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経済制裁が効いていない?ロシア軍が警告「抵抗が続けば全員殺害することになる」マリウポリで攻勢強める【Nスタ】|TBS NEWS DIG
ウクライナ南東部の要衝マリウポリでは、ロシア軍との激しい戦闘が続いています。ロシア軍はウクライナ側が拠点としていた製鉄所について「最大400人の外国人傭兵がいる」とし「抵抗が続けば全員殺害することになる」と警告しています。一方、ウクライナ側は徹底抗戦の構えを崩しておらず、シュミハリ首相は「まだマリウポリは陥落していません。我々の兵士は最後まで戦います。」としていて、ゼレンスキー大統領も「ウクライナ側が全滅した場合はロシアとの停戦交渉が中止されるだろう。」との考えを改めて示しています。その他、ロシアに対する経済制裁の効果などについて、専門家にききました。
■ロシア軍「全員殺害することになる」マリウポリの今は?
良原安美キャスター:
マリウポリの情勢です。ロシア側はウクライナ南東部マリウポリに残る兵士に対して、日本時間の17日午後7時までに武装解除し投降するように要求しました。さらに、ロシア軍がまだ進軍していないウクライナ側の拠点「アゾフスタル製鉄所」について、「最大400人の外国人傭兵がいる。抵抗が続けば全員殺害することになる」と警告しています。
マリウポリについて、ウクライナのシュミハリ首相は「まだマリウポリは陥落していません。現時点で我々の兵士はマリウポリにいて最後まで戦います」と投降する意思がないことを示しています。さらにクレバ外相は「停戦交渉においてこのマリウポリがレッドラインになるかもしれない」とした上で、「ウクライナ側が全滅した場合は、ロシアとの停戦交渉が中止されるだろう」というゼレンスキー大統領の考えを改めて示した形です。
ホラン千秋キャスター:
ウクライナ側としてはこの攻撃が早く止まってほしいという思いはあると思うんですけれども、この停戦交渉が中止になることでロシア側としてはこのまま攻撃する状況が続くということ自体は何の問題もないのでしょうか?
慶応義塾大学総合政策学部廣瀬陽子教授:
ロシアとしては、時間稼ぎというような形で今まで交渉していた可能性が極めて高く、ここで一気に戦闘を進めて、マリウポリ、そして東部の2州の全てを制圧していきたいという方向性で今やっていると思います。
ホランキャスター:
となると停戦交渉がなくなっても、ロシアとしては問題はないのですね?
廣瀬教授:
ロシアとしては問題がないと思われますが、ウクライナは本来であれば厳しいところでありますけれども、マリウポリで虐殺があり、このような悲惨な状況では交渉などできないというのがウクライナの現状であると思います。
井上キャスター:
廣瀬教授はプーチン大統領が上手くいっていなくて焦っているのではないか、という話をよくされますけれども、ロシア兵の死亡者などの人数が全く発表されていない、このあたりのダメージはどのくらいあると分析していますか?
廣瀬教授:
相当ダメージは大きいと思います。少なくともここ数日、ロシア兵の死亡数というのは、ウクライナ側、そして欧米からは出てないんですけれども、3月の数字で1万2000~3000というな数が出ておりまして、相当厳しい状況だと思いますね。
■「孤立させることは不可能?」ロシアの経済状況は・・・
良原安美キャスター:
ロシア経済について見ていきたいと思います。現在世界から厳しい経済制裁を受けていますが、プーチン大統領は「金融システムと産業は、順調に機能している。今の世界でロシアのような大国を孤立させることは不可能だ」と強気の発言をしているんです。
世界からの経済制裁は効いてないのでしょうか?
まずは、ロシアの通貨ルーブルの為替レートです。ウクライナへの侵攻開始後、価値はどんどん下落していきましたが、ここ1ヶ月で侵攻開始した時期(2月24日)ぐらいまでレートが戻ってきているんです。
どうしてなんでしょうか、双日総合研究所の吉崎達彦さんにお話を伺いました。
現在ロシアの多くの銀行が最強の経済制裁とされる、SWIFTからの排除を受けていますが、ロシア最大手の銀行「ズベルバンク」と、天然ガスなどの取引に使われている「ガスプロムバンク」、この二つはSWIFTからはまだ排除されていない状況が続いているんです。
さらにこの「ガスプロムバンク」の決済についてです。
ドイツやイタリアなどの欧州諸国はパイプライン取引を続けていて、天然ガスのやりとりが続いているので、ユーロ、ドルなどの外貨での取引が続いているわけです。
その額なんですが、吉崎さんによりますと、原油と天然ガスによるロシアの収入、毎日11億ドル、日本円にして約1400億円に達するとしています。
さらにこの天然ガスについては、日本も他人事ではありません。日本は天然ガスにおいて、約8%をロシアに依存しています。
吉崎さんによりますと、「日本がロシア産天然ガスを輸入できるのは、長期契約によるもの、仮に日本が輸入をストップしたとしても、代金は払い続けなくてはいけない仕組み」ということです。
つまり、「日本が輸入を止めても代金は払い続けなくてはならない」ですし、ロシアとしてはその分を外国への輸出にまわせますので、利益に繋がってしまう可能性があるということなんです。
ホラン千秋キャスター:
このSWIFTというシステムは全てのロシアの企業が排除されているわけではないんですね?
廣瀬教授:
今の状況では、この最大手の「ズベルバンク」、そしてエネルギーを多く扱っているあの「ガスプロムバンク」が外されているので、そういう面ではロシアには最大の痛手はまだ来てないというところが実情です。
ホランキャスター:
そうすると、このエネルギー関連の部分の制裁などに踏み切らない限り、巨額の資金というものが、ロシア側に流れ続けるという構図は変わらないわけですか?
廣瀬教授:
その通りでして、一番大きい打撃というのは、ロシアから天然ガスの輸入が止まることなんですけれども、天然ガスにまで制裁が至ると、ロシアは1ヶ月間戦争を継続できないという試算も出ています。
井上キャスター:
でも結局、ロシアという大国に世界全体がこれだけエネルギーを依存してしまっているために、経済制裁を思い切りしたくてもできない状態なんですね。
廣瀬教授:
それが、プーチン大統領が間違った一つの原因でもあって、世界がロシアに依存しているからこそ、ロシアが「ある程度荒い手を使っても世界はそれを容認する」と思っていたのだと思います。
井上キャスター:
ある意味で世界の足元を見てたわけですね。かといって、アメリカやヨーロッパが前面に出てきて、安全保障を一からやり直せるかっていうとそうはならない。そうすると中国が今のような状況を虎視眈々と見ている。
廣瀬教授:
そのような図式ができてしまっています。ロシアは中国に依存しようとしても、やはりヨーロッパへの輸出額の方がよほど多いので、中国はそこは補填できない状況です。
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