「価格据え置き」うなぎ“値上げの波”直撃も苦渋の決断 老舗店ならではの事情(2022年7月5日)
肉厚で脂が乗ったふっくら「うなぎ」です。夏の「土用の丑(うし)の日」が近付いてきましたが、さまざまな商品が値上げになっているなかで、この「うなぎ」にもある異変が起きていました。
物価上昇の波が「土用の丑の日」も直撃です。
東京・新橋にある文政10年から続く「うなぎ本丸」。職人が一つひとつ丁寧に炭火で焼きあげる、うなぎ問屋直営の人気店です。
水産庁では5日午後、「うなぎを巡る状況と対策について」の勉強会が行われました。
水産庁・柿沼忠秋さん:「今年につきましては、去年に比べると『シラスの漁獲量が若干少なくなっている』というところでございますけども、そんなに大きく減っていないというところでございますので『比較的安定している』かとみています」
ウナギは養殖するための稚魚、シラスウナギの捕獲量が低迷し、過去20年を見ると供給量が減少傾向にあります。平均卸売価格は2019年には1キログラムあたり5000円を超えました。
ウナギの生態については、まだよく分かっていないことが多く「完全養殖」は、まだ不可能。稚魚の漁獲量も増える要素がないうえに、今年は円安や燃料高での輸送コスト上昇もあり、お店側はさらに厳しい状況に置かれています。
うなぎ本丸・五十嵐秀和総料理長:「うなぎというのは、池に入れてから6カ月から8カ月で大きくなるので、今年は『土用の丑』までのうなぎがすごく少ないので今、値段も高騰しておりまして…。なおかつ、春先から物価の方も上がっておりますのでね…。値段の方もここ何年かで一番高騰しております」
やむなく「価格を上げる」という苦渋の決断をしたそうです。
うなぎに限らず、しょうゆなどの原材料価格も上昇。輸送コストやうなぎを焼く「炭」の値段にいたるまで、お店に関連するありとあらゆるものが上昇しているそうです。
一方、厳しい状況のなかでも「価格を据え置く」という決断をしたお店も。そこには値上げしたくてもできない事情がありました。
東京・柴又にある創業250年の老舗「川千家」。うなぎは主に鹿児島や宮崎産など国産にこだわっているそうです。
川千家・天宮久嘉社長:「うちは予約もやっている。もう半年前から予約が入ったりするんですけど、予約の人たちの値段は今の据え置き(値段)で当然受けなければいけない」
「現在の価格」での予約が半年以上先まで埋まっているため、急に値上げするのが難しい状況だそうですが、こんな事情も。
川千家・天宮久嘉社長:「去年の今ごろも結構うなぎの値段は上がってきたことは上がってきたんですけど、でも、とても値上げとかする状況じゃないですよね。新型コロナで誰も歩いていないのに観光地は」「(Q.値上げしないようにどんな工夫を?)そのままで行きます」「(Q.お店が利益を削る?)はい。削る形ですけど」
材料費、輸送費、光熱費などが上がり、厳しい状況のなかですが「値段を据え置く」というこちらも苦渋の決断となりましたが。
猛暑日が続き、スタミナをつけたいと思ったのか先月は例年より1.5倍ほどお客さんが多かったそうです。
現在の仕入れ値は「約2割増」ということですが、これ以上、上がることがあればお店としても値上げも検討せざるを得ないと言います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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