原発“核のごみ”最終処分場“調査”対馬が名乗り? 調査受け入れた村はいま…(2023年8月16日)

原発“核のごみ”最終処分場“調査”対馬が名乗り? 調査受け入れた村はいま…(2023年8月16日)

原発“核のごみ”最終処分場“調査”対馬が名乗り? 調査受け入れた村はいま…(2023年8月16日)

長崎県対馬市の議会で16日、原発を使う限り発生する高レベル放射性廃棄物、いわゆる“核のごみ”の受け入れに向けた“文献調査”の是非をめぐり、議論が行われました。

核のごみは、約8000年の間、地中深くに埋めて処理する必要がありますが、国内のどこに処分場を作るのか見通しは立っていません。その選定に向け、政府が進めているのが、3段階にわたって行う“調査”です。

対馬市で焦点となったのは、この1つ目に当たる“文献調査”です。過去の地震や活断層の有無などを調べます。この調査を受け入れた自治体は、最大20億円の交付金を受けることができるのです。

対馬市で、文献調査への応募を求める動きが出たのは、今年に入ってからのこと。地元の建設業界などから、調査に応じるべきとの請願書が提出されました。これに対し、漁協や市民団体などは反発。調査受け入れ反対の立場からも請願書が出され、議会は、賛否で揺れ動きました。

対馬市議会・上野洋次郎議員:「受け入れに賛成します。文献調査=処分場誘致ではない」
対馬市議会・小宮教義議員:「人口減少を少しでも食い止めるため、子どもたちの働く場所の確保。国境離島の地域社会の維持のためにも文献調査の推進が必要である」
対馬市議会・黒田昭雄議員:「(反対)署名の数、約2万以上、少なくとも対馬市民の皆さまが、対馬を愛する島外の皆さまが、この最終処分場を嫌がっている」

先輩議員が、『賛成』に転じたことに、涙ぐむ議員もいました。
対馬市議会・脇本啓喜議員:「貴職は17年前の採決では、誘致に反対していました。貴職が賛成へと転換した理由をお聞きします」

3時間に及ぶ議論の末、可決されたのは、調査受け入れに『賛成』の請願書。『反対』の請願書は、否決されました。

傍聴には、反対する市民らが訪れていました。
市民:「特別老人ホーム1軒建てたら10億円くらいかかる。その程度のお金が入っても、島の活性化につながらないし、少子化対策なんかできるわけない」
市民:「一番、嫌だなと思うのは、対馬の人たちが分断してしまうこと」

この文献調査を受け入れるかどうかは、まだ決まったわけではありません。今後、市長が判断することとなります。

核のごみの処分場の選定に向けた調査に、すでに応じている2つの自治体があります。そのうちの一つ、人口767人の北海道・神恵内村。山と海に囲まれた、自然豊かな村です。

北海道神恵内村・高橋昌幸村長:「できれば全員が賛成した方向にいきたかったが、それもかなわないことなので」

3年前、商工会の求めに応じる形で、文献調査に応募することを決定。20億円の補助金のうち、15億5000万円が村の振興に充てられることになります。

ごみ収集車の買い替えに1615万円。そして、漁協の施設などには、約7億円が投入される予定です。さらに、1610万円をかけて整備されたのが、村立の歯科診療所に設置されたX線検査機です。
歯科医師:「(前の機器は)二次元なので、縦には写せても裏側がわからなかった。それがはっきりわかって、診断も確実につけられるし、治療の質も良くなりました」

一方で、村の人口は減り続けています。40年前に2000人ほどいた住民は、約4割に減少し、過疎化の一途をたどっています。
40代・村民:「過疎のスピードが尋常じゃなく進んでいるので、交付金を利用して、地域活性化に活用するとか、僕らとしてはうれしいこと」
70代・村民:「文献調査をして、ここに(処分場の検討を)やる必要はない。やれる所があれば違うところでやればいい。金の問題じゃないもの」

文献調査を受け入れることは、街にどんな影響があったか。神恵内村は16日、請願書を採決した対馬市議会に対し「デメリットとして捉えていることは特にない」と回答しています。

核のごみの処分について、政府は「国が前面に立って進めていく」と強調しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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