逃げられない街で子どもが ウクライナ迫る人道危機(2022年3月6日)

逃げられない街で子どもが ウクライナ迫る人道危機(2022年3月6日)

逃げられない街で子どもが ウクライナ迫る人道危機(2022年3月6日)

ロシア軍による、ウクライナへの侵攻が始まってから11日。砲撃は各地で激しさを増しています。そして被害は小さな子どもにまで及んでいます。

▽「体が震え・・・」爆撃から逃れる人々
キエフ近郊の火災が起きている建物。ジャーナリストたちが逃げ出してくると。
「近いぞ。逃げろ。」「早く 早く行け」
ここは首都キエフに通じる橋。ロシア軍の進軍を妨げるため、破壊されています。
(CNN クラリッサ・ワード記者)
「お年寄りや足が不自由な方が大勢います。多くの方が身を震わせおびえています。何日にもわたる凄惨な爆撃から抜け出してきました。」
橋の手前には、爆撃から逃れてきた多くの人たちの姿がありました。
(CNN クラリッサ・ワード記者)「こうした人々の7日間が、キエフ中心部でも現実になるかもしれません。」
北西部の街・ノボプスコフでは、市民がデモ中に・・・
突然、銃撃を受けたのです。
(マシュー・チャンス記者)「威嚇射撃が続きましたが住民は逃げずにロシア兵に抵抗を続けています。」

▽“停戦約束”守られず・・・ロ軍攻撃再開
激しい戦火に見舞われているウクライナ東部の街、マリウポリ。街の病院では・・・
「早く!早く!!」
運ばれた1歳半の男の子。家族が住む居住区に砲弾が命中、破片が頭部を直撃したと言います。小さな命を救うため、蘇生を行う医療チーム。
母親が見守るなか、懸命な治療が続きます。
「助けられなかったの・・・どうしてもダメだったの・・・どうして・・・どうして助けられなかったの・・・」

鳴りやまぬ爆撃音に、市民は身を潜めるしかありません。
「ママ、大丈夫?じっとしていてね」
マリウポリは、2回目の停戦協議で、民間人の避難が決まった街でした。
マリウポリとボルノバーハの住民に対して「人道回廊」と呼ばれる退避ルートが設置され、一時停戦を合意。しかし・・・
(マリウポリ副市長)「停戦は30分しか続かず、ロシア軍は空爆や多連装式ロケット砲でマリウポリに総攻撃を再開しました。」
爆音が響き渡り、黒煙が舞うなか、着の身着のまま避難する住民たち。
ロシア側は、“攻撃再開”の理由について・・・
(ロシア国防省報道官)「住民は人間の盾として踏みとどまり、ウクライナ軍は我々の作戦中止を軍の再編成や陣地補強のために利用しました。停戦状態を続けることを望まなかったため作戦を再開したのです。」
そして6日、日本時間の午後7時から、一日遅れでマリウポリの住民避難が始まりました。アメリカのシンクタンクは、ロシア軍の攻撃が一時的に停止されたと分析しています。

▽ロシア軍機が襲撃され火災に
ロシア軍は、ウクライナの北部から東部、南部にかけて攻撃を続け掌握しています。ウクライナ北部のチェルニヒウでは、住宅が炎に包まれていました。
(住民)「これは私の家です。私たちは地下室にいたおかげで助かりました。みんな地下室にいてください。本当にひどい。」
ロシア軍の飛行機がウクライナ軍に撃墜され、落下し、火災が起きました。死傷者はなく、ロシア軍のパイロットは拘束されたといいます。
(住民)「外にいて空を見たら落下する飛行機に気づいた。飛行機は田畑で爆発したが、一部が住宅の2階に当たって火事になった。家族全員が無事で運がよかった。」

▽「自由を守る」世界中から“志願兵”
ロシア軍が迫る首都キエフでは、入隊志願に続々と市民が駆け付けています。
(志願兵)「私の義務です。役に立ちたい、助けたい、守りたい、反撃したいです。できる限り家族が祖国に戻れるようにしたい。」
ゼレンスキー大統領も・・・
(ウクライナ ゼレンスキー大統領)「ウクライナ国民は諦めない、負けない、抵抗をやめたりしない」
キエフに残って戦うことを決めた男性ですが、幼い子どもとの別れに、涙していました。さらにウクライナとの国境近くのポーランドの街には、海外からの“志願兵”が集まっていました。
(志願兵 米国籍)「自由を守るのを助けようとしている、単純なことです。誰かが手を貸さないといけない。アメリカやイギリスをはじめ、全世界から集まっています。」
ゼレンスキー大統領によると、各国の退役軍人など1万6000人の志願兵がウクライナに向かっているといいます。
一方、プーチン大統領は、ロシア軍機の侵入を防ぐため、NATO・北大西洋条約機構がウクライナ領空に飛行禁止空域を設定すれば、「参戦とみなす」と警告しました。
(ロシア プーチン大統領)「制裁は、宣戦布告と同じようなものです。」

▽SNS時代で激化する“情報戦”
今回のロシアによるウクライナ侵攻では、SNSで、戦地の映像や写真が世界に向けて発信・拡散されています。
実際の戦闘の裏側で、“情報戦”も激化。ウクライナ当局は捕虜となったロシア兵とみられる映像を公開し、日々、更新を続けています。
(ロシア兵とみられる男性)「(ロシア軍は)女性や子供を攻撃している。プーチンに戦争をやめるようにお願いしてくれ。」
4日には、原発がロシア軍の攻撃を受けたとして、ゼレンスキー大統領が自身のSNSに映像を投稿。すぐさまコメントもアップしました。
(ウクライナ ゼレンスキー大統領)
「ロシア軍は今、原発を攻撃している。爆発したらヨーロッパは終わりだ。」
一方、ロシア側は原発への攻撃について、こう反論しました。
(ロシア ネベンジャ国連大使)
「これはロシアに対する前例のない嘘と偽りのキャンペーンだ。ウクライナの破壊工作員が施設に火をつけた。」

▽ロシア“情報統制”強化 最大15年の刑も
情報統制が厳格なロシア国内ですが、今回はSNSを利用する若い世代を中心に、反戦デモが一気に広がりました。ロシアとしては、極めて異例の事態です。
反戦世論の拡大を警戒したのか、ロシア当局は、4日、SNSへの接続を遮断するなど、締め付けを強化。さらに、ロシアの議会では、ウクライナ侵攻に反対する報道を実質的に禁止する法案の採決が行われました。
(下院議長)「賛成は401人。反対はなし。法案は全会一致で可決されました。」
「嘘をついたり、軍隊の信用を落とす発言をした者は処罰を受けることになる。」
この日のうちに、新たな法律は可決・成立。ロシア当局が「虚偽」とみなす情報を発信した者は、最大で15年の禁固や懲役が科されることに。
外国人も対象になるとされ、CNNやBBCなど、欧米の主要メディアがロシアでの取材活動の一時停止を表明しました。
SNSの遮断に、報道規制の徹底と、世界での孤立が進む、ロシア。一般市民やジャーナリストからは強い反発の声が聞かれました。取材に答えてくれた人たちを守るため、映像や音声を使わずに伝えます。
(モスクワ市民)「戦争について書いたSNSは削除されました。ロシア人が人殺しになっています。戦争に反対です。」
(ネットメディアのジャーナリスト)「もしかしたら明日、私は逮捕されるかもしれない。でも、私は何も怖くはありません。真実を報道しているだけです。どうして世界平和を願ってはいけないのでしょうか。」
「私が取材したことが平和につながる欠片になることを願っています。」

3月6日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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