【報ステ解説】サウジがスーパースター集める理由は?ネイマール選手580億円電撃移籍(2023年8月16日)

【報ステ解説】サウジがスーパースター集める理由は?ネイマール選手580億円電撃移籍(2023年8月16日)

【報ステ解説】サウジがスーパースター集める理由は?ネイマール選手580億円電撃移籍(2023年8月16日)

サッカー・ブラジル代表のネイマール選手(31)が、サウジアラビアの強豪チーム『アルヒラル』と2年で4億ドル(約580億円)とも言われる大型契約を結びました。スポーツ選手としては歴代最高クラスの年棒になるとみられます。

入団コメント:「グローバルな選手として、新しい場所で自分を試したいと思っていた。サウジアラビアのリーグは現在、大きく成長している」

ネイマール選手は、ブラジル代表でも10番を背負い、世界最高峰の現役選手の1人です。ネイマール選手が入団したアルヒラルは、アジアチャンピオンズリーグで優勝するなど、野心的なチームです。サポーターたちにとっては、たまらないニュースに他なりません。

アルヒラルのサポーター:「ニュースが流れてすぐここに来て、Tシャツが販売されるか確認した。誰よりも先に店に駆け付けたつもりが、もう混んでいて15分ほど待っています」「サウジアラビアでは何でも起こり得る。ここがヨーロッパになったようなもの」

ネイマール選手にここまでの額を払える、その原資は“オイルマネー”です。オイルマネーはこれまでも、サッカー界の勢力図を大きく変えてきました。また、往年の名選手たちがキャリアの最後を過ごすのも、中東のチームが人気でした。しかし、今の流れはこれまでと明らかに違います。

『アルナスルFC』C.ロナウド選手:「ヨーロッパでの仕事は終わった。僕はすべてを勝ち取った」

去年から今年にかけて、クリスティアーノ・ロナウド選手やベンゼマ選手など、トップ選手たちが相次いでサウジアラビアのリーグに移籍をしました。どの選手もバリバリの現役で、ベンゼマ選手は2022年のバロンドール受賞者です。ピークが過ぎたので最後のひと稼ぎ、という感じではありません。

サウジ・プロリーグ幹部カルロ・ノーラ氏:「戦略が実り、命が吹き込まれた瞬間と言えます。サウジの人たちがサッカーに注ぐ深い愛情にふさわしい、質の高いエンターテインメントを提供することになります。これは変革なのです。1回の週末で終わる話ではなく、世界のトップ10リーグに入る目標を達成するための序章なのです」

サウジアラビアがサッカー界に仕掛けているのは、いわば“国策”です。

サルマン皇太子:「2030年までに、サウジアラビアの様々なスポーツにおける質的飛躍を実現する」

ヨーロッパからトップ選手を獲得したチームは、その資金を政府系ファンド『PIF(公的投資基金)』から調達しています。2021年にイングランド・プレミアリーグのニューカッスルが約476億円で買収された時に中心だったのも、このPIFでした。PIFの総資産は80兆円を超えています。

PIFのHPから:「PIFはこれまで、85の会社を設立。50万人以上の雇用を創出し、約10兆円を積み上げた」

国を挙げてのスポーツ分野における投資。その対象は、サッカーにとどまりません。ゴルフ国際大会、F1サウジアラビアGP、eスポーツ国際大会…。ありとあらゆるところに、サウジアラビアのオイルマネーが注入されています。

イベントも目白押しです。2027年にサッカーのアジア大会。2029年に冬季アジア大会。2034年にアジア大会の開催が決定しています。ただ、見据えてるのは、サッカーのワールドカップとオリンピックの招致です。

サウジアラビア・スポーツ相ファイサル王子:「何でも可能です。サウジアラビアでスポーツイベントを開催することは重要なこと。これまでも多くのイベントを開催しており、戦略上可能とみれば、間違いなく招致するでしょう」

■有名選手が続々と…サウジの狙い

最近、サウジアラビアのチームに移籍した有名選手の推定年俸を見てみます。

ポルトガル代表のクリスティアーノ・ロナウド選手(38)
推定年俸:約2億2260万ドル(約323億円)
所属:アルナスル

元フランス代表のベンゼマ選手(35)
推定年俸:約2億2130万ドル(約321億円)
所属:アルイテハド

今回移籍が発表された、ネイマール選手
推定年俸:約2億ドル(約290億円)
所属:アルヒラル

元フランス代表のカンテ選手(32)
推定年俸:約1億1090万ドル(約161億円)
所属:アルイテハド

メジャーリーグ・エンゼルスの大谷選手の今年の年俸は3000万ドル(40億円超)。サウジアラビアのチームのほとんどは、王族が所有していて、莫大な資金力を持っていることが分かります。

中東情勢に詳しい、日本エネルギー経済研究所の理事・保坂修司さんに聞きました。

(Q.ここまでサウジアラビアがサッカーに力を入れる理由は)

保坂さん:「石油輸出のみに依存していては、経済的には不安定。そのため“経済の多角化”が必要と考えている。その一環として“スポーツ”“エンタメ”“再エネ”などに投資している」

サウジアラビアは“脱石油”に向けて、経済の多角化を目指す『サウジビジョン2030』を掲げています。その司令塔として、ムハンマド皇太子がトップを務める公的ファンド『PIF』があります。国家戦略のうち、スポーツではサッカーの有名選手たちを集め、注目を集めてビジネスにつなげようとしているということです。

(Q.オイルマネーで稼いできた、これまでのサウジアラビアのイメージとはかなり変わりますね)

保坂さん:「若者には公務員や石油企業など人気だが、雇用が少ない。一方で、製造業や小売りなどは“外国人労働者が就くもの”という考えが強い。若者の失業率が高いため、スポーツなどで若者の雇用を創出する狙いもある」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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