15年以上トラブル…“通行料4万円”道路に急展開 “和解金1900万円”神栖市の所有に(2023年5月12日)
茨城県神栖市の沿岸部を通る通称「シーサイド道路」。銚子方面から鹿島臨海工業地帯に向かう通勤ルートともなっていたおよそ20キロの道路です。この道路の一部が私有地だったため、通行料4万円を請求されるなど、周辺の住民の生活に大きな影響を及ぼしてきましたが、最近、事態が急展開しました。
■“通行料4万円”住民大迷惑
15年以上にわたって地元住民を悩ませていた通行トラブル。
神栖市の海岸沿いにある通称「シーサイド道路」が開通したのは、1970年。1994年に道路沿いの土地を購入した男性が道路の一部が私有地であることを主張すると裁判の結果、2004年に私有地と認められました。
地権者の男性は、私有地の部分を2006年に突如閉鎖。サーフィンや海水浴をしに来た客から、通行料として500円の徴収を始めました。
当時の地権者:「(Q.どうして通行止めにしたんですか?)これは最初から道路の形態をなしてないんですよ。再三再四、道路でないから封鎖すべきって言ってたの」
最初、500円だった通行料は、5年前には2万円になりました。さらに、去年4月には…。
通行料を取られた人:「鍵を閉めた後で『3万円出せ』ってかなり強い口調で。高いでしょ3万円は。いくらなんでもひどいですよね」
番組が去年、取材した時には4万円にアップ。通行料はどんどん高額になっていきました。
地元のタクシー運転手:「(Q.迂回(うかい)してる?)皆、迂回してます。それは私のもんだっていう感じで、通りたけりゃ金よこせっていう感じ」
地元住民:「もう皆諦めて。最近でもお金取られたりとか、そういうのでもめたって聞いていますので」
■和解金“1900万円”で市が購入
地域にとって重要な道路が、なぜ長年にわたってこのような事態になっていたのでしょうか?
市は地権者の男性と交渉していましたが、そこには大きな壁がありました。
市は私有地と認定された道路の買い取り交渉をしてきましたが、難航。過去には数億円を要求されたこともあるといいます。
それでも、市は粘り強く交渉を続けたところ、今年に入って事態は動きました。
神栖市は地権者の男性に対して、和解金1900万円を支払うことで合意しました。
3月の市議会で補正予算が承認され、市と男性は土地の売買契約を結び、個人の私有地だった土地は、市のものとなったのです。
■地元住民は安堵「もめ事ないほうがいい」
和解から2カ月たった先月。現場を訪ねてみました。
以前と変わらずバリケードが設置されていましたが、内側には重機が置かれていました。
反対側も一見、変化がないように見えますが、去年12月にあった防犯カメラがなくなっています。
地権者の男性に話を聞こうとしましたが、すでに転居してしまったのでしょうか。応答はありませんでした。
和解の知らせを聞いて地元住民からは安堵(あんど)の声が聞かれました。
地元住民:「もめ事はないほうがいい。解決して困った人はいないと思う」
地元のタクシー運転手:「不便は不便だったけどね。(開通すれば)お客さんも料金的に違うんじゃないかな」「あれが開通すると、その先に海水浴場がある」「(Q.海水浴客も今後、タクシーに乗る?)もちろん」
通行止めの影響で現在、迂回ルートを通っているドライバーも道路が利用できるようになれば、およそ5キロの道が3キロへと短縮されます。
■日本各地で発覚? 専門家「早期に対応を」
ところが、まだすぐに解決とはいかないようです。
神栖市は「この道路上には他にも権利が複雑な土地があり、交渉が必要であることや路面整備が必要なことから、道路の開通までにはまだ時間がかかる」と説明しています。
専門家によると、こういった事例は今後、日本各地で発覚する可能性があるといいます。
不動産鑑定士・税理士 冨田建氏:「昔ですので、測量もいい加減であったと。調べてみればまた出てくる可能性は当然あると感じています。時が経てば、相続とかで権利関係も複雑になるとが考えられるので、早期に対応したほうがいい」
(「グッド!モーニング」2023年5月12日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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