新型コロナ以上の脅威 アフリカで高まるマラリア・ワクチンへの期待【現場から、】

新型コロナ以上の脅威 アフリカで高まるマラリア・ワクチンへの期待【現場から、】

新型コロナ以上の脅威 アフリカで高まるマラリア・ワクチンへの期待【現場から、】

シリーズ「現場から、」。今回はマラリアのワクチンです。新型コロナワクチンと違い、長い年月をかけて開発され、ようやく去年使用が推奨されました。マラリアワクチンで沢山の子供の命を救えると期待が高まるアフリカ・ガーナを取材しました。

ガーナ南部の病院。3歳のエキアちゃんは3日前にマラリアの症状が悪化して入院しました。

母親 レティシア・アモアさん(38)
「熱があったので診療所に行ったらマラリアの薬をくれたんですが、それでも熱が2週間も出続けたんです」

到着したときには危険な状態でしたが、治療の結果、今は安定しています。

ウドゥ・アパ医師
「数値を見る限り、入院が遅れたら亡くなる可能性もありました」

蚊が媒介する寄生虫が引き起こすマラリア。毎年2億人以上の感染が報告され、その94%はアフリカ大陸です。重症化すると多臓器不全や脳症を起こし、年間40万人以上が死亡しますが、そのおよそ3分の2、26万人以上は5歳未満の子どもたちなのです。子どもは比較的軽症ですむ新型コロナとは大きな違いです。

ウドゥ・アパ医師
「コロナはアフリカではそこまで酷い状況ではありません。でもマラリアは未だに甚大な影響があり、重点が置かれるべきなんです」

そのマラリアについて、去年、画期的な動きがありました。グラクソ・スミスクラインが開発し、試験的使用が続けられてきたマラリアワクチンについて、WHO=世界保健機関がアフリカの子どもたちへの投与を推奨したのです。

記者
「こちらの部屋で、今、お母さんたちが子どもたちにワクチン、マラリアワクチンを受けさせに来ています」

ガーナのこの地域はマラリア症例数の多さから、2019年に始まった乳幼児への試験的な接種計画の対象に選ばれました。子どもたちは生後5か月以降に4回の接種を受けます。

接種を受けた子どもの母親
「この子がマラリアになったら、親も病院に付き添うので働きにいけなくなります」

子どもの命を奪うだけでなく家庭の収入にも打撃を与えるマラリアですが、ワクチンの試験投与の結果、この地域での症例数は半減したといいます。

看護師
「入院する子どもの数も、ワクチンのおかげで減ってきました」

マラリアワクチンの有効性は発症に対して4割、重症化に対して3割と、新型コロナワクチンと比べると見劣りします。

それでも蚊帳の普及や予防薬の投与などと組み合わせることで、年間数万人の子どもの命を救えるとWHOは試算しています。

一命をとりとめたエキアちゃん、母親に将来何になってほしいか、聞いてみました。

母親 レティシア・アモアさん
「看護師になってほしいです。私は読み書きができません。だからこの子には読み書きを習って、自分で自分の道を切り開いていってほしいんです」

子どもたちの未来への扉が、突然、閉ざされることが減るように。ワクチンへの期待が高まっています。(09日11:50)

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