【独自】推定“100億円超”旧統一教会の資産調査…解散請求巡り“資産隠し”懸念も(2023年4月3日)
こちら2000ページに及ぶ資料は、旧統一教会の全国に290ある教会の不動産登記簿です。
解散請求をめぐる質問権の行使で、文科省は教団の資産状況などについて調べていますが、番組が登記簿をもとに独自に算出した資産価値は、教会の土地・建物だけで推定100億円以上。
教団の資産をめぐっては、被害者救済にあたる弁護士から懸念の声があがっています。
▽教団にビルを…拭えぬ不信「父は利用されたのでは」
実家で暮らす信者の両親と教団の間に何があったのか?心が晴れることはありません。
(50代の男性)「こちらが教会です」
Q. こちらはどういう建物?
「これは最近調べてわかったのですが、うちの父親名義で(ビルを)購入していたんです。その後から教会が入った形に。気づいたら入ってたっていう形ですね」
大阪府にある藤井寺家庭教会。16年前、50代男性の父親が購入した後、すぐに教団へ貸し出され、地元の「教会」に変わりました。父親は、市内に複数の不動産を持つ資産家でしたが、ビルの購入や教団への多額の献金などで資産のほとんどを失い、さらに1000万円以上の借金を背負っていることがわかったのだといいます。
(50代の男性)「私以外の家族はみんな信者なので、おそらく私だけが知らなかった。いち信者にそこまでさせるというのは宗教的にどうなのかと。信者に肩代わりをさせて借りさせて(ビルを)購入させて、おそらく税金(固定資産税など)もうちが払っていたと思うんですけれども、納得はいかないですよね」
男性によれば、最初に信者になったのは母親でした。その後、父親と姉が入信。姉は合同結婚式で韓国人男性と結婚しています。
Q. そこに書いてあるのはお父様の名前ですか?
「これはうちの父親です」
登記簿上では、父親は9年前に教団にビルを売却しています。男性は資産家だった両親が教団に利用されたのではないかと考えています。
(50代の男性)「『どうしてくれるんだ』という怒りもありますし、そこに対してどのくらい献金をしたのか、教会のビルの購入の時、どういう理由で、どういう経緯でそうなったのかという真実は知りたいなと思います。」
「教会宛てに出した通知書です」
男性は去年11月、教会に対しこれまでの両親の献金額やビルの売却額などの開示を求めました。しかし教会からの回答は…
(藤井寺教会からの回答)「献金明細の開示に関しては両氏(両親)のプライバシーに関することですので回答を控えさせて頂きます。不動産売買契約に関しても守秘義務があると考えます」
▽“100億円以上”か…教団の不動産評価額
教団の解散命令の請求をめぐり文部科学省は火曜日(先月28日)に5回目の「質問権」を行使。教団の「資産状況」などについて調査しています。教団はどれだけの資産を保有しているのでしょうか?土地と建物を合わせ2000ページを超える不動産登記簿。
「世界平和統一家庭連合になっています」
番組は教団ホームページに掲載されている全国290の教会を調べました。
「この建物ですね。札幌西家庭教会」
「こちらですね。建物も相当新しく見えます。金沢家庭教会です」
「住宅地の一角にあるという感じですね。こちらが北九州教会になります」
全国47都道府県に広がる教会。登記簿からは、290の3分の1にあたる97の教会で“建物”あるいは“土地と建物”の両方を所有していることが確認できました。土地面積が最も広いのは…
交通量の多い道路に面して建つ存在感のある建物。周囲と比較するとその大きさが際立って見えます。
宮崎家庭教会です。土地の面積は5207平方メートル。教団のホームページでは次のように紹介されています。
「元結婚式場の建物をそのまま利用したゴージャスなデザイン」
登記簿上では土地・建物を教団が2013年に「競売」で落札しています。
「前に佐賀教会の看板が見えてきました。かなり広いですね。駐車場も相当な台数が停められるようになっています」
以前はパチンコ店だったというこの場所。宮崎に次ぐ全国2番目の広さの佐賀家庭教会です。こちらは教団が2012年に福岡市内の会社から買い取ったことが確認できます。
九州の不動産事情に詳しい専門家は登記簿から“あること”が読み取れると指摘します。
(よりそい不動産鑑定 不動産鑑定士 扇幸一郎さん)「競売で買うとき基本的には現金で買う形になるので、あくまでもキャッシュを持っている人が強い」
Q. 教団が図らずもキャッシュがあるということを示す?
「ひとつそれは読み取れるかな」
競売で落札された教会は宮崎のほかに全国で2件。2014年の金沢家庭教会と2016年の出雲家庭教会です。
(不動産鑑定士 扇幸一郎さん)「路線価と面積をかけたらこの土地の評価額がでると」
番組は不動産鑑定士監修のもと、教団が所有する97の教会の土地と建物の評価額を独自に算出。土地は国が公表する路線価をベースに、建物は登記簿に記載された鉄骨や木造などの構造と築年数を基に計算しました。
10位から6位はこちらです。
10位 佐賀 2億7902万2322円
9位 孝成 2億8194万2500円
8位 金沢 3億0604万1460円
7位 新宿 3億1353万2111円
6位 杉並 3億2868万4800円
鉄筋コンクリート5階建ての建物です。
5位・八王子家庭教会。3億8583万9200円。新宿駅から徒歩10分あまりの場所にあります。
4位・東京同胞家庭教会。4億845万5492円。「九州で最もゴージャスな教会」とされています。
3位・宮崎家庭教会。4億1413万8766円。元々は大阪市職員の福利厚生施設でした。
2位・大阪家庭教会。6億7400万9300円。渋谷区内の高級住宅街にあります。
1位・松濤本部。7億6568万7500円。
全国の教会の合計でみると、土地はおよそ67億円。建物がおよそ43億円。合わせて110億円あまりにのぼりました。
(不動産鑑定士 扇幸一郎さん)「土地の価格については路線価のベースで時価の八掛けになっているが、若干、保守的みられている(評価されている)」
さらに調査を進めると、教会が建物を取得した時期にある傾向が見えてきました。
2000年以前から所有していたのが12件。その後は年1件から3件のペース。2009年は0を記録します。ところが…2010年以降そのペースは急激に上がり2014年には10件を記録するなど、ここ10年ほどで急速に取得を進めてきたことがわかります。
▽自治体から購入後に転売 「ダミー企業」の指摘も
教団はどうやって教会の所有権を手に入れたのか?
