「保津川下り」船転覆事故 事故把握→通報まで“空白の20分”…一体なぜ?運行組合の会見から紐解く【解説】|TBS NEWS DIG

「保津川下り」船転覆事故 事故把握→通報まで“空白の20分”…一体なぜ?運行組合の会見から紐解く【解説】|TBS NEWS DIG

「保津川下り」船転覆事故 事故把握→通報まで“空白の20分”…一体なぜ?運行組合の会見から紐解く【解説】|TBS NEWS DIG

京都の「保津川下り」で起きた船転覆事故。運行組合が事故の把握から消防に通報するまでに「空白の20分」があったことが分かりました。なぜ初動対応が遅れたのか?そして事故の想定はどこまでできていたのか?運行組合の会見内容から紐解いていきます。

■通報まで「空白の20分間」

井上キャスター:
「保津川下り」で起きた船転覆事故について、一つ一つわかってきたこと、そして、こういう事故を防ぐためにはどうすればいいのでしょうか?整理していきます。

まずは時系列です。通報まで“空白の20分間”があったということが分かりました。

<時系列整理>

・3月28日午前10時30分船が乗船場を出発

・午前10時50分頃船が岩に衝突→転覆

・午前11時頃転覆した船の10分後に出発した後続船が事故把握

・午前11時10分頃後続船が無線で運行組合に連絡→運行組合が事故把握

~空白の20分間~

・午前11時30分頃運航組合が消防に通報

なぜ運行組合が事故を把握してから通報までに20分の開きがあったのでしょうか?3月29日、保津川遊覧船企業組合の豊田知八代表理事が会見でこう答えました。

Q.通報になぜ20分の開き?豊田氏「無線が途切れ途切れに入るなど、正確な情報を知るのに時間がかかった」

Q.転覆した船に無線は載っていなかったのか?豊田氏「転覆した船には無線は載っていなかったと聞いています」

■「無線」つけた船は4隻中2隻

井上キャスター:
続いて、現場はどういう状況だったのでしょうか?詳しくみていきます。

船一隻だけで川下りをすると事故のリスクが高くなるため、バディのような形を取って2隻体制で運航することがあらかじめ決まっていたようです。午前10時30分に2隻が出発し、その約10分後に後発の2隻が出発しています。そして、国交省のガイドラインでは、「船に無線機を設置することが望ましい」としていて、この組合では運行した全4隻のうち半分の2隻に「無線」を設置していました。

組合は2隻のうち1隻にのみ無線をつけていれば大丈夫だろう、という認識だったのかもしれません。しかし、実際に事故を起こしたのは無線を設置していない船でした。

「全船に無線を設置してほしい」という国交省からの指摘については、保津川遊覧船企業組合は「確実に一隻ずつ無線ということは言われていた。毎年課題としてあがっていた」と回答していて、組織として認識していたということがわかります。

「無線が全船にあったら改善できたのか?」という質問に対しては、組合は「後続の一隻目に無線が乗っていたら、初動スピードが変わっていた可能性がある」と答えていて、もし無線機が設置されていたら通報はもっと早まったのではないかと認めています。

■救助訓練は8年前が最後

さらに、「川に落ちた想定での救助訓練は行っていたのか?」という質問に対して、組合は「8年ほど前を最後に行っていなかった。緊急が入ったりとか訓練ができない事が続いて…」と話をしています。保津川は、携帯電話の電波が入らないところも多々あって、無線がいかに重要なのかというのは、従来から言われていたことです。

田中ウルヴェ京スポーツ心理学者(博士):
大前提として、川下りというのは自然の中で行うアクティビティのため当然リスクはあります。そして、人間では考えられないようなリスクの想定も必要です。

当たり前のようで、面倒くさいなと思うような訓練も繰り返ししつこくやっていくことは大事です。誰かに責任を負わせるという意味でもなければ、失敗の追及をしたいという訳でもなく。今回の事故を受けて、どう課題解決に繋げていくのか?を、私達は考えていかなければなりません。

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