銚子電鉄 東京から「新戦力」着任早々奮闘…ハプニングも【限界鉄道・銚子電鉄#10】(2023年4月8日)
これまで数々の経営難を乗り越えて来た千葉県のローカル鉄道、銚子電鉄が新年度を迎えた。社長とあいさつを交わす女性。実は、銚子電鉄の“新戦力”だという。
■2年目を迎えた“新入社員” 勉強の日々
千葉県のローカル鉄道・銚子電鉄の新年度がスタートした。去年春、4年ぶりの新卒社員として入社した明賀雅直さん(21)も2年目を迎えた。
明賀さん:「お久しぶりです」
入社当時、先輩の後を必死に追い掛けていた明賀さん。
明賀さん:「1年が経ちまして、電車の運転士の免許を受けさせていただいております。子どものころからの夢。悲願であったので、ありがたい限りですね」
今年秋の運転士デビューを目指して、勉強の日々だという。
■発信情報力学ぶ…東京から“新戦力”加入
そんな明賀さんに続く、新たな戦力は加わるのか?社長を訪ねた。
銚子電鉄 竹本勝紀社長:「当社ですね、今年は新入社員はいないんですけれど、“ニューフェース”が。きょう、私もこれからお会いするんですけれど」
古林夕佳さん(25):「お初にお目にかかります。清瀬市の古林と申します」
竹本社長:「銚子電鉄の竹本と申します」
古林さん:「よろしくお願いいたします。お会いできて、光栄です」
今月1日から1年間、銚子電鉄に派遣された古林さん。実は、東京・清瀬市の職員だ。
新戦力として加わった古林さんに、1年先輩の明賀さんから、早速こんなアドバイスが…。
明賀さん:「(銚子は)結構カビが生えやすいので。湿気がすごいので。除湿剤は多めに」
古林さんは、清瀬市役所のシティプロモーション課に所属。主に広報誌などの製作に携わってきた。
自分のカメラを持ち、市内を散策。清瀬市の魅力を伝えるため、SNSを通じた広報活動も行ってきた。
古林さん:「例えば清瀬市は、ニンジンの出荷量が都内で1位であったりとか、アピールポイントはたくさんありますが、詳細を伝えきれていない側面はあります」
そうしたなか、清瀬市から銚子電鉄へ職員を派遣する話が持ち上がり、プロモーションのノウハウを学びたいという思いから、自ら立候補したという。
清瀬市から銚子電鉄へ。この派遣を決めたのが、清瀬市の澁谷桂司市長だ。
澁谷市長:「銚子電鉄の突破力、それから企画力。それと情報発信のやり方。1年間で大きく成長して、清瀬市にまた戻ってきていただきたいと思っています」
澁谷市長は今年2月に竹本社長のもとを訪れ、幾多の経営危機を乗り越えてきた銚子電鉄を視察していた。
澁谷市長:「例えばですけれども、大きな会社で、順調に経営されている企業に派遣で行っても、そこは、なかなか勉強できない。小さな規模で一生懸命やっている銚子電鉄さんがベストだろうと」
今回、銚子電鉄に派遣された意気込みについて、古林さんは次のように話す。
古林さん:「市民の皆様のために、お煎餅を売るという“銚電マインド”を1年間、ギュッと吸収していけたらいいなと思いますので」
竹本社長:「経営資源に乏しい会社で、人・物・金、すべてが不足している状況のなかで、古林さんにお手伝いいただけたらありがたい。マーケティング等、商品の開発だったり、サービスの提供。こういった所で、色んなヒントをいただけたら、ありがたい」
古林さんは銚子電鉄では、マーケティングなどに携わることになった。
■「房総の魅力」発信…着任早々“奮闘”
まずは銚子の魅力を知るために、地域巡りをしたのだが、その先で思わぬハプニングが起こった。
古林さん:「あ、撮り忘れました」
銚子電鉄 柏木亮常務:「銚子電鉄は電車を走らせているだけではなく、地域と一緒になって色んなことをやっていくことが大事なので、まずは農業の部分を見てもらいたい」
東京・清瀬市から派遣された古林さんがまず訪れたのは、銚子市の地元農家。銚子電鉄は坂尾英彦さん(40)が作る「春キャベツ」とコラボレーションし、餃子を販売するなどしてきた。
古林さん:「いただきます。生のキャベツって、こんなにやわらかいものなんですね」
坂尾さん:「自分たちは作った野菜をきっかけに、人とつながったり銚子に来てもらったり。そうして銚子電鉄に乗ってもらったり。広告塔になることで、色んな人が来て、それを皆でシェアする。そうすると、地域が良くなる」
坂尾さんは先月、納屋を改装し地元でしか味わえないメニューも加えた、カフェをオープンさせた。中でもイチオシは、獲れたての春キャベツをすりつぶした「コールドプレスジュース」だ。
古林さん:「いただきます。甘いですね、すごい」
あまりのおいしさに、グイグイとジュースを飲む、古林さん。
古林さん:「(Q.写真撮りました?)あ、撮り忘れました」
駒見直音アナウンサーのジュースを借りて、パシャリ。
地元農家の取り組みを知った古林さんが続いて向かった先は、銚子海洋研究所。
柏木常務:「銚子を知ってもらうためには、海のことについて学んでいただきたいと思って」
「世界一ちっちゃな水族館」があり、わずか19坪のスペースに、銚子の海で採集した生物が展示されている。
銚子海洋研究所 宮内幸雄所長:「本業は、ホエールウォッチング、イルカウォッチングですので。こういうのを置いてあって」
銚子の海では、年間を通して、およそ20種類のイルカやクジラが観察でき、時には5000頭ものイルカの群れに出会うこともあるという。
地元を巡って得た情報を早速、銚子電鉄のSNSにアップした。着任早々、奮闘する古林さんに、1年先輩の明賀さんもエールを送る。
明賀さん:「銚子電鉄は、とても自由にやらせていただいていますので。そこは、例えばアイデアを出すところですとか、いい方向に作用してくるのではないかと思いますので。1年という短い期間でしょうけど、よろしくお願いします」
■銚子電鉄の感想は…「真剣にふざける」
仕事2日目、銚子電鉄の感想は…?
古林さん:「おもしろいことをやっている会社だなと思っていたのですが、来てみて、おもしろさの中にも真面目に“おもしろ”をやっているところが、すごく感じました」
竹本社長:「私のことを、CEOと呼んでいただければ」
古林さん:「竹本CEO」
竹本社長:「“C”銚子、“E”エンタメ、“O”おじさん。真剣にふざけるという、ずっと言い続けているので。早くも、そういったことを理解されて、頼もしく思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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