背景にノルマ「@」1台14万円…歪な企業風土も『ビッグモーター』保険金不正請求(2023年7月18日)
中古車販売大手『ビッグモーター』による保険金の不正請求問題。改めて、経緯をまとめます。
『ビッグモーター』は、全国に約260店舗を構える中古車販売会社です。1980年代から整備工場を併設する店舗を展開し、 売買から修理まで“ワンストップ”で行うことを売りにしてきました。工場併設の店舗は、2014年から数年の間に倍増しています。グループの従業員数は約5300人。そのうちの約1割にあたる620人が、修理部門を担当しています。
特別調査委員会の報告書によりますと、ビッグモーターは、顧客から車の修理を請け負った際、車体にわざと傷をつけたり、新品を使用したと見せかけてリサイクル品を使用し、虚偽の見積もりを作るなどして、保険会社に修理費用を水増し請求していたとしています。
こうしたことをした一因として、“ノルマ”があったからだといいます。
元工場長によりますと、車両1台当たりの修理の工賃と部品から得る収益の合計金額は、隠語で『@(アット)』と呼ばれていたといいます。『@(アット)』は、1台当たり約14万円の目標金額が設定されていました。
報告書では、「事故車両に対する修理費は、対象車両の損傷状況によって決まるものであって、工場従業員の営業努力で大きく上下するものではない」 として、“ノルマ設定”には大きな問題があったと指摘しています。
“ノルマ設定”には、どのような背景があるのでしょうか。
常識的な判断ができないような「経営陣に盲従し、忖度する歪な企業風土」があったと、報告書は厳しく指摘しています。
そのうちの1つが、“異常な人事”。ビッグモーターでは、3年間で47人の工場長が一方的に降格処分を受けています。降格の理由が明確に伝えられない、弁明の機会が与えられない、基本給の大幅な減額や転勤もありました。こうしたことから「従業員らが常に経営陣の顔色をうかがい、 間違っても経営陣の意向に異を唱えない姿勢になった」としています。
取材した元工場長も「目標達成はプレッシャーだった」としながらも「結局は売り上げが給料に反映されるので、モチベーションを保っていた。悪いことをしている自覚はなかった」と話しています。
国土交通省によりますと、「頼まれていない修理を勝手にやった場合は、遵守事項に違反していることになり、警告、または処分も。立ち入り検査などで、複数の違反が確認されれば、最悪の場合、業務停止の可能性もある」といいます。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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