漁師悲鳴「転職も」 静岡でシラスの水揚げ激減 全盛期の10分の1の港も…(2023年11月2日)

漁師悲鳴「転職も」 静岡でシラスの水揚げ激減 全盛期の10分の1の港も…(2023年11月2日)

漁師悲鳴「転職も」 静岡でシラスの水揚げ激減 全盛期の10分の1の港も…(2023年11月2日)

 「シラス」は1年で今の時期が一番おいしいと言われています。しかし今、シラスの水揚げ量が激減していて、高級食材化が進んでいます。

■漁師悲鳴…2年連続の不漁

 シラスの水揚げ量が静岡県内トップの舞阪漁港。多い時には、シラスが30ケースほど並んでいた時もあったそうですが、今年は数ケースだけです。

 静岡と言えば、シラスを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、一部の港では全盛期の10分の1にまで落ち込み、漁師からは悲鳴が上がっています。

 漁師:「今年は全然だめだね。今の状況だと、終わっていくんじゃないかな」「網をできるような状況ではなかったので戻って来た。転職も考えざるを得ないくらい。今年のような漁が続くと」

 静岡県内のシラスの水揚げ量は、2015年には8500トンほどありましたが、去年は過去2番目に少ない3436トンまで落ち込みました。今年も9月末時点で2134トンと、回復の気配は見られず、2年連続の不漁となっています。

 この日も、漁を終えた船からシラスの入ったカゴが降ろされましたが、ほとんどの船が1箱から3箱ほどです。

 浜名漁業協同組合 渥美敏組合長:「漁業者も非常に収入が減りますし、出漁しても、ほとんどとれないで帰ってくる船もここ1~2カ月多い。やはり群れが小さい。連続してとれない。ある日どかんととれても、それで終わってしまう」

 燃料費が高騰していることもあり、漁師にとってシラスがとれないことは死活問題です。

■どんぶり店「我慢してやるしかない」

 その影響は、飲食店にまで広がっています。

 駿河湾で水揚げされた、新鮮なシラスのどんぶりが人気の店「どんぶり工房」。10年前のオープン当初は、シラス丼を500円で提供していましたが、度重なる値上げで、現在は800円になっています。

 どんぶり工房 大石泰生代表取締役:「去年から比べると、(仕入れ価格は)1.5倍から2倍。非常に高い。何カ月に1回くらい値上げをしているので、またこれで値上げというと、お客さんも引いてしまうかもしれない。我慢してやるしかないね」

 静岡でシラス激減のワケ。そこには、冷たい海水の渦がもたらす“海流の変化”がありました。

■原因は…「黒潮大蛇行」か

 静岡の名産品の一つであるシラスの水揚げ量が今、激減しています。なぜ、シラス不漁が起きているのか。専門家は、次のように話します。

 海洋研究開発機構 美山透主任研究員:「現在、黒潮大蛇行が発生していて、黒潮大蛇行の時はシラスが不漁になる傾向は見られていると思います」

 黒潮は通常、九州から関東にかけて日本の南側に沿うように流れていますが、本州南岸に大きな冷たい海水の渦が発生すると、黒潮は南に大きく迂回して流れます。これが黒潮大蛇行です。

 冷たい海水の渦の北側には、黒潮の分岐流が流れ込むため、東海などの沿岸では例年より水温が高くなり、シラスの不漁につながったとみられています。

 美山主任研究員:「今回の場合は2017年に発生して、まだ続いているという状況で、これは観測史上最長の黒潮大蛇行ですね。今の様子だと少なくとも来年半ば、場合によってはもっと長く続く可能性があると考えています」

 「シラス漁」は来年の1月中旬まで続きます。不漁が長引けば今後、シラスは高級食材になってしまうかもしれません。

(「グッド!モーニング」2023年11月2日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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