大阪市阿倍野区の閑静な住宅街にそびえる大阪家庭教会。実はこの建物、元々は大阪市が税金およそ20億円を投じて建設した大阪市職員の福利厚生施設。周辺では教団の入居をめぐり反対運動が起きていました。
(反対運動をした住民)「『統一教会帰れ』とか『反対』とか。もうあの辺の塀はいっぱい看板を作って貼ってましたよ。『市がなんでそんなところに売ってん』と一番問題になったわけ、そういう教団へ。市から返事が来たのは、『●●(A社)という会社に売ったのであって、統一教会に売ったん違う』と。『調査足らんやないかい』ってワーワーなったんです」
2008年に一般競争入札で施設を落札した民間企業A社。その直後に教団が入居し2011年に教団に転売しています。当時、大阪市に売買契約を解除するよう申し入れた弁護士は、A社は教団の「ダミー会社」だと指摘します。
(全国霊感商法対策弁護士連絡会 加納雄二弁護士)「ここに出てくる(A社の)役員欄ですね。取締役の最初に出てくる方、2人目に出てくる方、それから後もう1人、2人。4人ぐらいは統一教会の合同結婚式に参加したという人と同じ名前であると」
さらにA社の取締役には、霊感商法で715万円の宝石を販売していた人物も含まれているといいます。
(全国霊感商法対策弁護士連絡会 加納雄二弁護士)「ですから我々の認識としては、もうこの会社は統一教会がやっている会社そのものであると、直接、統一教会側が購入して問題になっては困るので、自分たちの支配下にある信者が役員をやっている会社に買わせたということじゃないかと思います」
A社の関連先を取材すると、関係者が匿名を条件に取材に応じました。
「元々1階部分はA社で使用していたが、2階以上を賃貸で教会に貸していた。毎月の賃貸料がもったいないということで教会に売ったと記憶しています」
Q. 旧統一教会のダミー会社か?
「営業はしてましたからね。ある程度の売り上げはありましたので、完全なダミーではない」
関係者は、A社の従業員はみんな信者だったと認めたものの、「入札に違法性はなくまったく問題ない」と主張しました。
一方、こちらのケース。去年の12月、教会の土地と建物が教団に「寄附」されています。
「かなり大きい教会ですね。これですね。青葉台家庭教会。看板がこちら出てます 」
横浜市にある青葉台家庭教会です。番組の評価額は1億4000万円あまり。なぜ教団に寄附したのでしょうか。寄附した人物の家族は…
(寄附した人物の家族)「寄付したいと思ったから寄付したんじゃないですか。じゃなきゃ、問題になってます」
Q. 何か問題になることは?
「何にもありません。悲劇も何もないです」
教団は所有する97の教会のうち、寄附と贈与でそれぞれ4件の教会を取得しています。今回、番組が取材したケースについて不動産取得の経緯を教団に問い合わせると…
(世界平和統一家庭連合の回答)「当法人の教会施設に関する土地・建物に付きましては、正当な契約のもと、正しい教会目的のために使用されております。尚、詳細内容に付きましては一般公開等しておりませんのでご理解の程、宜しくお願い申し上げます」と回答しました。
▽“資産隠し”の懸念も 被害弁護団が指摘
被害対策弁護団の阿部弁護士は、解散請求をめぐる動きが続く中、海外に現金を持ち出すなどの“資産隠し”を懸念しています。
(全国統一教会被害対策弁護団 阿部克臣弁護士)「解散命令が出て清算手続きに移行すれば(不動産は)処分されてしまうので、解散命令が近づいてくると教団の方で関連団体の名義に移したり、あるいは売却して現金にしてしまったりする恐れも一方では考えられる」
1995年に地下鉄サリン事件を起こしたオウム真理教の時には…
解散命令が出される直前、数々の“資産隠し”が行われたと後継団体「アレフ」の元幹部は証言します。
(オウム真理教の後継団体「Aleph」元幹部)「資産隠しを一生懸命やって、例えば大阪の日本橋に信者が布施したビルがあったんですけど、それを慌てて二束三文で業者に売って」
立憲民主党と日本維新の会は教団に解散命令が請求された場合、資産が海外などに移転されないよう保全を命じることができる特別措置法案を作る方針で一致しています。
(全国統一教会被害対策弁護団 阿部克臣弁護士)「資産隠しされちゃって教団にお金がない状態で解散命令が出されても、結局、被害者が救済を受けられないということになりますので、資産の保全というのも必要じゃないかなと思います」
4月2日『サンデーステーション』より
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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