ゼレンスキー氏「G7諸国に感謝」1カ月前から…電撃訪日の舞台裏(2023年5月22日)
広島で原爆資料館を視察し、平和公園で献花を行ったウクライナのゼレンスキー大統領。水面下でおよそ1カ月にわたり行われたサミット出席を巡る極秘調整の舞台裏がみえてきました。
■ゼレンスキー氏「G7諸国に感謝」
広島を発ち、帰国する途中に配信されたビデオ演説。
ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「きょう、ここ広島でウクライナはG7との討議に参加しました。ウクライナに関する議題が主要であり、すべてのウクライナ人に特別な敬意が示されました。G7諸国に感謝しています」
来日中、原爆ドームや平和公園、そして資料館を訪問したゼレンスキー大統領。被爆者と面会し、芳名録に記帳するなどしました。世界中から集まっていたメディアも大統領と岸田総理の動向を注視。ゼレンスキー大統領にとって原爆資料館で目にした被爆直後の広島市内はロシアから攻撃を受けるウクライナの街と重なって見えたようです。
ウクライナ、ゼレンスキー大統領:「破壊された広島の写真はバフムトを思い出させます。建物がすべて破壊されている。現在の広島は再建されました。私たちもロシアによって徹底的に破壊されたすべての街や住宅が再建されることを望んでいます」
■訪日目的は“グローバルサウス”
資料館訪問に先立ち、G7首脳との討議やインド、ブラジルなど「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国を交えたセッションにも参加しました。
また、ロシアによるウクライナ侵攻後、中立的な立場を貫いてきたインドとの個別対談では「ウクライナへの人道支援」の必要性や「ロシアへの経済制裁」に理解を求めるなど、サミット参加の機会を生かした積極的な外交を展開。
外交・安全保障が専門の明海大学・小谷哲男教授は。
明海大学・小谷哲男教授:「これら(グローバルサウス)の国は、ロシアがウクライナに侵略したことは批判しているが、例えば経済制裁には参加していないということがあり、ゼレンスキー大統領としてはグローバルサウスの多くの国々に対し、ロシアが不法にウクライナの領土を侵略している状態、これを解消しない限り本当の平和は訪れないことを直接訴えかけたと思う」
ロシアへの大規模な反転攻勢が間近とみられるなか、アメリカがウクライナへのF16戦闘機供与に向け、パイロットの訓練を支援すると表明。
アメリカ、バイデン大統領:「アメリカとその同盟国はともにウクライナのパイロットにF16を含む戦闘機の訓練を始められると伝えた。これはウクライナの空軍力を強化するためで、長期にわたるウクライナの防衛力を高めるためでもあります」
これまでF16供与に慎重だったアメリカの方針転換で、事態は新たな局面を迎える可能性があります。
■1カ月前から 電撃訪日の舞台裏
ゼレンスキー大統領の広島電撃訪問。その舞台裏が関係者への取材で分かってきました。
テレビ朝日政治部・千々岩森生:「日本政府はあくまでゼレンスキー大統領がオンライン参加する方向で準備を進めてきた。今回、ロシアとの関係も近いインドやブラジルも参加するので反発する懸念があって慎重だった。今回の極秘プロジェクトに関わった関係者によると、事態が動いたのは1カ月ほど前4月後半だった。ウクライナ側から来日に向けた要請があって調整が本格化したということです」
■G7最中にワグネルトップ発言
広島でサミットが行われているさなか、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者がウクライナ側への賛辞を口にしました。
民間軍事会社「ワグネル」創設者・プリコジン代表:「私の印象をゼレンスキー氏に伝えよう。あなたの兵士は勇気を持ってよく戦っていました。きょうバイデン氏に会う時、必ずおでこにキスし、私からのあいさつを伝えてください」
戦闘の最前線から発せられた「おでこにキス」とは一体、どんな意味が込められているのでょうか。
明海大学・小谷哲男教授:「ゼレンスキー大統領があたかもバイデン大統領の家来のようになって、バイデン大統領にさらなる支援をせがみに行っているとの感覚で『おでこにキス』の発言になったのではないか」
原爆資料館で対面した被爆者は、ゼレンスキー大統領が説明にうなずきながら終始、厳しい表情を崩さなかったと話します。
8歳の時に被爆・小倉桂子さん(85):「声が出ないということじゃないでしょうか。(ゼレンスキー大統領は)何もしゃべらない。でも、たまらない顔をしていました。『どうやって人の命を助けるか、それを一番に考えてください。特に子どもたちの命を助けて下さい』と私は申し上げました」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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