借金1億円で「体育館」建設…和菓子職人の思い「スポーツの場を!」県外から見学者も(2023年9月20日)
地域の人たちにスポーツができる場所を提供するため、1億円を借金して体育館を建てた男性。個人で体育館を建てた理由は一体何なのか、取材した。
■多くの人が集まる…人気スポットに
群馬県伊勢崎市上田町。この地区の人口は、およそ1000人。のどかな田園風景が広がっている。
そんな場所に今年5月、新しくできた体育館「X PARK 1510(クロスパークイチゴイチエ)」がある。
中にお邪魔すると、高齢女性のグループが仲良くストレッチ中。そして、バドミントンを楽しむ親子もいた。
体育館を利用する親子:「週4とか、多い時には本当、夏休みとかほぼ毎日来たりとか」
今では多くの人が集まる、人気スポットになっている。
体育館の利用者(50代):「(Q.普段、運動はなかなかできない?)なかなかできないです、主婦は。こういう体育館ができたのは、運動するきっかけにもなったので、とてもありがたいです」
実はこの体育館、公共の施設ではない。個人が建てた体育館なのだ。
伊勢崎市にある和菓子屋「菊花堂」。その2代目店主・堀田享さん(54)。
堀田さん:「高級な和菓子を売っているわけじゃなくて。普段は地域の方が買いやすい値段の和菓子を作っております」
大福1個130円、どら焼きは1個180円。どれも、お手頃価格というお店の看板商品が、みたらし団子だ。1本80円というお値段で、地元の人に愛され続けている逸品だという。
仕込みを終えると、堀田さんは経営する体育館に向かう。
今年5月に完成したばかりの堀田さんの体育館。バスケットボールコート1面分の広さに加え、ロッカールームやシャワー室も完備している。
この体育館は、1時間550円から利用することができる。中には、こんな人もいる。
体育館利用者:「ほぼほぼ毎日来てます。こういう施設がもっと増えたら良いなと純粋に思う」
今後、体育館には、シミュレーションゴルフや整体院、カフェなどのテナントも入る予定だという。まさに、複合型の体育館だ。
ただ、気になるのは体育館の総工費だが…。
堀田さん:「土地を含めて、1億4000万円強かかっています」
銀行から、1億円の融資を受けたという堀田さん。毎月60万円ずつ、25年かけ返済していく計画だという。
なぜ堀田さんは、そこまでして体育館を建てたのか?
■堀田さんが…体育館を建てた理由
堀田さん:「スポーツできるような場所がなくて。地域の子どもたちから、お年寄りまで、様々な年齢層の方が、様々なスポーツができるように。そんな場所をつくりたくて、この体育館をつくりました」
伊勢崎市内には公共の体育館は5カ所あるが、堀田さんが住む地域に体育館はなかったという。
地域住民(75):「体育館なんかがあれば、便利だと思いますよ」
地域住民(75):「天候に左右されないで、屋内でできるところがあれば、毎日ルーティンでできるから。希望的には、そういうのがあれば良いですね」
「近くに体育館があれば毎日、体を動かしたい」。そんな人たちの思いを知った堀田さん。体育館を建てる決断をしたという。
さらに、もう一つ大きな理由が…。
実は堀田さんは、東海大学や社会人チームでプレーしたバスケットボール選手だったのだ。
引退後は、家業の和菓子屋を継ぎつつ、中学生のクラブチームを指導している。
そんな堀田さんは、ある壁にぶつかった。練習場の確保に苦労していたのだ。
地域に体育館があれば、思う存分練習することができる。これが体育館を建てた、もう一つの理由だった。
今では、若者だけでなく、高齢者たちが体を動かすのに欠かせない場所になっている。
この日、皆さんが楽しんでいたのは輪投げ。なかには、92歳の人もいる。
体育館利用者(92):「まったくだね。全然だね」「地元にこのような立派な施設ができることはいいこと」
体育館利用者(80):「(Q.やっぱり(体を)動かすと良い?)そうですね。血流がよくなるから脳にも良いんじゃないですか」
体を動かすだけでなく、コミュニケーションの場にもなればと堀田さんは考えている。
自ら体育館を建てた堀田さんの挑戦に、影響を受ける人たちも出てきた。
堀田さん:「(Q.これからどこに行く?)きょう、体育館を見学に大阪から来られる方を迎えに駅まで行きます」
「自分も体育館を持ちたい」と思う人たちに、堀田さんは勇気を与えていたのだ。
■影響を受けた人も…大阪から見学者
群馬県伊勢崎市上田町に、今年5月にオープンした民間の体育館。老若男女が、スポーツを楽しむ場となっている。
この体育館を建てた堀田さんの挑戦に、影響を受けた人がいた。
SNSで堀田さんの体育館を知り、興味をもったという金井みちよさん。大阪でスポーツインストラクターをしている。
金井さん:「わ~すごい!」
体育館を訪れ、感激した金井さん。すると、うれしそうに走り出した。
実は金井さんも、指導する場所の確保に苦労しているという。そんな時、自分で体育館を建てた堀田さんの存在を知り、訪ねてきたのだ。
金井さん:「クッション良いですね」
堀田さん:「これは倒れても痛くないんですよ。あまりひざついても」
金井さん:「ほんまや」
金井さん:「できたら大阪で。みんながこう、集まってもらいやすい、それが体育館なのか違う形か分かりませんけど、それができたら最高ですよね」
堀田さん:「『私も建てます』という人が、本当に出てきて。自分が建てたことで『勇気をもらいました』とか、『何だかできそうな気がする』みたいな人が何人もいて。全国規模で、色々なところに民間でも運営する体育館が各地で広がれば良いなと思って、すごくうれしく思っています」
■堀田さん「ふらっと来て、楽しめる場所に」
民間の体育館を開業した堀田さんが思い描く、未来図を描いてもらった。
絵には、たくさんの思いが込められていて、堀田さんが建てた体育館の未来を表しているそうだ。
今後はコンサートや結婚式、盆踊りなど、スポーツ以外のイベントの開催も今後目指していきたいという。
さらに、星が散りばめられた日本地図も描かれている。
この絵には、このような体育館が全国各地に広がってほしいという思いが込められているそうだ。
公共の体育館は、借りようと思うと時間がかかったり、長いところでは利用まで1年以上待つケースもあるという。
堀田さんは「誰でもふらっと来て、スポーツやイベントを楽しめる場所にしたい」と話していた。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年9月20日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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