「震災後、初めての食事」各地で食料・物資が枯渇 断水も…川で洗い物する89歳女性【もっと知りたい!】【グッド!モーニング】(2024年1月5日)

「震災後、初めての食事」各地で食料・物資が枯渇 断水も…川で洗い物する89歳女性【もっと知りたい!】【グッド!モーニング】(2024年1月5日)

「震災後、初めての食事」各地で食料・物資が枯渇 断水も…川で洗い物する89歳女性【もっと知りたい!】【グッド!モーニング】(2024年1月5日)

 能登半島地震です。石川県ではこれまでに亡くなった人は輪島市や珠洲市など合わせて84人、安否が分からない人は179人に上っています。いまだ被害の全容がつかめていないのが実情です。

 こうしたなか、4日夕方、生存率が大きく下がるとされる発生から72時間を超えてから女性が救出されました。

■ショッピングセンターが食料無料提供

 1階部分が崩壊した住宅で下敷きになっていたのは、この家に住む80代の女性。72時間を過ぎてすぐのタイミングで救出されました。

消防隊員
「よう頑張ったね。大丈夫やからね」

 女性は消防隊員の呼び掛けに応じていて、市内の病院に搬送されたということです。

 番組が津波でも大きな被害が出た石川県珠洲市に向かうと、道路が隆起していたり、マンホールが地中から飛び出している所がありました。

 能登半島の先端に位置する珠洲市では、4日までに確認された死者は23人に上っています。

 塩の生産地として有名で、豊かな自然に恵まれ、日本で初めて「世界農業遺産」にも登録された風光明媚(めいび)な地域です。

 地震だけでなく津波の被害もあった珠洲市沿岸にあるショッピングセンターは、もろに津波の被害を受けています。窓ガラスが粉々になっていて、物が散乱している状況です。

 珠洲市最大のショッピングセンター。目撃した住民によると、1メートル50センチほどの高さまで津波が押し寄せたといいます。誰もいない店の中には品物を持ち出そうとする人の姿がありました。

住民
「(Q.何をされている?)物資をみんな持って行ってもいいと連絡があった」
「(Q.中に何かありますか?)もうおおかたないみたいです」
「(Q.食料を探している?)はい」

 地域住民には「食品や生活用品などを持ち出して構わない」と、連絡があったといいます。

住民
「みんな海水につかってました。自己責任で」

■安否不明27人の捜索続く

 珠洲市の安否不明者は27人。生存率が著しく落ちるとされる発生後72時間が迫った4日午後も、警察や自衛隊による捜索が続いていました。

 この家には夫婦2人が住んでいるということですが、3日に倒壊した家屋の中から奥さんが1人見つかりました。奥さんの話によりますと、旦那さんがまだ家の中にいるということで、警視庁の救助隊が捜索を続けています。

 2階建ての1階部分が潰れてしまった住宅。自衛隊の重機も駆け付け、壊れた屋根を取り除きます。その最中にも地震を感知した警報が鳴り、現場に緊張が走ります。

 安全を確認後、作業を再開。発生から72時間を超え、日没を迎えました。

 捜索開始からおよそ3時間半が経った4日午後6時前、倒壊した家屋の中から、この家に住む男性が見つかったものとみられます。

 男性は1階の台所付近で発見されましたが、生体反応はなかったということです。

■「一日おにぎり2個」食料枯渇

 「住宅の9割が全壊か、ほぼ全壊した」という珠洲市。郊外に向かうにつれ、道路状況が悪化していきます。途中からは歩いて進みます。

 珠洲市蛸島町では、元は車がすれ違えるほどの広い道でしたが、崩れ落ちた住宅やガレージが、車の通行を阻んでいました。

 珠洲市の中心部からは5キロほど離れているため、がれきが撤去されず、食料や物資が届いていないと住民は訴えます。

避難所に毛布を運ぶ男性
「避難所の布団が足りなくて、毛布だけ家から持ってこようと。同じ部屋にいる人に配ろうかなと」
「(Q.今、足りないものは?)食べ物とか全部じゃないですかね。歯ブラシもないんじゃないですかね。食べ物も配ってはくれるけど、一日に2回『おにぎり1個』とか」
「(Q.水は1人1本ある?)1本は絶対にないです。同じ部屋で2リットルのペットボトル4本とか。大体何人くらいいるのか分かりませんけど、20人くらい同じ部屋にいるのでは。なるべく飲まないようにして」
「(Q.自宅は大丈夫?)今、帰省してて、(被災したのは)おばあちゃんの家なんですけど、ダメだと思います。半分に割れたので」
「(Q.その中から布団を?)結構危ないのかなと思うが、しょうがない。自分が取りに行かなくても、ばあちゃんが行こうとしたらまずいかなと思って」

 さらに蛸島町を進むと、水道が破裂しているのでしょうか。側溝から水があふれ出していました。

 住宅地の中の道は、倒壊した家屋で完全にふさがっていました。

 国道のトンネルが崩壊し、孤立している珠洲市仁江町。住宅の裏山が崩れ、12人が生き埋めになりました。5人が救出され、そのうち4人の生存が確認されていますが、4歳の幼児や小学4年生の児童を含む7人がいまだ安否不明です。

■炊き出しに…被災者「1日から初めての食事」

被災した男性
「これ、私の家です。ここが玄関です。跡形もないですね」

 わずかに残された玄関の建具。輪島市では、観光名所の「輪島朝市」の周辺およそ4000平方メートルが焼失しました。建物は骨組みだけが残され、黒く焼け焦げたトタンが散乱しています。

