報ステ解説周囲に盛り上がり過ぎた総理異例の解散しない発言の理由(2023年6月15日)

報ステ解説周囲に盛り上がり過ぎた総理異例の解散しない発言の理由(2023年6月15日)

【報ステ解説】周囲に「盛り上がり過ぎた…」総理“異例”の「解散しない」発言の理由(2023年6月15日)

岸田総理は15日、「今国会中での解散は考えていない」と明言しました。総理の専権事項である“解散”を、わざわざ「今国会中はしない」と明言するのは異例のことです。

ことあるごとに「今は解散について考えていません」と繰り返してきた岸田総理。突然、温度感が変わったのは、13日のことでした。

岸田総理:「情勢をよく見極めたい。(Q.不信任案は解散の大義になるか)現時点では答えを控える」

思えば、この発言に、この時の表情に、誰も彼もが振り回された一日でした。

総理の発言からさかのぼること、4時間。

立憲民主党・泉代表:「解散をにおわせたり、ニヤッとしたり、もてあそぶような。本当に国民も、そして国会議員も軽んじている。(Q.不信任案は解散の大義になり得るか)さすがに岸田さんも恥ずかしくて言えないんじゃないか。不信任案が可決された後の解散とは大きく違うわけで。(Q.不信任案提出について、党内では両論あるようだが、代表の心の内は)両方のご意見あるのは当然のこと」

内閣不信任案提出の心づもりを笑顔でかわした、泉代表。一方、次の衆院選で目指すとしている150議席分の候補者は“来週中には揃えられる”と自信を見せていました。この時、すでに16日に不信任案を衆議院に提出する方針を固めていたとみられます。

立憲民主党・泉代表:「(Q.決意は固まった)決意は常に持っています」

ところが、その30分後。岸田総理は「今国会での解散はしない」と明言しました。

立憲民主党・安住国対委員長:「解散風を吹かせたのも総理。人騒がせな総理だなと。野党が出した不信任案で大義を作ることが、そもそも無理だった。(Q.不信任案提出への影響は)こういう総理だからこそ、我々は信任できないことになる」

立憲民主党・泉代表:「会期中の解散はなくとも、早期解散は今後もあり得る。気を引き締めて、総選挙への準備を加速させたい」

衆院選候補予定者との面談など、準備を進めている日本維新の会は。

日本維新の会・柳ケ瀬総務会長:「驚きましたけど、安堵(あんど)感も正直ありましたね。不信任案の対応、法案を通すこと含め、考えていたのではないか。予定調和なのかなと」

会期末まで1週間を切った15日、自民党内では“解散”意識の発言が相次いでいました。

自民党・茂木幹事長:「少なくとも今は国会審議をしっかり進めるフェーズ(局面)。しかし政治ですから、フェーズが変わることもある」

中谷総理補佐官:「私は毎週朝、習字の練習をしていまして。今の状況を考えまして『備えあれば患いなし』。何があっても慌てたり混乱することなく、準備をしっかり続けていく」

自民党・麻生副総裁:「通常国会終わって地元に帰って、準備やら何やら忙しいことになることも十分ある。そういった時でも、明るくやらなきゃダメよ、明るく。悲壮な顔して選挙なんかやるな。悲壮な顔して選挙準備はしない」

突然の親分の“心変わり”とも見える発言。戸惑いを隠せません。

自民党閣僚経験者:「これだけムードを高めて解散しないと、岸田政権はズルズルと下り坂になる可能性がある」

自民党関係者:「選挙準備で金をすでに使った議員もいる。岸田さんは悪くないけど、そういう議員からは恨まれるよな」

■“解散風”も…総理の思惑は?
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官邸キャップ・千々岩森生記者に聞きます。

(Q.岸田総理が伝家の宝刀を抜かないと宣言しました。取材の現場はざわつきましたか)

千々岩記者:「総理が何かしらの発信をすると、報道陣に入ってきたのが、総理が官邸を出る15分ほど前でした。こんなことは本当になくて、しかも、手にペーパーを持って準備していたので、解散があるのかと、報道陣に緊張が走りました。後で取材してみると、岸田総理の方から、官邸の事務方に対して『発表したい』という話があり、急転直下の会見になったようです」

(Q.総理は“解散できなかった”のか“解散しなかった”どちらですか)

千々岩記者:「解散すべきじゃないと判断したんだと思います。解散が視野にあったのは、恐らく間違いありません。周辺を取材すると、総理が一番重視していたのは、4年の任期の折り返しにもいっていないこと。そんな時に解散することの批判は重く受け止めていたようです。もう一つは、来年9月の自民党総裁選です。まだ1年以上あるなかで、解散してもあまり意味がないという、再選のための戦略論もあったと思います。さらに追加で言うなら、ここ半月ほどギスギスしていた、公明党との関係があります。公明党は解散を嫌がっていたので、2重に関係がおかしくなる可能性もありました」

(Q.9~10月の臨時国会での解散の可能性は残っていますか)

千々岩記者:「秋の臨時国会前半が最大のポイントになります。ただ、そこまでに3~4カ月あります。今後、支持率が落ちていくかもしれないし、何か問題点が出てくるかもしれない。それから、秋が政局の中心となれば、野党もしっかり準備してくる。今回の判断は、色んなリスクも抱えることになったとも言えます」

(Q.総理自ら“解散風”を吹かせましたが、自分で火消しせざるを得なくなりました。今回の行動が、総理の求心力に影響を与えますか)

千々岩記者:「岸田総理の動きは、解散権・求心力を見せるために行ったようにもみえます。13日の会見で、岸田総理がニヤッと笑ったことに、私も勘違いしたところがありました。今から振り返ると、恐らくこの時点でやらないことは決めていました。ただ、におわせてしまったので、岸田総理は周辺に対して『解散が盛り上がり過ぎた。抑えた方が良いんじゃないか』と漏らしていたようです。それで、15日の『解散しない』という異例の宣言になったようです。求心力という意味では、これからの支持率、一つひとつの政策をきちんとやれるか、秋にどういう政局が起きるかを注視していく必要があります」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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