南部の要衝オデーサに巨大“地下要塞” その全貌は?(2022年5月11日)

南部の要衝オデーサに巨大“地下要塞” その全貌は?(2022年5月11日)

南部の要衝オデーサに巨大“地下要塞” その全貌は?(2022年5月11日)

 ロシア軍の攻撃が激しさを増しているのが南部の要衝オデーサです。この街の至るところには、このような赤い扉が1000個近くも存在しています。扉を開けて中に進んでいくと巨大な地下トンネルが続いていて中にはキッチンや寝室、病院も入っているといいます。その秘密の地下要塞にカメラが入りました。

 エメラルドグリーンの黒海を見渡す街並み。海辺には人々が集い、つかの間、癒やしの時を過ごすリゾート地として、また、「オデッサ物語」「機動戦士ガンダム」のオデッサ作戦をはじめ数多くの物語の舞台となったウクライナ・オデーサ。

 リゾート地、文学の街として人々の笑顔が絶えなかった都市に容赦なく撃ち込まれるミサイル。

 その防衛の要となる街に張り巡らされた巨大地下空間にカメラが入りました。

 南部の港湾都市オデーサを巡る攻防は日を追うごとに激しさを増しています。

 オデーサ市長:「ここは軍事施設とは何の関係もありません。物流倉庫すらない場所です」

 ロシアによる超音速ミサイルがオデーサにある倉庫やショッピングセンターを直撃。1人が死亡したということです。

 以前は、買い物客でにぎわったであろう場所にです。なぜ、オデーサが狙われるのでしょうか。

 地図を見ると、ロシアが一方的に併合したクリミアから親ロシア派もいる隣国モルドバを結ぶ重要な位置にオデーサがあることが分かります。立地だけではなく経済的な側面でも鍵を握ります。

 ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「オデーサではこの数十年で初めて商船隊の移動が困難となり、通常の港湾作業ができなくなった。アフリカやアジア諸国で食料価格の高騰と飢餓の可能性について議論が始まっている」

 世界の食糧庫とされる海の玄関口を抑えることでウクライナを経済的に弱体化させる狙いがあるとしています。

 オデーサ市顧問、セルゲイさん:「オデーサは穀倉地帯の一つでもあり、北アフリカなどの穀物の輸出場所であり市場にとって重要です。その役割にロシアは関心を示しているのです」

 人口およそ100万人のウクライナ第3の都市。

 リゾート地そして、文学の街としてにぎわった街にはまだベールに包まれたままの防衛の要が存在しています。

 オデーサ市顧問、セルゲイさん:「カタコンベ(地下空間)はまさに歴史的遺産です。オデーサの様々な歴史につながっています」

 総延長2500キロ。日本列島の長さにも匹敵する地下空間カタコンベがこの町の地下に隠されています。

 ナレーション:「これは“カタコンベ”に1000個ある扉の一つです」

 これは侵攻前の2020年に撮影された動画です。

 最大60メートルにも達する地下の世界を案内しています。東京駅の最も深い京葉線ホームのほぼ2倍の深さに匹敵します。

 ナレーション:「日光は届かず酸素レベルが低いことが歴史の保存に役立っています。100年前の落書きが新鮮に見えます」

 誰かが描いた動物の落書き。1世紀を超えた今もきれいに残っています。

 通路にはレンガのようなものが積み上げられ・・・。腰をかがめてようやく通れるほどの空間が続きます。更に奥に進むとこんな光景が待っていました。

 ナレーション:「驚くほど大量の水が流れています。水道管から流れ出した水が地下の雨を生んでいます。小さな湖もです」

 雨水や水道管から染み出た水はろ過され、魚も住めるほど透き通る神秘的な湖を作り出していました。

 ナレーション:「魚は厳しい環境でも悠々と生きています」

 この地下空間。誰が何のために作ったのでしょうか。

 地下空間のガイド:「ここに19世紀にのこぎりで切られた跡があります。石灰岩が安い建築材料として使われた1800年代初期から採掘が始まりました」

 1800年初頭から採掘場として掘られ始めたこの空間。

 オデーサの街にたたずむ美しい建築物もこの場所で採掘された石灰岩でできています。

 地下空間のガイド:「とても美しい石ですが、もろいです。乾いていたら建築物に使えます」

 ずらりと並んだガスマスク。1900年代、旧ソ連時代から度重なる戦火をくぐり抜け徐々に地下シェルターとしての性格を帯びていきます。

 ナレーション:「第2次世界大戦の時はここがソ連兵の潜伏場所となりました。オデーサが1941年ナチス・ドイツと同盟国のルーマニアの手によって陥落して以降です」

 第2次世界大戦の際、ソ連兵がこの地下空間に潜伏し、侵攻してきたドイツの同盟国ルーマニア軍らに抵抗を続けました。

 壁に記された日付。1953年とロシア語で書かれた名前が読み取れます。

 ナレーション:「ソ連人は冷戦時代に一部を原爆シェルターに改造しました」

 地下空間のガイド:「右と左にベンチが見えます。ここに2週間、約1200人が収容できます。さらに下には5000人が収容できます」

 50年を費やしこの地下を研究する大学教授。地下通路の地図を書き込んできましたがまだ埋まっていない部分も多くこんな事実を明かしてくれました。

 50年間地下通路を研究する大学教授:「オデーサの地下でまだ分かっていない部分がどれくらいかと言えば、すべての地下通路のうちまだ60%が分かっていない」

 半世紀かけてもまだ全容すらつかめていない、アゾフスタリ製鉄所とは比較にならないスケールの空間。製鉄所の悲劇を繰り返すことはないのでしょうか。

 オデーサ市顧問、セルゲイさん:「地下に隠れるつもりはない。今は防衛に専念している。ウクライナの勝利を信じているからだ」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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