巨大ダム破壊で大洪水 ウクライナに被害・ロシアも損…専門家「メリット考えにくい」(2023年6月7日)
ロシアが支配するウクライナ南部でダムが破壊され、大規模な洪水が発生し、ヨーロッパ最大の原発に懸念が生じています。
■原子炉を冷却できなくなる恐れも…
激しく流れる濁流。建物の一部がえぐられています。
撮影者:「水がすごい流れているじゃないか。あの辺に俺の荷物が半分くらい残っているんだ」
ウクライナ最大の川にまたがるカホフカ水力発電所の巨大ダムが決壊、1800万トンにも及ぶ水が流れ出ました。住宅街に押し寄せ、屋根も流されています。
避難する住民:「私たちは娘のところに避難します。船の発着場は洪水で流されました。もうすぐ私たちのところまで水が来ます」
動物園でも、成す術はありません。
このダムは、およそ120キロ離れたロシア軍の支配下にあるザポリージャ原発の冷却水も供給しています。貯水量が下がれば、原子炉を冷却できない危機的状況に陥る恐れがあります。
■“両国にダムを破壊する理由がない”
ウクライナ軍南部作戦指令部 フメニュク報道官:「ロシアがダムの一部を爆破しました。ウクライナ軍、ウクライナ全体に圧力をかけるための脅迫手段なのです」
ウクライナ軍は、「ダムを破壊したのはロシア軍である」と発表。これに対しロシア側は、「ウクライナ側による攻撃だ」と主張しています。
互いに相手を非難している状況。どちらが仕掛けたのでしょうか。
防衛研究所 米欧ロシア研究室 山添博史室長:「洪水が起こると、ロシアがかなり損をする。防衛線も損をするし、カホフカダムの蓄える水によって、運河でクリミア半島まで流れていく。上水道の水源が減ってしまう」
ダムの破壊で、ロシアが得られるメリットはほとんどないといいます。ウクライナについては、次のように話します。
山添室長:「ウクライナの住民が被害に遭う。ウクライナは国土の回復が目的なので、国土を破壊するということは矛盾してしまう」
どちらにも、ダムを破壊する理由がないというのです。
山添室長:「メリットが考えにくいので、何らかの意図を持った行動に思いにくい。(ロシア側が)仕掛けていた爆発物が事故的に起爆してしまったか。あるいは、ダムに損傷があって、これが徐々に高まって壊れていった説がある」
(「グッド!モーニング」2023年6月7日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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