「ロ軍が個人情報を収集」新たな人民共和国へ準備か(2022年4月24日)
侵攻開始から2カ月。ロシア軍の攻撃が激しさを増す中、南部の街では、親ロシア派の「人民共和国」を新たに作ろうとする動きがあるようです。
▽ロシア併合への布石？新たな「人民共和国」
（ヘルソンに住む エレーナ・ブルドヴィツィナさん）「中央市場です。恐ろしい。これが戦争です。ここに裁縫する女の子が座っていて、子どもたちの制服の裾上げをしたり、ジャケットの寸法合わせをしたりしていました。」
ウクライナ南部にある、人口30万人の街、ヘルソン。主要都市では最も早い、先月2日、ロシア軍に占領されました。
「ここは市の中心部です。カフェがオープンして、コーヒーをテイクアウトできます。」
ロシア軍による占領直後は空っぽだったスーパーの棚も、今では―。
「ジュース、水、パイナップルの缶詰・・・」
ヘルソン市内は、一見、落ち着きを取り戻したかに見えます。しかし、その裏で、ロシア側が準備を進めているとされるのが―。
（ウクライナ国防省の報道官）「占領者はヘルソン州とザポリージャ州をロシアに併合するため、 “住民投票”の準備をしています。ロシア軍の人員を補充するため、2州で市民を動員する準備が進められています。」
ウクライナ側が警戒するのは、来月1日にも行われるとされる、ヘルソン州とザポリージャ州の独立の是非を問う“住民投票”です。
プーチン大統領は、ウクライナ侵攻の直前、親ロシア派が実効支配する二つの“人民共和国”の独立を一方的に承認しました。
新たに第3、第4の“人民共和国”を作り、ロシアに併合しようというのでしょうか。ヘルソンに住む男性は―
Q. “住民投票”について聞きましたか？
「もちろん聞きました。100％確認はとれていませんが、投票用紙を印刷している会社も分かります。」
この男性は、ロシア側が計画しているのは自作自演の“偽の住民投票”だと指摘します。
「ロシア軍は支援物資を配る時、（受け取った人の）個人情報を集めている。住民投票では、その個人情報を使うだろうから、実際の投票は必要ない。投票結果は捏造されるだろう。」
ゼレンスキー大統領も住民に、警戒を呼びかけました。
（ゼレンスキー大統領）「ロシア軍からアンケートの回答やパスポートのデータ記入を求められたらそれは住民投票を捏造するためなのです。“人民共和国”は実現させない。」
▽「3方面から攻撃」包囲されると・・・
ロシア軍は、軍事作戦の第二段階に入り、ウクライナ南部や東部を完全支配することが目標だと宣言。次なる標的といわれるのはドネツク州のスロビャンスクです。
（スロビャンスク市 ワディム・リャフ軍事行政首長）「状況は厳しくなり、砲撃で9軒のアパート、14の住宅・学校が被害を受けました」
スロビャンスクの行政トップは、ロシア軍の攻撃に危機感を募らせます。
「頻繁に警報が鳴り、街や周辺へのミサイル攻撃が続いています。以前は“2方面”からでしたが、新たにルハンシク方面が加わり“3方面”から攻撃されています。」
北と南からの侵攻に加え、東からの攻撃も始まったといいます。
「全ての方面が危険で、包囲された場合、人道支援が完全に断たれます。」
今もおよそ3万人が市内に残り、民間人の更なる犠牲が心配されます。
「ウクライナ軍は防衛を続け、敵の進軍阻止に全力を尽くしています。」
▽“最後の砦”から・・・「生きて帰りたい」
マリウポリ“最後の砦”となったアゾフスタリ製鉄所。地下シェルターには、今もおよそ1000人の民間人が残っているといいます。
「すごく家に帰りたい。生きて帰りたい。」
ロシア側は、製鉄所内の民間人について、ウクライナ軍が“人間の盾”として利用していると主張しますが・・・
（マリウポリTV オシチェンコ社長）「製鉄所で働く家族から『地下には頑丈な避難所がある』と聞き、みんな集まってきたのです。」
こう話すのは、マリウポリTVの社長。今も製鉄所内にいる警察官と連絡を取り合っていると言います。
（マリウポリTV オシチェンコ社長）「今はこうしてコミュニケーションをとっています。」
（製鉄所内の警察官の音声）「女性、子ども、老人、幼児など多くの民間人が避難しています。彼らはロシア軍を信じていない。街の惨状を見て地下に残っているのです。」
プーチン大統領は製鉄所への攻撃中止を命じましたが、今も空爆などが続き、地下から脱出できないといいます。
（マリウポリTV オシチェンコ社長）「（ロシア側は）『民間人はいない。ナチスや民族主義者しかいない』と言いふらしている。製鉄所内で起きているのことを知る“生き証人”を一人も脱出させたくないのです。毎日が進行形の“地獄”であり、悪化の一途をたどっています。」
4月24日『サンデーステーション』より
[テレ朝ｎｅｗｓ] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
