【現場から、SDGs 2030年の世界へ】釣り具“ごみ”を回収「海の掃除屋」
シリーズSDGsです。コロナの影響で手軽なレジャーとして注目を集める「釣り」ですが、人気の陰で針や糸などが海のごみになりやすいという問題を抱えています。「海の掃除屋」を名乗ってごみの回収に取り組む男性を取材しました。
静岡県焼津市の海岸。釣り人が投げていたのは・・・。
釣り人
「これはジグというルアーです。鉛でできた疑似餌で、動かしているとブリとか釣れたりする」
ルアーフィッシングは、ゲーム性の高さとエサを使わぬ手軽さでいま人気の釣りですが、ある問題が・・・。
記者
「魚ですか?」
釣り人
「いや、違います。地球です」
記者
「地球?」
釣り人
「根がかりです」
「根がかり」とは、ルアーについた針が海底の岩などに引っかかってしまうことです。こうなるとなかなか外れず、糸を切るしかないため、ルアーと糸が海底に残ってしまいます。ルアーはひとつ千円以上するものもあり、懐が痛むのはもちろんですが・・・。
釣り人
「ちょっと…申し訳ないというか。釣りをしていることがごみを捨てているのと似たようなことになっているのがすごく残念」
この問題の解決に動く男性がいます。
マリンスイーパー 土井佑太さん
「今から潜って、海の中にあるごみ、釣りのごみを回収します」
マリンスイーパー。「海の掃除屋」を名乗るその活動とは・・・。
海底にある大きな岩に、ルアーがついています。茶色くなった釣り糸を引っ張ると、芋づる式に根がかりしたルアーが現れました。根がかりしたルアーが、次の根がかりを生んでいるのです。この日は、30分ほどで60個ものルアーを回収しました。
マリンスイーパー 土井佑太さん
「やっぱり糸が一番問題かな。糸に生物が引っかかっちゃうと抜け出せなくなっちゃう」
回収したルアーは、ひとつひとつ外します。数時間はかかる、骨の折れる作業です。
マリンスイーパー 土井佑太さん
「やっぱりこれがずっと海の中にあるのは良くないことなんじゃないかなと。今まで誰もなかなか取り組んでこなかったけど、誰かがやっていかなきゃいけないこと」
さらに、ボロボロのルアーを塗装し直して、低価格でネット販売。利益の一部をさらなる清掃活動と海の資源保護に繋げようとしています。このリメイクルアー、釣り人にも好評です。
釣り人
「もしかしたら市販品より釣れちゃうかも。ヒラメとかニベとか釣れちゃいます。釣り人の残してしまったごみを回収してくれて、リサイクルしてくれるのはとてもうれしい活動」
土井さんには、大好きな海を未来に繋いでいきたい思いがあります。
マリンスイーパー 土井佑太さん
「今、僕がやっているのは静岡だけですが、最終的に全国の根がかりを回収するのが目標。一緒にやってくれる仲間のダイバーを増やしていきたい」
(13日12:58)
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