【報ステ】尹大統領が来日へ 元徴用工問題で“解決策”今後のポイントは?記者解説(2023年3月6日)

【報ステ】尹大統領が来日へ 元徴用工問題で“解決策”今後のポイントは?記者解説(2023年3月6日)

【報ステ】尹大統領が来日へ 元徴用工問題で“解決策”今後のポイントは?記者解説(2023年3月6日)

日韓関係で懸案となっている元徴用工問題をめぐり、韓国政府は6日、日本企業に命じられた合計約4億円に上る賠償金を、韓国の財団が日本企業に代わって賠償金を支払う解決策を正式に発表しました。

今後の日韓関係の改善にどこまでつながるのでしょうか。

◆ソウル支局・井上敦支局長、政治部・千々岩森生官邸キャップに聞きます。

(Q.この解決案は、尹大統領にとって政治的リスクを伴った決断だと思いますが、いかがですか?)

井上ソウル支局長:「発表された“肩代わり案”には、韓国側が当初目指した『新たな謝罪』や『被告企業の資金拠出』が含まれていません。一部原告や市民からはすでに批判の声が出ているのも事実です。これは交渉にあたり、日本側が問題は解決済みで『新たな謝罪』や『日本側の資金拠出』はないと繰り返し説明してきたためです。韓国側も、この2つを引き出すのは困難と判断し、尹大統領は政治的リスクも覚悟のうえで、日韓関係改善のために、韓国が先に“見切り発車”をして、日本へ呼応を呼び掛ける道を選びました。ただ、韓国側が本音では期待している、被告企業の『寄付による財団への参加』は、現実的には難しい見込みです。今後は、韓国側の動きに応えて、日本側が別の分野でどの程度呼応するかと、“肩代わり案”をどのくらいの原告が受け入れるかにかかっています」

(Q.岸田総理の胸の内はどの辺りにありそうですか?)

千々岩官邸キャップ:「岸田総理が尹大統領への評価を変えた、きっかけがあったようです。去年9月、ニューヨークで2度目の顔合わせの時、尹大統領はわざわざ、岸田総理に会うために国連の日本側の控室まで来たと。当時、日本側は期待感が全くなかったので、会談の映像は写真1枚だけです。テレビカメラも入れませんでした。ただ、尹大統領はその場で、関係改善への意欲を語ったと。韓国国内では、なぜ日本にそこまでするのかと批判されかねない行動で、リスクをとったと日本側は感じたようです。その後、11月に初めて本格的な首脳会談を行い、信頼感が醸成されていきました。このころから、岸田総理は『求償しないことが担保されるなら受け入れる』、つまり韓国側が日本への賠償請求を絶対にしないのであれば、話を進めようと決めたということです」

来週後半にも尹大統領が東京に来て、日韓首脳会談をする方向で、調整に入っているということです。

(Q.尹大統領はトップ会談で、何を優先して話したいと考えていますか?)

井上ソウル支局長:「尹大統領としては、まず日韓関係への強い思いと、今回リスクある決断をしたことに理解を求め、今回の解決策を国内で進めやすくなるよう、日本側に誠意ある対応を打診するものとみられます。新たな謝罪や被告企業からの直接賠償を得るのは難しいため、他の分野で韓国世論が一定程度、納得するような成果を得て、国内へ顔向けできる環境作りを目指すと思われます」

(Q.岸田総理のスタンスはどうですか?)

千々岩官邸キャップ:「日本にとって問題は、もう韓国側がゴールポストを動かすことはないか、ひっくり返されることはないかという点です。今回の判断は、岸田総理にとってもリスクで“見切り発車”という面は否定できません。一方で、岸田総理の頭には、尹大統領の任期が残り4年以上あるので、関係改善に向けて結果を出してくれれば、事実上、後戻りはできなくなる。逆に、そうしていかないと、中国・北朝鮮・ロシアと難しい国々に囲まれているなかで、せめて韓国とは関係改善が必須だという事情もあったと思います」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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