57年も闘って姉は怒り袴田事件検察が有罪立証へ 5点の衣類争点に(2023年7月10日)

57年も闘って姉は怒り袴田事件検察が有罪立証へ 5点の衣類争点に(2023年7月10日)

「57年も闘って…」姉は怒り 袴田事件検察が“有罪立証”へ “5点の衣類”争点に(2023年7月10日)

 再審が決まっているいわゆる袴田事件を巡り、検察側は10日に有罪を立証する方針を裁判所に示しました。事件を巡ってはみそタンクで見つかった衣類が捜査機関による捏造(ねつぞう)の可能性が高いと指摘されていて、弁護側が強く抗議しています。

■袴田事件検察が“有罪立証”決定

 やり直し裁判で有罪を立証する方針を示した検察側。弁護側と全面対決となる公算が高くなりました。

■“証拠捏造”指摘の中 姉が怒り
  
 袴田巌さんの姉 ひで子さん(90):「検察庁だからとんでもないことをするだろうと。検察庁の都合でこういう結果になってると思う」
   
 57年前の1966年6月、当時の静岡県清水市でみそ製造会社の専務一家4人が殺害された、いわゆる「袴田事件」。この事件で死刑が確定した袴田巌さんは無実を訴え、40年以上にわたって再審=裁判のやり直しを求めています。

 袴田巌さん(87):「私が袴田巌でございます。皆の協力があって勝ちを呼べる。よろしくお願い致します」

 2014年、静岡地裁が再審開始と釈放を認め、およそ48年ぶりにひで子さんの元に帰ってきた巌さん。しかし、無罪判決を勝ち取る闘いは現在も続いています。今年3月、検察は再審開始決定を覆すことは難しいと判断して特別抗告を断念。ようやくやり直し裁判が開かれることが決まりました。

 袴田巌さんの姉 ひで子さん(90):「完全に今度、無罪。完全に勝った。良かったねあんた」「本当によくぞ決断してくれたと思っています。本当にありがとう」

 この時点で無罪が言い渡される公算が高まったとみられていました。ところが検察側は10日、やり直し裁判で正式に袴田さんの有罪を求める立証を行う方針を裁判所に示しました。弁護側は怒りをあらわにしています。

 袴田事件弁護団 事務局長 小川秀世弁護士:「警察を守るためか、あるいはメンツのためか、どういうことか分からないですけれども、人の人生を一体何て思っているのかと本当に腹立たしい限り」

■袴田事件“5点の衣類”が争点に

 袴田さんと犯行を結び付ける最大の証拠といわれているのが、事件から1年2カ月後にみそのタンクから発見された「5点の衣類」です。今年3月、東京高裁は「5点の衣類」について捜査機関による証拠の捏造の可能性を指摘し、再審を認める決定をしていますが、やり直し裁判で検察側は証拠の捏造については「根拠がない」などとして再び「5点の衣類」を証拠として示す方針です。

 袴田事件弁護団 事務局長 小川秀世弁護士:「1年2カ月、みその中に漬かっていたブリーフですか、これが。緑ですよこれ。こんなものがね1年2カ月、漬かっていたなんてありえない」

■「57年も闘って…」姉は怒り

 袴田巌さんの姉 ひで子さん(90):「(Q.無罪判決までまた少しだけ遠くなった)57年闘っていますからね。ここで2年、3年長くたってどうってことないんですよ。頑張っていきます」

 弁護団は袴田さんの年齢などを踏まえ、早期の無罪判決を求めていますが、裁判が長期化することが予想されます。
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