ウクライナの小児患者　戦闘長期化で十分な治療できず・・・医師「多くは近く亡くなる」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年3月9日)

ウクライナの小児患者　戦闘長期化で十分な治療できず・・・医師「多くは近く亡くなる」【羽鳥慎一 モーニングショー】(2022年3月9日)

ウクライナでは、ロシア軍が軍事施設などがない住宅街で500キロ爆弾を使用したと、現地のメディアが伝えています。

　こうしたなかで、「人道回廊」と呼ばれる退避ルートで市民の避難が始まっています。

■「500キロ爆弾」も・・・ロシア戦力“100％”

　暗闇のなか、ライトを照らしながら、救助作業を続ける人たち。手でがれきを一つひとつ、かき分け作業する姿もあります。

　ウクライナ北東部の都市スムイで7日、ロシア軍による空爆があり、ロイター通信によると、21人が死亡したといいます。

　ウクライナメディアは、空爆があったのは、スムイの中心部から少し離れた軍事施設などがない住宅街だと伝えています。

　一夜明けると、そこに広がっていたのは、一面、がれきの山でした。ウクライナのゲラシチェンコ内相顧問は、「500キロ爆弾が使われた」と説明しています。

　侵攻開始時点で、15万人以上が国境付近に集結していたロシア軍。アメリカ国防総省によると、すでに100％近くが投入されたといいます。

■がれき散乱・・・廊下に患者　機能失う病院

　黒海沿岸の街・ミコライウの集合住宅。階段には、がれきが散乱し、壁が大きく崩れています。

　撮影者：「普段、朝はコーヒーから始めるけど、けさはコーヒーどころじゃない。部屋は窓が壊れ、ドアがない状態だ」

　廊下には、けがをした女性の姿もあります。

　街中の道路には、バリケードが設置され、道路脇には、真っ黒に焼き焦げた軍用車が放置されたままになっています。

　病院には、ひっきりなしに負傷者が運び込まれています。

　砲撃が続くウクライナ第2の都市・ハリコフ。病院には、次々と負傷した民間人が運び込まれています。

　病室が埋まっているのか、患者は廊下にまでいました。

　負傷した女性：「砲撃された時、ガレージに隠れていました。頭を負傷しました」

　家族を失った人もいます。

　医師：「ここに来る患者たちは皆、家族のいる所に戻ります。戻る家族のいない人は、ここに残ります。残念ながら」

　病院の安全も保障されません。ロイター通信によると、ウクライナ保健相は、ロシアの攻撃により、61の病院が稼働できない状態になったと明かしました。

■列車に殺到・・・“国外退避”200万人超

　激化する攻撃に避難を余儀なくされる人たち。ウクライナ西部のリビウに向かう列車には、避難する人が次々と乗り込み、車内はいっぱいになっていました。

　列車が向かうリビウの駅でも、さらに、国外などに避難しようとする人が殺到。大勢の人が列をなしていました。

　国外に出ても、混乱は続きます。

　侵攻から10日以上経った7日も、駅の切符売り場には、多くの避難した人たちが集まっています。

　母親がマイクで名前を呼んで、子どもを探しています。

　ウクライナから国外に避難した人は、200万人以上。中でも、隣国ポーランドへは、半分以上のおよそ120万人が避難しました。

　子どもを探していた母親は、無事合流することができたようです。ほっとした様子で、子どもと合流しました。

■小児患者　戦火で十分な治療できず・・・

　ユニセフによると、すでに50万人もの子どもが国外に避難していますが、ウクライナ国内には、避難できない子どももいます。

　リビウの病院には、各地から小児がん患者が集められています。戦火が広がり、子どもたちに十分な治療ができなくなっています。

　医師：「彼らの多くは、薬の不足や治療の中断によって、近く亡くなってしまう。がんだけでなく、他のことでも・・・」

　脳腫瘍（しゅよう）を患う8歳の少年は、ロシア軍の侵攻が始まるまではキエフで治療を受けていました。

　少年の母親：「何年も治療を受けていて、あと一歩でハッピーエンドになるはずだったのに。夢は、唐突に終わってしまった」

　終わりが見えないロシア軍の侵攻。ロイター通信は、アメリカCIAの話として、この戦闘により、2000人から4000人のロシア兵が死亡したと伝えました。

■ロシア国内で・・・軍事侵攻“抗議デモ”

　ロシア国内では、ウクライナへの軍事侵攻に抗議するデモが行われていました。

　警察官に制止され、連行されるデモ参加者。女性が手に持っているプラカードには、「私たちの兵士を死なせるのはやめて下さい」との文字があります。

　警察官：「離れて下さい。仕事の妨害をしないで下さい」
　撮影者：「妨害なんかしていません」
　警察官：「しています」

　警察官が横たわる男性に対し、警棒で何度も殴り付け、蹴り付ける様子もありました。

　ロシアでは、反戦デモの取り締まりを強化。これまでに拘束された人は、1万3000人以上に上るといいます。

■アノニマス　国営放送“ハッキング”

　国際的なハッカー集団「アノニマス」は6日、ロシアの国営放送などをハッキングしたと発表。ウクライナでの戦闘の様子を、数十秒間流したとしています。

　アノニマス：「国際的な出来事を、ロシアメディアが少ししか報じていないという報告を受けています。プーチン政権は、ウクライナ侵攻によって戦争犯罪を犯し、それが大勢の難民と数えきれない死者をもたらしています」

　ロシア政府がウクライナ侵攻について、国民に正確に伝えていないことに抗議し、ジャックしたといいます。

　アノニマス：「プーチン（大統領）のウクライナでの攻撃的な振る舞いは、世界中の怒りをかっています。この紛争が終結する一番平和的な方法は、ロシアの皆さんがプーチンに対して立ち上がり、彼を権力の座から引きずり落とすことです」

■「人道回廊」5000人避難・・・“砲撃”も

　8日、ウクライナ北東部に位置するスムイでは、バスに並ぶ大勢の人たちがいました。

　民間人を避難させるために、一時的に停戦する「人道回廊」が実現しました。

　ロイター通信によると、ウクライナ副首相は、スムイから人道回廊で5000人が避難したと発表しました。

　ゼレンスキー大統領：「紛争地域から安全地域へ移動しようとしていた市民が、すでに殺害されたように、避難中に撃たれる可能性がある」

　ウクライナ外務省は、マリウポリからザポリージャの間の避難ルートをロシア軍が砲撃し、一時停戦が破られていると伝えました。

（「羽鳥慎一 モーニングショー」2022年3月9日放送分より）

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