「ハンコ」が外国人を魅了“当て字”に感激…どう使う? “手作り”求め…街に観光客【Jの追跡】(2023年9月16日)

「ハンコ」が外国人を魅了“当て字”に感激…どう使う? “手作り”求め…街に観光客【Jの追跡】(2023年9月16日)

「ハンコ」が外国人を魅了“当て字”に感激…どう使う? “手作り”求め…街に観光客【Jの追跡】(2023年9月16日)

苦境のハンコ業界で老舗店が新商品を開発。英語の名前と当て字の2種類が彫られた「デュアル(2重)ハンコ」。店主のこだわりは「当て字を組み合わせると一つの意味が生まれる」。

スイスからの留学生・ドゥシャンさん(16)の当て字は、「ドゥ」→「道(ドウ)」、「シャン」→「志(シ)」「案(アン)」。その意味とは…。

初めてのハンコは、ホームステイ先の家族に渡す感謝の色紙に押されました。

一方、生産量日本一の“ハンコの里”山梨県市川三郷町では「手彫り体験」で外国人観光客に人気です。アメリカから来た姉妹が挑戦で、姉は自作のハンコで苦手克服!?

販路を広げるため海外の展示会に出展すると「ドイツの陶芸家が陶器のサインにハンコを使いたい」陶器用のハンコを作製。他にも、文字が浮き出るハンコや水晶に彫られたハンコなど…。生き残りをかけた挑戦が続いています。

■“ある商品”開発…客の8割が外国人

JR大井町駅から徒歩およそ3分。創業、大正10年の老舗ハンコ店「文福堂印房」。

3代目店主の松崎文一さん(64)は、外国人観光客をターゲットに6年前、“ある商品”を開発していました。

松崎さん:「脱ハンコやDX化などと言われて、だんだんハンコの必要がなくなってきた。必要とされないんなら、この商品面白いから買いたいという商品を作って、世に出してみたいと」

「アルファベット」の名前と当て字の漢字、二通りが彫られた「デュアルハンコ」です。

佳境の「佳(か)」に、恋愛の「恋(れん)」と書いてカレン。

信頼の「頼(らい)」に、安心の「安(あん)」でライアン。

今では、客の8割が外国人だといいます。

■デザインだけじゃない…店主の“こだわり”

