“ウクライナの次は自分たちかもしれない”7月11日からNATO首脳会議 ロシアの脅威に揺れるリトアニアの人々|TBS NEWS DIG
あすからNATO=北大西洋条約機構の首脳会議がリトアニアで開かれます。“ウクライナの次は自分たちかもしれない”。ロシアの脅威を切実に感じるリトアニアの市民は、ウクライナを支援することで対抗しようとしています。
バルト三国最大の国、リトアニア。首都ビリニュスでは、いたるところにウクライナの国旗や支援の言葉が並んでいます。
ロシアの飛び地「カリーニングラード」とロシアの同盟国ベラルーシに接するリトアニアは、NATOの前線です。
記者
「こちら、ビリニュス駅にはカリーニングラードとロシアをつなぐ列車が通るのですが、その乗客にロシアの残虐行為を伝えるため写真が張られています」
ウクライナ侵攻でケガをした人や破壊された建物の写真。ロシアメディアが報じない惨状です。
教官
「こんにちは、諸君」
リトアニア政府は、ウクライナへの侵攻以前からロシアに対抗するための「国防の強化」を進めていて、ロシアによるクリミア併合を機に、2015年、徴兵制を復活。8年間で18歳から23歳までの若者およそ2万8000人が兵役を終えました。
訓練に参加する兵士
「ロシアがウクライナにしていることを見るのは悲しいです。徴兵制に参加してからは、自分がここにいるのは国を守るだけでなく、家族を守るためでもあると気づきました」
また、ウクライナに軍事品を送るための“募金”に多くの市民が参加しています。
▼去年5月には無人戦闘機の購入におよそ8億円が集まったほか、▼今年2月、防空レーダーを送るためにおよそ22億円が集まり、17基のレーダーが送られました。
募金を主催するNGO ヨナス・オーマンさん
「市民はウクライナのために何かすることがどれだけ重要か理解しています。もしロシアがウクライナで勝利すれば、ワグネル、ミサイル、戦車、すべてがここに来ます」
2014年から続けているウクライナへの軍事的な支援の最終的な目標については。
募金を主催するNGO ヨナス・オーマンさん
「戦争を終わらせるのではなく、ロシアに勝たなければいけません」
半世紀にわたって旧ソ連に併合されていたリトアニア。今も多くのロシア系住民が暮らしています。
ラジオ局で音楽番組を担当するライマさん。父親はリトアニア人、母親はロシア人です。母親のバレンティナさんはリトアニアに移り住んで40年以上経ちますが、今もロシアを支持していると言います。
母親がロシア人 ライマさん
「誤解しないでほしいのですが、母はとてもいい人なんです。私たちをとても助けてくれるし、私は母が大好きです」
ただ、ライマさんは親戚などから入手したロシア側の情報ばかりを信じる母親との心の溝に苦しんでいます。
母親がロシア人 ライマさん
「母がひどいことを言ったんです。『ウクライナ人が十分に殺されていない』と。どうしてそんなことが言えるのか。でも、ひどい情報戦のもとではあり得ることなんです」
歴史的な背景に加え、地理的にも近いが故にロシアの脅威をより深刻に受け止めているリトアニア。
あすから開かれるNATO首脳会議では、ロシアに対抗するための「新たな防衛計画」の採択に向け、協議が行われる予定です。
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