴れ間もあると、そういう激しい天候状態晴れのち曇りと言いたいところなんですけど、実は色んな昨年からの問題がそのまま引きずっているので、曇りからスタートかなと考えている。前半は曇りのなかで一時的な土砂降りもあるが、後半にかけてその辺の不透明要因が少しクリアになってくれば、晴れ間も見えてくると思っているのでベースは曇りのち晴れと考えています。

■世界同時不況の懸念…プラス成長で乗り切れるか
 (Q.今年の経済見通し、世界同時不況との声も、どう見込む?)
 昨年10月にIMFが世界経済見通しを発表したが、世界全体ではプラス2.7%成長。リセッションは2四半期連続でマイナス成長の場合、景気後退とみなされるので、そういう意味では欧米も低成長ではあるが、アメリカはプラス1%、日本はプラス1.6%、ヨーロッパ全体ではプラス0.5%という数字ですので、いわゆる景気後退には該当しないと考えている。確かに景気後退懸念もくすぶっているが、なんとか世界全体が今年は低成長ではあるが、景気後退には陥らずにプラス成長で乗り切れるんじゃないかなと思っています。

■去年円安、ことしは円高、「為替は安定することが重要」
 (Q.円高について)
 今の水準は150円を見たから円高と映っているのかもしれないが、昨年125円を過ぎてから150円まではかなり一気に急激な円安に振れすぎたと思っている。そういった意味では、今の130円ぐらいというのは日本にとってはそれほど過度な円安円高でもないと考えている昨年末に日銀が金融政策の修正を行って、ようやく金利にも為替にも色んなものが反映される状況になりつつあるのでそういった意味では、この125円から130円ぐらい、このぐらいは日本にとって見たら過度な円高でも円安ではない、適度な為替の状態じゃないかなと思う。為替は絶対値よりも安定することが非常に重要ですので、願わくば今年は130円でも構わないが為替市場が安定してくれることを望みたい。

■物価高は落ち着く見通し、インフレ対策「できる企業は賃上げを」
 (Q.今年の物価高はどうなるか、対抗策は?)
 ロシア・ウクライナの問題以降、エネルギー・食料中心に急にコストは上がりました。ただ一方でエネルギーについては、昨年後半から原油価格も高止まりではあるが落ち着いた状態になっているので、今後ますます高騰していくということは考えていない。欧米のインフレも一時8%の状況になったが、ピークアウト感が見えてきている日本は緩やかながらインフレの波が来て、コアCPIでは先だって3.7%の状況が出たが、世界全体がほぼほぼインフレについてはピークアウト感が出てきているかなと思っている。しばらくエネルギーコスト、食料品コスト含めて高止まりの状態続くと思うが、後半からは緩やかに落ち着いてくるのではないかなと思っています。その対策なんですが、これはまずはインフレのなかでも国民がしっかり安心して生活できるようにガバメントサポート、政府の政策が必要になります。後、我々民間はやはり光熱費、食品の値上げだとか、まさにダイレクトに生活コストが上がっているのが実態ですので可能である企業は社員のインフレに対する手当として、早晩言われている賃上げをしっかりすることで対応する責務があるんじゃないかと思う。ただ、個別企業によって状況は様々ですので、誤解なきよう申し上げると、できる企業はインフレに対応した賃上げをやっていくべきだと思う。

■日銀長期金利±0.75%「十分ありえるが今後の情勢次第」
 (Q.今年中に日銀が金利を0.75%に拡大するとインタビューで言っていたが、それはいつごろか?)
 今後の金利状況についてはなかなか難しい状況だと思う。私が申し上げたのは、昨年末に日銀が金融政策の修正を行い、その後0.4%台、0.5に近いところで推移してますが、0.75まで申し上げたのは、長期金利が0.75ぐらいになってくると、いわゆる大手の機関投資家が買える水準になってくる。逆に言うと0.75まで上がっていけば、そこから先は投資家の買いが入ってくる水準なのでマーケットが非常に機能するということ今後の物価情勢、経済情勢によるが、0.75ぐらいまでの水準に上がってくれば、マーケットは投資家の買いも入ってきて安定してくるんじゃないかなということ。0.75になると申し上げたわけではないのでただ、過去の状況からすると、0.75ぐらいまでは十分ありえるし、時期については今後の経済情勢次第でございますので、ちょっといつとは申しあげられないが、0.75と申し上げたのはそういうことです。

■NISA制度改定 証券会社の大きな仕事に
 (Q.証券会社の経営にとってこの1年どうなるか?)
 マーケット環境が非常に不透明感強いということを申し上げたので、証券会社の経営環境は昨年に引き続き、非常にかじ取りの難しい環境が続くと思う。ただ、証券会社として大変大きなトピックがありました。皆さんご存じNISAの制度改定です。これも非常に2つ大きいポイントがあり、1つは恒久税制になったこと、もう1つは上限の枠が非常に大きい金額に引き上がった。これによって誰しもが、20代30代の資産形成層、場合によっては60歳以降のリタイアされた世代の方、すべてに等しく使える制度になったと思っている。貯蓄から投資と言われて非常に久しいが、NISAが24年から恒久化されて非常に使い勝手の幅が広がったということで、ようやく日本も貯蓄から投資に本格的に進められる時代になったかなと思っている。そういう意味では今年は、24年から始まる新NISA、ここにいかに投資家の皆さまに利用して頂くかをこの1年かけてじっくり啓蒙していくのが、我々証券会社の大きな仕事じゃないかなと思う。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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