この日、来店したのは、スイスから来日した留学生とホームスティ先の家族。

ホームスティ先の家族:「彼の名前は『ドゥシャン』という。漢字には、それぞれ意味がある。自分の子どもに名前をつけるように、良い名前(漢字)をつけてあげたい」

人気の理由は、デザインだけではありません。当て字にも、店主のこだわりがありました。

ホームスティ先の家族:「『ドゥ』と『シャン』の音が漢字だとない」

松崎さん:「『ドゥ』だったらこれ(道)をおすすめしたい」

スイスからの留学生 ドゥシャンさん:「気に入りました」

漢字が決まったその時、別の外国人が来店しました。

松崎さん:「タルネさん?」

ダルネさん:「ダルネ」

松崎さん:「ダルネさん」

来日して5年になるインド出身のダルネさん(54)は、携帯電話のエンジニア。かなり急いでいるようで…。

ダルネさん:「今!今!」「(Q.今必要なの!?)午後3時までに必要なんです。急いで作りに来た」

残り時間は2時間余り。急きょ、先にダルネさんのハンコを作ることになりました。そして、およそ30分後…。

ダルネさん:「ダルネ」

一体なぜ、3時までに必要なのか?ダルネさんに同行すると…。

ダルネさん:「ここに来たかったんだよ。娘が、日本は口座開設のためにハンコが必要だと教えてくれた。初めて使うから楽しみだよ」

しかし、口座開設にハンコは必要なかったということです。

一方、スイスからの留学生、ドゥシャンさんのハンコも出来上がりました。

「ドゥ」は「道(みち)」。シャンは「志(こころざし)」と「案(あん)」。この漢字を選んだ理由とは…。

松崎さん:「志をもって最終的な自分のプラン(案)へ向かって道をいっていると」

店主のこだわりは、組み合わせた当て字が意味を持つようにすることでした。

ドゥシャンさん:「この漢字の通り、志をもって自分の道を進めるように、机に置こうと思うよ」

初めてのハンコは、ホームスティ先の家族に渡す感謝の色紙に押されました。

■日本好きの父への土産に「ハンコ」

さらに、翌日帰国するカナダからの留学生ナーゲスさん(23)。父親へのお土産に、ハンコを選びました。

ナーゲスさん:「素晴らしい!ありがとうございます」

大学の教授だという父親の名前は「ブザーリ」さん。大の日本好きということで…。

ナーゲスさん:「名前が入ったスタンプ(ハンコ)って、すごく特別だし、絶対に喜ぶと思うわ」

ところが帰国後、父親のブザーリさんにお土産を渡すと…。

ブザーリさん:「タトゥー(のデザイン)?」

ナーゲスさん:「タトゥーNO!NO!」

ブザーリさん:「お!ブザーリって彫ってある!スタンプか!」

ナーゲスさん:「そう!これはハンコっていうの!」

日本好きの父親ですが、実はハンコの存在を知りませんでした。一体、どう使うのでしょうか?

ブザーリさん:「本を貸すと返ってこないことがある。これで、この本は永遠に僕のものだね。センキューHANKO!」

■世界で一つ…外国人観光客「手彫りハンコ」に挑戦

一方、“ハンコの里”と呼ばれる山梨県市川三郷町。日本一の生産量を誇ります。

外国人観光客自らが熱心に作っていたのは、世界で一つの手彫りのハンコ。これが、意外なことに役立ちます

創業、大正7年の原田晶光堂。5年前から「ハンコ作り体験」をはじめると、外国人観光客が町に来るようになったといいます。

この日、アメリカからやって来た中国系の姉妹。ジアンさん(35)とヴィッキーさん(29)です。

彫っていたのは2人のファミリーネームの「キョウ」。画数が多く、かなり難度が高い文字です。開始から、わずか3分で…。

妹・ヴィッキーさん:「小さいから目が疲れてきちゃった。首が痛いわ…」

姉・ジアンさん:「職人さんは、彫るのにどれぐらいかかりますか?」

職人:「5分くらいかな?」

ジアンさん:「5分!?」

ヴィッキーさん:「1本の線しか彫れないよ~!」

そして40分後、ついに完成。その出来栄えは…。

ヴィッキーさん:「ぐちゃぐちゃだわ」

ジアンさん:「かわいいわよ」

ヴィッキーさん:「子どもがやったみたい」

姉のジアンさんは、線の太さが均等でバランスが良い出来栄え。一方、妹のヴィッキーさんは、線が曲がって、間隔もバラバラですが…。

ジアンさん:「自分で彫ると、個性が出で愛着がわくよね」

姉のジアンさんは、ハンコを作ったことで、これまで苦手だったことを克服したといいます。

後日、映像を送ってもらうと、ハンコを押していたのは日記です。使うのが楽しみで、毎日書くようになったといいます。

体験会を企画した原田晶光堂では、日本のハンコ離れを受け、新たな販路を模索していました。

原田晶光堂 原田弘代表(57):「本当に大盛況だった。これは大変なことになるなと」

それは、原田さんがオランダの展示会に出展した時のことでした。

原田代表:「(オランダの)陶芸家が、陶器の裏側に自分のネームを入れるんだけど、それを漢字を使ってハンコで作れないかと…」

そこで生み出されたのが陶器用のハンコ。粘土に刻印するため、文字が細く深く彫られています。

さらに、文字が浮き出るようなステンレス製のハンコ。水晶を使ったハンコもあります。もはや、インテリアの域です。

今後は、さらに海外に販路を増やしたいといいます。

原田代表:「日本人が考える、想像以上のことを…現地(海外)に行くと注文がある。ハンコ面白いよって。(まだ)いける努力をするということ」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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