ロンドン地下鉄 開業160年も問題が山積 悪化する財政…希望の光は「エリザベス線」(2023年6月13日)
イギリス・ロンドンの地下鉄で、85年前に製造され車両が特別に復活した。今年、開業160年を迎えるロンドン地下鉄だが、今大きな岐路に立たされている。
■乗客「50年前にタイムスリップ気分」
1863年に開業し、今年で160年を迎えるイギリス・ロンドンの地下鉄。10日、記念行事の一つとして、今から85年前に製造されたビンテージ車両が登場した。
車内のランプは、当時流行していたアール・デコ調のデザインが取り入れられている。地域住民や鉄道ファンなど、およそ1000人が乗車し、懐かしんだ。
乗客:「僕はこれに乗って学校に通っていました。50年前にタイムスリップしたような気分です」「今は、もう見掛けない古い広告が貼られています。たばこの広告とか色々あって、レトロな雰囲気がとてもいいです」
■度々ストも…開業160年 問題が山積
ロンドンの地下鉄が開業した1863年。このころの日本は幕末で、1863年は薩摩藩とイギリス艦隊の「薩英戦争」が起こった年。坂本龍馬が暗殺される4年前だ。
そんな時代に開業し、長きにわたって人々を運んできたロンドン地下鉄だが、近年は不穏な雰囲気に包まれている。
去年6月には、イギリスの鉄道各社で働く労働者およそ4万人が、「過去30年で最大規模」のストライキを実施。以降もロンドン地下鉄では、度々ストライキが行われ、市民生活に影響が生じている。
開業160年を迎え、イベントが開催される一方で、地下鉄発祥の地・イギリスには問題が山積している。
■スト実施も…「賃上げ」できない事情
ロンドン地下鉄で今、何が起きているのか見ていく。
去年6月、鉄道会社の労働者が「過去30年で最大規模」のストライキに踏み切って以降も、度々ストライキは実施されてきた。
また、先月23日には、労働組合らが行った投票で96%の賛成を受け、今後もストライキを行っていく方針を発表した。主に労働者が求めているのは、歴史的な物価の高騰に見合った賃上げだ。
しかし、ロンドン地下鉄を運営するロンドン交通局には、簡単には賃上げできない理由がある。
そもそもロンドン地下鉄は、国から年間でおよそ4620億円の補助金を受けていたが、2018年度に国の財政負担軽減を目的に廃止。収入を増やすため運賃の値上げをしたくても、2016年、「4年間の値上げ凍結」を公約に掲げた市長が就任したため、値上げができなかった。
■希望の光は…新たに開通「エリザベス線」
さらに、地元紙によると、新型コロナの感染拡大により運賃収入が95%減となるなど、財政状態はさらに悪化した。
2021年に運賃の値上げをしたものの焼け石に水で、ロンドンのカーン市長が財政状態の改善のため、路線の廃止の可能性について言及するにまで至っていたという。
そんななかで、大きな期待が寄せられているのが去年、新たに開通した地下鉄「エリザベス線」の存在だ。
実は、これまでロンドン中心部とイギリス最大の国際空港「ヒースロー空港」の間はアクセスが悪かったが、エリザベス線の開通でよりスムーズに結ばれた。
年間2億人が利用し、経済効果は7兆円以上と見込まれている。
女王の名を冠する地下鉄・エリザベス線が、ロンドン地下鉄を救うことになるかもしない。
(「大下容子ワイド!スクランブル」2023年6月13日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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