人道回廊設置も病院に攻撃…イスラエルが戦闘“一時休止” 人質交渉・大規模侵攻は?(2023年11月10日)

人道回廊設置も病院に攻撃…イスラエルが戦闘“一時休止” 人質交渉・大規模侵攻は?(2023年11月10日)

人道回廊設置も病院に攻撃…イスラエルが戦闘“一時休止” 人質交渉・大規模侵攻は?(2023年11月10日)

ヨーロッパでは9日、各地で「水晶の夜事件から85年」の追悼集会が行われました。“水晶の夜”とは、1938年にナチスのメンバーによってシナゴーグや民家が襲撃され、多くのユダヤ人が殺害された事件です。のちのホロコーストにつながる転換点だったとされています。
デンマーク連邦議会議長:「ホロコーストの始まりであり、数百年で最も暗い歴史の一章です。10月7日に虐殺されたイスラエルの犠牲者をしのぶためでもあります」

ただ、こうした日にもイスラエルによる地上侵攻を批判する声は世界中で上がります。停戦を求める声は、日に日に大きくなっています。

そんななか、アメリカ政府は、イスラエル軍が人道目的のために1日4時間は、戦闘を一時休止すると発表しました。
NSC・カービー戦略調整報道官:「(Q.戦闘休止の仕組みは。イスラエル側は約束を守るのか)イスラエル側は確約しています。“戦闘休止”の3時間前にイスラエル側はさまざまな方法で、“休止”の時刻と安全な避難ルートを北部の住民に通知します」

イスラエル軍(10日):「イスラエル軍は、きょう朝10時から夕方4時まで、南に退避することを許可する」

人道回廊の設置は、日本時間10日午後5時から6時間。双方がどのレベルまで戦闘の一時休止を行っているか、詳しいことはわかりません。

一方で、イスラエル軍の北部での動きは、多くの避難者が身を寄せる病院周辺への攻撃が目立ってきました。
シファ病院では、戦車が1.2キロの所まで迫っているそうです。「地下にハマスの司令部がある」とイスラエル側は主張していて、攻撃対象になっています。しかし、数時間前にあった空爆での犠牲者は、見る限り民間人だけでした。

一時的な戦闘休止は、毎日、数時間、行われるということですが、イスラエルの考えです。
イスラエル・ガラント国防相:「私たちは人質がガザにいる限り、そして、ハマスの軍事及び行政の能力を破壊させるまで、攻撃を止めることはない」

実現に尽力したというアメリカはどう思っているのでしょうか。
アメリカ・バイデン大統領:「(Q.ネタニヤフ首相に3日間の戦闘休止を)3日間以上求めた。(Q.すべてを聞き入れなかった、首相へのいら立ちは)期待したより時間がかかっています」

◆中東情勢に詳しい慶応義塾大学の錦田愛子教授に聞きました。

アナウンス通り、戦闘休止が事実だとして、これが状況の改善につながるのでしょうか。

錦田愛子教授:「人道の面では、小さな一歩を踏み出したが、楽観できない状況。現在、イスラエルは、ガザ北部の一部を占領したことで、国内に示せる成果を得たため、人質交渉が可能な段階になってきた。ただ、イスラエルの目的はハマスのせん滅。住民を逃げやすくし攻撃しやすくする。つまり、大規模侵攻の準備を進めている可能性がある。同時に国際社会に配慮し、パフォーマンスの面もある。人質交渉よりも侵攻を優先して動く場合もあるので、そういう意味では楽観視できない」

◆アメリカが“イスラエル軍の戦闘休止”を発表した狙いについて、テレビ朝日・梶川幸司ワシントン支局長に聞きました。

梶川幸司ワシントン支局長:「アメリカがイスラエルに働きかけたという構図を、主体的に強調する意図があったのでは。民主党を支持するリベラル層の批判が目立っている。バイデン大統領は、来年の大統領選を控え、国内世論を無視できない。きょうの発言や態度は、イスラエルへのある種のいら立ちを見せることで、国内世論に対して理解を得たいという意図もあるのではないか」 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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