市民も標的に…1審で死刑判決 「工藤会」元組員が語る“実態”(2023年9月12日)

市民も標的に…1審で死刑判決 「工藤会」元組員が語る“実態”(2023年9月12日)

市民も標的に…1審で死刑判決 「工藤会」元組員が語る“実態”(2023年9月12日)

 13日、控訴審を迎えるのは1審で死刑などの判決が出された工藤会総裁の野村悟被告ら2人です。かつての工藤会第2の本部事務所はシャンデリア輝く豪華な内装はそのままに、意外な姿に変化を遂げていました。

■「月900万円」元組員語る“実態”

 現場には怒号が飛び交っていました。2012年、暴力団の家宅捜索を行った際の映像です。日本で唯一「特定危険指定暴力団」に指定されている工藤会。その後、逮捕されたのはそのトップ2人でした。元漁協組合長への殺人罪、さらに県警OBや看護師ら一般市民を組織として襲撃した罪に問われています。1審で死刑判決などが出され、控訴審が13日に始まります。

 工藤会系元組員:「上の命令は絶対みたいな感じで。総裁のためだけに行ってこいみたいな」

 前代未聞の一般市民が暴力団の標的となった事件。組織の暴走の背景を元組員が語りました。

 工藤会系元組員:「工藤会の(実在する)団体。(入ったのは)25年くらい前」

 物腰は柔らかく、外見からは元組員とは想像がつかない男性。逮捕された2人がトップを務めた工藤会系元組員です。違法な金利で金を貸し、高額の収入を得ていた当時を振り返ります。

 工藤会系元組員:「月に一番いい時900万円ぐらいもらっていた。高利(貸し)。10日で1割は安い方で、週に3割とか10日で3割とか。法外な利息を取って」

 男性が所属していたのは、北九州市のあらゆる利権を得るために数々の事件を起こしたとされる「工藤会」の団体。押収されたロケットランチャー。他にも銃など物騒なものが住宅街で見つかっています。元組員の男性が所属していた当時は溝下秀男氏が“総裁”でした。

 工藤会系元組員:「亡くなられた溝下先代がすごく怖かったんですけど、義理人情に厚く、すごくカリスマ性があった」

■市民も標的に…1審で死刑判決

 2000年、健康上の理由で総裁が溝下氏から、控訴審を控える野村被告に変わります。県警幹部によると、市民への攻撃は野村体制になり一層増えたといいます。元組員もその空気を感じていました。

 工藤会系元組員:「(溝下先代が)亡くなられて野村総裁になってから工藤会が変わった。カタギに手を出すのは野村総裁のあれだと思いますね」

 その後、“頂上作戦”により逮捕された野村総裁と田上不美夫会長のトップ2人。2019年、その2人の裁判。公共事業の利権を巡り、元漁協組合の組合長が射殺された事件をはじめ、市民が標的となった4つの事件が対象です。

 1審はトップの指示があったと判断。総裁の野村被告に死刑、会長の田上被告に無期懲役の判決を言い渡しました。

 工藤会系元組員:「(Q.指示がなく下の組員だけで考えて襲いに行った?)ないです、それはないです」「(Q.下の組員にとってメリットは?)ないと思いますよ。控訴審で田上会長は2つの事件で『自分が指示した』って言うと。実際には野村総裁だと思う。(野村総裁の)死刑を回避させるため」

 頂上作戦により、“船頭”を失った工藤会。徐々にその求心力を失います。

 工藤会系元組員:「(2人が逮捕されてから)知っているだけで20、30人が辞めた」

 男性も1審判決後に離脱。今は福岡市内の飲食店で働いています。

 工藤会系元組員:「悩みがなくて楽。口座を作れなかったことくらい。それ以外は別に不自由を感じていない」

 以前は物々しい雰囲気が漂っていた場所。立ち退きが功を奏し、今は意外な活用をされています。

■工藤会“元拠点”デイサービスに

 工藤会の表札が掲げられ、住宅街を物々しい雰囲気に包んでいた「第2の本部事務所」ともいわれた「長野会館」。住民らの立ち退き運動が起きました。立ち退きが実現。その後、医療法人が買い取り、今はデイサービスとなりました。今もシャンデリアや豪華な庭造りなど面影は残されています。

 デイサービス「ヴァイオリン」 野見山耕一管理人:「どういうふうに使っていいんだろうと戸惑いがあったが慣れた。笑い声が聞こえるけれど、常時こんな感じ。恐怖から笑顔に変わった」

 暴力団が市民を標的にした異例の事件。トップ2人の控訴審は13日に始まります。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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