【報ステ解説】「重要ポストに女性を」“過去最多”の女性閣僚5人 内閣改造固まる(2023年9月12日)

【報ステ解説】「重要ポストに女性を」“過去最多”の女性閣僚5人 内閣改造固まる(2023年9月12日)

【報ステ解説】「重要ポストに女性を」“過去最多”の女性閣僚5人 内閣改造固まる(2023年9月12日)

13日に行われる予定の党役員人事・内閣改造の顔ぶれが固まりました。鈴木財務大臣・西村経産大臣・河野デジタル担当大臣など、6人が「留任」。政権の骨格となる顔ぶれは変わらないものの、11人が初入閣、女性は、過去最多にならぶ5人が起用される見通しです。

外務大臣に内定したのは、岸田派で法務大臣を3回務めた、上川陽子氏(70)。さらに、当選3回の加藤鮎子氏(44)。今の岸田派をかつて率いた、加藤紘一元幹事長を父に持ち、44歳での初入閣となります。そして、同じ40代で参院2期目、小児科医の自見はなこ氏(47)も初入閣することになりました。

こうしたなか、党4役の1つ、選挙対策委員長に抜てきされることに決まったのが、小渕優子元経産大臣(49)です。

小渕優子経産大臣(当時):「ご迷惑をかけている、全ての皆さまに心からのおわびを申し上げます」

9年前、関連する政治団体に政治資金規正法違反の疑いが浮上し、大臣を辞めた小渕氏。家宅捜索を前に、元秘書がハードディスクにドリルで穴をあけたことも話題になりました。その起用をめぐっては、自民党内でも賛否両論のようです。

自民党幹部:「(政治資金の問題で)本人は地元で会見をして済んだという認識があるんだろうけど、それではなかなか通らないだろう」

自民党閣僚経験者:「閣内だと答弁の機会があるから『禊(みそぎ)が済んでいないんじゃないか』という話になることも考えられただろう。選対委員長として各地を回ってもらえば、自民党の女性登用の顔になってもらえる」

“次の選挙”を見据える一方、“次の総裁選”を意識したと言われるのが、茂木敏充幹事長(67)の留任です。

自民党関係者:「留任は茂木さんの好き勝手にやらせないための嫌がらせだろう。『総裁選に出ようものなら、小渕さんを優遇するぞ』という警鐘だ」

来年秋に控える総裁選で、ライバルとなり得る茂木氏。幹事長にとどめることで、出馬に向けた動きを封じ、さらに、森元総理などの重鎮から“将来の総裁候補”とも期待される小渕氏を起用し、けん制する狙いがあるとみられています。

その森元総理が今も影響力を持ち続ける、最大派閥・安倍派。今回の人事の焦点の一つとなっていました。11日、官邸にも出入りしていた萩生田光一政調会長(60)。一時は「官房長官ではないか」との話も浮上しましたが、留任に。その官房長官には、同じ安倍派の松野博一氏(60)が留任することとなりました。

留任が続く一方で、去っていく人も。処理水を「汚染水」と表現したことなどが問題視された、野村哲郎農水大臣は…。

野村農水大臣:「私はもう年齢も80歳になりますので、ちょっと疲れたなという思いがあります」

また、週刊誌でスキャンダルが報じられた、木原誠二官房副長官も退任させ、党の役職につける見通しです。

内閣改造・党役員人事は13日に行われる予定です。

◆安倍派への配慮?総理の思惑は

【改造内閣の顔ぶれ】
総務大臣:鈴木淳司氏(65)安倍派・初
法務大臣:小泉龍司氏(70)二階派・初
外務大臣:上川陽子氏(70)岸田派
財務大臣:鈴木俊一氏(70)麻生派・留任
文部科学大臣:盛山正仁氏(69)岸田派・初
厚生労働大臣:武見敬三氏(71)麻生派・初
農林水産大臣:宮下一郎氏(65)安倍派・初
経済産業大臣:西村康稔氏(60)安倍派・留任
国土交通大臣:公明党・斉藤鉄夫氏(71)留任
環境大臣:伊藤信太郎氏(70)麻生派・初
防衛大臣:木原稔氏(54)茂木派・初
官房長官:松野博一氏(60)安倍派・留任
デジタル大臣:河野太郎氏(60)麻生派・留任
復興大臣:土屋品子氏(71)無派閥・初
国家公安委員長:松村祥史氏(59)茂木派・初
こども政策担当大臣:加藤鮎子氏(44)無派閥・初
経済再生担当大臣:新藤義孝氏(65)茂木派
経済安保担当大臣:高市早苗氏(62)無派閥・留任
地方創生担当大臣:自見はなこ氏(47)二階派・初

【自民党執行部】
副総裁:麻生太郎氏(82)麻生派・留任
幹事長:茂木敏充氏(67)茂木派・留任
総務会長:森山裕氏(78)森山派・横滑り
政調会長:萩生田光一氏(60)安倍派・留任
選対委員長:小渕優子(49)茂木派・初

自民党の派閥別に入閣の顔ぶれを見てみると、自民党第1派閥『安倍派』からは4人。第2派閥『麻生派』も4人。第3派閥『茂木派』は3人。4番目の勢力となる岸田派、二階派は2人ずつ。各派閥の勢力バランスに配慮した起用の形になっています。

政治部官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。

(Q.岸田総理にとって、やりたいことをやれた人事でしたか)

千々岩記者:「刷新感で言えば、初入閣が11人いて、19人のうち半分以上です。本来であればワッと思うはずですが、初入閣11人のうち半分以上は派閥の推薦を受けています。バランスを取った部分があるので、刷新感が薄いのはそのためだと思います。できたことは、岸田総理は『女性を2人から倍増する』と言って5人になりました。ある派閥幹部によりますと、総理サイドから『女性をとにかく推薦してほしい。良い人材がいたら是非』というくらい、岸田総理はこだわっていました。できなかったことは、萩生田氏を官房長官にすること。かなり模索していましたができませんでした。もう一つできなかったは、水面下でかなり動いていた『自公国連立』。連立を組みかえて政権の安定も狙っていましたが、なくなりました」

(Q.外務大臣には、元法務大臣など務めた上川氏が起用されました。これはどういう狙いがありますか)

千々岩記者:「上川氏は岸田派で、能力を買っていることもありますが、財務大臣・防衛大臣の検討もされていました。女性の数を増やすだけではなく、主要閣僚の顔を作る模索があったようです」

(Q.派閥で見ると、安倍派の主要メンバーに手をつけませんでした。これはなぜですか)

千々岩記者:「これは間違いなく、安倍派へのメッセージです。今、岸田政権を支えているのは、第2派閥の麻生派、第3派閥の茂木派、第4派閥の岸田派です。岸田総理からすると、肝心の第1派閥の安倍派が不安要素で、『ちゃんと処遇していますよ』というメッセージ。この根底にあるのは党内の安定で、その先にあるのは政局。権力争いという意味では、来年9月の総裁選です。これを乗り切るため、安倍派にメッセージを送る狙いがありました」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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