高濃度“ヒ素”噴出 停止方針も…「すでに風評被害」住民憤り(2023年7月11日)
突如、噴き出した蒸気から高濃度のヒ素が検出された問題です。地元で行われた説明会で業者側は来月下旬までに噴出を止める方針を示しましたが、住民からは憤りの怒りの声が相次ぎました。
■ヒ素“濃度2100倍”噴出続く
三井石油開発 原田英典社長:「残念ながら噴出が続いている状況でございます」
11日午後、北海道庁に姿を見せた三井石油開発の社長。鈴木知事に事故の経過や対応を報告しました。
北海道 鈴木直道知事:「必要な対策については万全を期して行っていただくよう強くお願いを申し上げます」
北海道蘭越町で大量の蒸気が噴出している問題。
10日夜、現場で掘削調査を行っていた三井石油開発が2回目の住民説明会を開きました。
■「来月下旬まで…」 住民憤り
掘削された穴は地下200メートルまで堀り進められていて、地下の亀裂から蒸気が蒸気が漏れ出しているとみられますが。この日に示されたのは「蒸気を止める方法」。三井石油開発は今後、地上から水を注いで温度を下げ、セメントを注入することで廃坑にする計画だといいます。
住民:「今回の事故も想定外のことで起きてしまったと思うが、この(蒸気の)抑制方法に関しても、すぐ近くに住んでいる一人としては想定外のことがまた起きるのではないかという不安がある。もっと大きなことが起きた時には住民の避難などしっかり対策を考えてもらえるのか?」
三井石油開発:「計画の策定が完了しましたら、関係当局の皆様にご説明させていただいて、しっかり連携を取って作業を進めて参りたいと考えております」
住民:「係りの人たちとか、現場サイドの人間が倒れられると迅速に対応できなくなると思います。なので、人的被害を絶対に出さないように頑張ってやって下さい」
三井石油開発「ありがとうございます。体制を拡充しまして健康を害することなく、対応させていただきます」
ただ、蒸気の噴出を抑え込むのは「早ければ来月下旬になる」とも説明しています。
現場近くの水からは国が定める飲料水の基準の2100倍のヒ素が検出されるなど住民らは不安を募らせていますが、噴出が長引くことで住民らに健康被害などは出ないのでしょうか。
日本ヒ素学会副会長(大阪公立大学) 鰐渕英機氏:「非常に毒性が高い2100倍というのは、もし(皮膚に)かかれば水道水で洗い流した方がいいが、大気中の水蒸気が直接(住民らに)影響することは多分ない。水道水とかそういうものを使う分には問題ない。農業用水も問題ない濃度まで落とすことができている。住民はそこに(現場)近付かなければ大丈夫かなと思う」
■「すでに風評被害」 住民が憤り
一方、住民説明会では…。
地元の米農家:「実は本日、出荷予定のお米がストップ掛けられている」
住民:「私も直接お客さんに農作物や加工品を届けて生きています。30年間必死に築いてきたのは何だと思いますか?信用ですよ。あなた方がそれを補うことは絶対にできない」
町は、すでに風評被害に悩まされていました。
蘭越町で大量の蒸気が噴き出し続けている問題。住民説明会で地元の農家らが「すでに風評被害を受けている」と訴えました。
地元の米農家:「もう風評被害というかたちで出ています。現にもう去年産、去年の米でさえ分析してくれと、実は本日出荷予定のお米がストップを掛けられています。そういう状況になっているが、今後の対応を聞かせてほしい」
三井石油開発:「申し訳ございません。お米の分析につきましては弊社の方で対応させていただきたいと存じます。また、事実関係に基づきまして誠意を持って対応させていただきたい」
住民:「はっきりここで全面的に補償できるのか、できないのか、それを答えていただきたいです。お願いします」
三井石油開発:「それにつきましては色々と様々な事情があると思いますので、個別に相談させていただいて、誠意のある対応で…」
住民:「そういう言い訳みたいなのはいらないので、全面的に補償できるのか、できないのか」
三井石油開発:「すみません、事実関係を確認させていただいて誠意を持って補償させていただきます」
原田社長は今後、改めて住民説明会を開く意向を示しました。
三井石油開発 原田英典社長:「(説明会で)多くのお叱り、ご指摘、要望等をいただいて改めて本件の重要性について認識をしたところ。(住民に)寄り添うことが大事だと思うので、状況を見ながら(説明会を)開催する。まずは事態の収束に向けて指揮を取っていくことが私の責任だと」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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