ビンチョウマグロ 41年ぶり大漁 漁師笑顔「3日で3500万円」 房総沖で“とり放題”【もっと知りたい!】(2023年6月9日)

ビンチョウマグロ 41年ぶり大漁 漁師笑顔「3日で3500万円」 房総沖で“とり放題”【もっと知りたい!】(2023年6月9日)

ビンチョウマグロ 41年ぶり大漁 漁師笑顔「3日で3500万円」 房総沖で“とり放題”【もっと知りたい!】(2023年6月9日)

 ビントロで知られるマグロが、41年ぶりに大漁です。本マグロの半額以下で販売され、人気を集めています。

■異例の大漁 漁師も笑顔「3日で3500万円」

 次々と水揚げされているのは、ビンチョウマグロです。

 宮城県の気仙沼漁港では、半月ほど前からビンチョウマグロの水揚げが絶好調。7日、一日だけで141トンものビンチョウマグロが水揚げされました。

 安市丸 阿乗義彦船頭:「(きょうは)自分たちで30トンくらい。今年は良かった」

 ビンチョウマグロは“ビンナガ”とも呼ばれ、胸びれを表す“ビン”が長いことが特徴。刺身だけでなく、ツナ缶の原料としても使われています。

 元々、気仙沼漁港はカツオで知られ、水揚げ量は26年連続日本一。しかし、今は…。

 由丸 守山佳洋船頭:「(Q.カツオよりビンチョウマグロ?)ビンチョウのほうが、量もたくさん取れるので。金額も安定しているということで。一航海の水揚げが70~80トンで、3000万円から3500万円です」「(Q.1カ月で?)いや。2、3日で3500万円」

■水揚げ→魚市場へ 仲卸業者が慎重に品定め

 気仙沼漁協によりますと、先月29日には気仙沼漁港で水揚げされたすべての魚種を合わせた金額がたった一日で、5億8000万円に上り、41年ぶりに過去最高額を記録しました。

 水揚げされたビンチョウマグロは、すぐさま魚市場に並べられます。

 次々と競りにかけられ、仲卸業者が慎重に品定め。この日、多く落札したのは、気仙沼でツナ缶などを生産している水産加工会社です。

 ミヤカン 福島庸夫社長:「去年がほとんど水揚げがなかったので。今年は例年より早いし、5月単月でも4000トン以上、水揚げがあって大変喜ばしい。やっぱり、どこで切れるか分からないので、ちゃんと確保していきたい」

■漁港近くの飲食店「頼めば1本2本必ず入る」

 うれしいのは、漁獲量が多いことだけではありません。今年のビンチョウマグロは…。

 鶴亀食堂 加藤広菜店長:「脂ノリが全然違うなと思います。手がツルツルになるくらい、脂ノリがよくて」

 競りからおよそ2時間後。漁港近くの飲食店では、ビンチョウマグロの仕込みが大忙しで行われていました。

 加藤店長:「ビントロはビンチョウのトロの部分、脂ノリがいい」

 刺身定食は、厚みのある切り身が7切れのって900円。脂ののったハラスも、このボリュームです。

 味噌や薬味を合わせ、たたいたビンチョウマグロの「なめろう丼」も大人気です。

 ※入荷状況により内容が変更します。

 朝9時から、店を訪れていた客もいました。

 客:「甘くておいしいです。やわらかいです」

 加藤店長:「今、どの船も今ビンチョウマグロを取って帰ってきてくれるので。頼めばいつでも、1本2本必ず入るようにはなっています」

■“半額”以下…物価高のなかで特に人気

 そのビンチョウマグロは東京でも…。練馬区のスーパーでは、1週間に10キロ仕入れています。

 客:「本マグロとかと比べて、サッパリしている。値段も安い。お刺身とか、手巻き寿司にして食べる」「さっぱりで味付けがしやすい。生野菜をのせて、ドレッシングとかかけて、混ぜて食べやすい」

 人気の秘密は何といっても価格。他のマグロと比べて、半額以下でありながら、脂乗りがよく、物価高のなか、特に人気が出ています。

 アキダイ 秋葉弘道社長:「非常に家計に優しい、庶民的なマグロですよね。価格帯でいうと、ざっくり言って、マグロの安いやつの半値ぐらい。今なんでも値上がりの話が多い中で、普通のマグロに比べれば、ビンチョウマグロは半値で食べられるので。たくさん食べられる、楽しんでもらえる時期がくると思うので。期待してもらっていいと思います」

■なぜ豊漁? 専門家「今月までは続くかな」

 それにしてもなぜ、ビンチョウマグロ=ビンナガが豊漁となっているのでしょうか。

 マグロ漁に詳しい専門家は、次のように話します。

 水産資源研究所 青木良徳主任研究員:「今年は昨年に比べて、ビンナガがやってくるルート沿いの水温が高くて、ビンナガにとって回遊しやすい環境だった。カツオを取っていくなかで『ビンナガが取れ始めたよ』っていう船が出てくると、一斉にビンナガに漁を切り替えて、ビンナガを釣り出す」

 ビンチョウマグロは熱帯・亜熱帯で産卵し、温かい海を好む魚です。今年は3、4年おきに起こる黒潮の大きな蛇行で、温かい海水が日本の近海まで移動したため、ビンチョウマグロの豊漁が続いていているということです。

 先月中旬の水温を見てみると、温かい海水が房総沖から常磐沖の限られたエリアで伸びているのが分かります。

 そのため、ビンチョウマグロが“とり放題”になっているのです。

 ビンチョウマグロの豊漁はいつまで続くのでしょうか?

 青木主任研究員:「全体的な(海水の)温度が高くなってくると、どこでもいける環境になる。もうそろそろ東のほうに移動してくるのではないかと見ている。今月までは、続くかな」

(「グッド!モーニング」2023年6月9日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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