半壊しても「自宅で過ごす」被災地に積もる雪…復旧作業も難航 能登半島地震1週間【報道ステーション】(2024年1月8日)
8日で能登半島地震から1週間となりました。これまでに明らかになった死者は168人、安否不明者は323人と増え続けています。
◆復旧を阻む“冷たい雪”
石川県輪島市では8日朝、-0.1度と底冷えする寒さ。最深積雪は午後9時時点で9センチと、地震が起きてから一番の積雪となりました。雪の重みは、さらなる倒壊を招く恐れもあります。
男性
「最初は潰れていなかったけど、余震がある度にちょっとずつ。今、トランク辺りがへこんできた」
道路状況の悪化も、より深刻になっていて、スリップ事故も起きています。
スリップした車の持ち主
「ここはいつも(消雪の)水が流れている。(Q.断水の影響で?)止まっている。きょうは散水していない」
志賀町では、普段10センチ積もったら除雪車を出動させているのですが、8日は断念。というのも、雪で道路の亀裂が見えにくくなっているためです。
大越健介キャスター
「石川県七尾市の午前11時です。峠を越えたかと思った雪が、また降り始めました。市内一面、雪が降り積もっています。この七尾市は電気は通じているんですが、水道がまだごくごく一部しか通じていないということで、非常に水事情が困難を抱えています。市役所には水や緊急の食料など、支援物資を取りに来る方がたくさんいらっしゃいます」
箱に入った水は重さ12キロ。それを両手で抱えて、降りしきる雪の中、それぞれの避難先へ戻っていきます。
物資を取りに来た住民
「(Q.水ですか?大変なのは)水です。なにをするにも、炊事するにも。トイレが一番。(Q.なかなか改善の実感はない?)早く断水も解消してくれればいい」
物資を取りに来た住民
「灯油とかも買えなかったりするので“ちょっとでも補うのに”と思って、カイロを頂きに来たんです。これだけ積もれば寒いし堪えるわね。道路もどこが寸断されているか見えないので危険で。それも怖いですね」
実際、車を走らせてみると…。
大越健介キャスター
「また雪が強くなってきました。1週間経って雪に覆われた能登半島。路面の段差なども見にくくなっています。注意して通らないと危ないですよね」
輪島市では、切り立った崖に地表のあらわになった部分が見えました。雪が降った後に崩れ落ちたようで、新たな土砂災害にも警戒が必要です。
◆被害全貌は…“安否不明”急増
石川県内で亡くなった人は168人。気になるのは、安否の分からない人がぐっと増えたこと。輪島市では、これまで31人でしたが281人になりました。市によると「これまで市役所のマンパワーが足りておらず、情報の整理が追い付いていなかった」ということです。
海上自衛隊の輸送艦は、地盤の隆起で着岸できないため、物資の集積拠点となっています。ここからはヘリで輪島の分屯地へと運び、孤立集落へと届ける流れです。新たに公開された映像では、崩落現場を歩いて越えていました。この日の物資は、珠洲市の孤立集落に無事、送り届けられたといいます。
◆医療チーム『DMAT』被災の現場へ
避難生活が1週間にもなると、衛生面や健康面で様々な課題が浮き彫りになります。厚労省の災害派遣医療チーム『DMAT』。各地から、約500人が現地入りしています。
福島DMATの隊員
「(Q.道路状況は?)福島も雪国ではあるんですけど、日本海側で違う雪質なので、気をつけないといけない」
マスクや除菌グッズを多めに積み込んで。避難生活での衛生面の改善を図ります。到着したのは、町の中心から車で15分ほどの集会場。ここには約30人が避難しています。避難している女性(92)は、元日からの避難生活がたたったのか、7日に病院へ運ばれ、点滴の処置を受けました。
男性
「病院に行った時に床ずれを診てもらったんですが、きょうからまた尻が痛いと。(Q.薬とかは?)塗ってない。座っているだけで痛いと」
DMATは、診察だけ行っているわけではありません。
DMATの隊員
「これね、DMATのおもちゃです」
メンタル面でのケアも、大事な役目です。別の避難所には水のいらないシャンプーが届けられました。皆さん、1週間ぶりのシャンプーです。
女性
「すっきり。スーとしとる。あんた上手やわ。マッサージしとる。マッサージのお金あげな」