 輪島市では、帰省していた富山市内在住の中学1年生など48人の死亡を確認。人口の半数以上にあたる、およそ1万2000人が避難を続けています。

 地元住民が外でテントを張り、おかかやゆかりのおにぎりを握ります。

女性
「ありがとうございます」

男性
「ありがとう、初めて。1日から初めて(食べる)ありがとう」

■能登半島“大動脈”通行困難

 十分に行き届かない支援物資。4日も金沢市内から支援物資を乗せたトラックが向かいます。しかし、通常であれば金沢市から穴水町まで1時間半で行けるところ、4日は4時間かけて到着。ようやく物資を届けることができました。

穴水町 観光交流課 牛谷政樹さん
「道路状況も普通の時でしたら、すんなり行けるところもなかなか行きにくい状況になっています。普段の倍以上、3倍くらいかかったりする場所もあるので」

 上空からの写真をもとに3Dで作成した地図からは、能登半島を走る唯一の国道249号は一部通行止めになっています。他にも10カ所以上で通行できなくなっていることが分かりました。

防災アドバイザー 高荷智也さん
「半島の場合、道路交通網が一方向しか開通できない特徴を持っている。これも支援物資の送る時間がかかっている理由になっているのではないかなと思われます」

 海から砂浜に上陸したのは、自衛隊のホーバークラフト。船の上には重機が載せられ、支援物資も積まれています。しかし、地震や津波でダメージを受けたため、海から近づくことは難しいといいます。

高荷さん
「船を使って町の中心部に送りこむというよりは、山道のような道路しかない離れた集落へどう支援を届けるかが課題になっていく」

 カギを握るのは、空からの輸送です。

■「早く物資を」観光名所で孤立

 土砂崩れや地割れで寸断された道路。この先にあるのは「白米千枚田」です。日本の棚田百選にも選ばれ、日本海を望む広大な斜面に1004枚の棚田が広がっています。

 棚田を一望できる道の駅。駐車場には大きな亀裂が入っています。今も夫と息子が道の駅に取り残されている女性に話を聞きました。

夫と息子の救出を待つ女性
「父親が12月20日ごろに単身赴任が急に決まってしまったので。息子がお父さん大好きなので、金沢まで1人で行きました」

 父親が暮らす金沢に、初めての一人旅に出掛けた10歳の息子。この写真は1日の正午すぎ、地震発生の4時間前に撮影されました。

 女性が2人と連絡が取れたのは、地震発生から2時間後でした。

夫と息子の救出を待つ女性
「最初は『大丈夫だよ』っていう元気がある声で。もう声を聞いてホッとしました」

 売店に残されていたおにぎりを70人で分け合い、救助を待っているということです。

夫と息子の救出を待つ女性
「みんな徐々に疲れがたまってきているので、少しでも早く物資が届くようにお願いしたいです。もう本当に好きなものを食べさせてあげて、あったかい布団で寝かせてあげたいです」

■ガソリンスタンド、給水に行列

 輪島市の南に位置する能登町では、ガソリンの給油を求めてガソリンスタンドに長い車の列が続いていました。

住民
「ハイオクでもなんでも入れてもらわないと、どうしようもない。私、車中泊もう2泊していますよ。車がないと寒くてダメ」

 物資が不足するなか、自衛隊の給水車両が到着しました。地震発生後、初めての給水活動に住民が次々と集まってきます。待ちに待った給水です。

住民
「どこから持ってきました?」
自衛隊
「三重県の方から来て」
住民
「本当にありがとうございます」

住民
「きのう500ミリリットルのペットボトルの水は配給していただいて、この給水車は初めてです。助かります。ありがとうございます」

 場所を移動して、消防車のスピーカーで水を取りに来るよう呼び掛けます。

 ペットボトルやポリタンクを持って集まる住民。給水車の前にはすぐに列ができました。

 石川県では13の市や町で断水が続いていて、8万2500軒以上に影響が出ています。

■断水のため川で洗い物「正月早々嫌だよね」

 雨の中、川で何かを洗っていた女性がいました。

干場みち子さん(89)
「(Q.今、何を洗っていた?)今ちょっと鍋を、水出ないしね。川に汚いのだけ落としてきたんです。水、全然出ないしね」

 断水しているため川で鍋を洗っていた、89歳の干場みち子さん。自宅を見せてもらいました。

干場さん
「壁落ちて、これ見てください」

 部屋の壁がはがれ落ち、家具が散乱しています。

 番組スタッフが外れたままになっていた窓を直します。

 部屋には大きなたんすが横倒しになっていました。高齢の女性1人では、家具を持ち上げることは難しく、カメラマンもカメラを置いて、重いたんすを立て直します。

 すると、立て直したたんすの上に、1枚の写真を置きました。写真に映る干場さんの息子。震度7を観測した石川県志賀町で被災した妻の実家の片付けを手伝っているといいます。

 35年前から、この家に住んでいる干場さん。家のあちらこちらには、大切な思い出が残っていました。

干場さん
「(Q.地震の後、家を見てどう思った?)あぁ…と思ったわね。なんとひどい…。命を落とす人もいるんだから、まだ命あっただけね、助かるけどね。本当にこんな恐ろしい、正月早々嫌だよね」

(「グッド!モーニング」2024年1月5日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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