女性
「(Q.シャンプーどうですか?)最高。口では伝えられないほどうれしい。スーッとして目が覚める。生きがいを感じる。あすを考える。最高」
『DMAT』谷川攻一医師
「暖房がなかったり、食事・水含めて衛生環境がよくない。さらに多くの方が複数の病気を持ち、色んな薬を飲んでいる。そうした病気が地震とか環境の変化、大きな変化ですから、それを契機に悪化することはよくあることで、災害関連死を少しでも減らせるよう、お手伝いするのが重要な役割の一つ」
◆雪に埋もれ…復旧作業も難航
各地の避難所には、今も約2万8000人が身を寄せています。
渡辺瑠海アナウンサー
「能登町鵜川地区です。お寺でしょうか。完全に倒れてしまって、その屋根の上に雪が降り積もっています」
復旧に駆け付けた車両も、すぐには動けません。
地元住民
「応援に来る町外の人は(雪の下が)分からない。一番危ない」
◆半壊しても…「自宅で過ごす」
雪が降っても、飲み水にはなりません。自宅が半壊した祖父母を迎え、6人で過ごす牧邦彰さん(44)。亀裂に気を付けながら、水を運びます。その水を使って、お昼ご飯。
牧佳代さん(39)
「カップ麺とご飯。おでんと缶詰。電気があるので、ありがたいです」
保存食は地震の直後、金沢の親族が半日かけて持ってきてくれたものです。
牧邦彰さん
「(Q.炊き出しに行ったりは?)行き渡らない人がいたら困るし、できるだけ自分の家はある分でと思って」
長女の姫生さん。学校が避難所として使われています。卒業まで、バドミントンに打ち込むつもりでした。
牧姫生さん(小6)
「最後でしたいこととか色々あったんですけど、今回の地震でできなくなったので、ちょっと残念」
238人が過ごす鵜川小学校。すでに、体育館と6つの教室すべてを使用しています。
渡辺瑠海アナウンサー
「こちらの避難所では7日、プライバシーを守るためのパーテーションが設置されました」
半壊した自宅で過ごす人も、まだまだいます。持ちこたえたように見える家も、室内に入ると…。
自宅で過ごす、黒津良介さん(70)
「(Q.この染みも雨漏りで?)そうです」
膝と腰が痛みますが、耐えられるうちは自宅で過ごすといいます。
黒津良介さん
「全壊の家もあるので、雨漏りしても建っているうちはいいかな。もっと体が動かない人が避難所に行ったらいいと思うし」
被災地の外へ避難する人も出始めていますが…。
自宅が半壊で避難 山本英里さん(24)
「本当に本当に行きたいです。やっぱり家に住みたいし、自分の時間も欲しい。今すごく疲れてるし。でもやっぱり、小さい時から一緒に育ててもらった方ばかりなので、その方たちを残して若者がいなくなるというのは…。皆さんのこれからの安全が本当に分かったら外に行きたい」
◆被災地に降り積もる雪…影響は
石川県七尾市にいる大越健介キャスターに聞きます。
(Q.能登半島地震に、新たに雪という要素が加わりました。現地で取材を続けてどう感じますか)
大越キャスター
「私も新潟県の出身なので分かりますが、日本海側に住む人にとって、雪の量そのものは、しのげる範囲かなと感じている方が多いと思います。しかし、地震で大きなダメージを受けたところの雪ですので、支援や復旧活動の大きな足かせとなっているのは間違いありません。一日、雪の中を取材していて、道路の問題はやはり大きいと思いました。七尾市内を車で乗っていると、段差があることを知らせるパイロンが雪に埋もれていて、気付かずに、あわてて急ブレーキを踏むということもありました」
大越キャスター
「こんな経験もしました。長い渋滞に巻き込まれのですが、先頭の車が、雪の悪路のためかパンクをしてしまいました。ただ、たまたま前後を走っていた消防の車が、人力で車を路肩に運んだために、渋滞は解消されました。しかし、その20分の間でしたけれども、私たちは暗い山道で携帯もまったくつながらず、恐怖を覚えました。被災地の人たちは、そうした毎日の不安の積み重ねのなかで、大きなストレスを抱えているということが理解できました」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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