避難場所不足・感染症の懸念…シリア支援ルート増設も反政府側は反発(2023年2月14日)

避難場所不足・感染症の懸念…シリア支援ルート増設も反政府側は反発(2023年2月14日)

避難場所不足・感染症の懸念…シリア支援ルート増設も反政府側は反発(2023年2月14日)

トルコ南部を震源として発生し、3万7000人以上が亡くなった大地震。国境を挟んだシリアにも甚大な被害が出ています。

シリア北西部は、反政府勢力が支配する地域。違う言い方をすれば、政府の支援が届かない地域です。仮設テントが立ち並ぶ奥にある小さな病院には、次から次へとけが人が運び込まれています。本来、受け入れられる患者は30人程度ですが、この1週間で受け入れた数は2500人に上るそうです。
外科医のムハンマド・バドルさん:「空爆でけが人が出ることには慣れていました。10~30人程度を受け入れても問題なかったのですが、今回は驚きました。もし、負傷者がすべて病院に運び込まれるとすると、100人~500人にも達することになります。病院は、ここまでの対応能力はなく、非常に困難でした」

別の病院の医師は、こう話します。
神経外科医のムスタファ・ヤマニ さん:「私は1週間ずっと病院に詰めています。24時間ずっとです。午前8~9時から夜中2時まで、手術室に入ったり、診察をしています。患者たちの多くが命を取り留めましたが、一部の患者には、残念なことに何もしてあげることができませんでした。ここでできることは、この大災害の中では限られていました」

10年以上続く内戦の影響で、人も、薬も、医療器具も、すべて不足している状況下で大地震に見舞われました。

国連の推計では、今回の地震の被災者は合計で2600万人。その1000万人がシリアの人々です。

国内は「政府対反政府」という単純な対立構造ではありません。勢力が複雑に入り組んだ結果、国連が確保できている支援物資搬入のルートは、1つしかないのが現状です。

避難生活を送る場所は、急場をしのぐ設備すら整っていない環境です。
被災者:「(空爆などで)自宅を離れざるを得なくなり、今度は地震です。ここには26組の家族がいます。5つほどのテントをもらいましたが、まだまだテントが必要です」

感染症の蔓延という2次災害の恐れも指摘されています。被災者の怒りは、手をこまねいている国際社会にも向けられています。
被災者:「世界のすべて、地球上のすべてがシリア人を忘れ去った。このような“破壊”が、もしヨーロッパなどで起こったら、全世界が助けに来たでしょう。しかし、ここには誰もいない。もうどうでも良い」

国連の担当者と会談したアサド大統領が、シリア北西部への支援物資のルートを増やすことを決めました。北西部に加え、北部に2カ所、国境検問所を増設し、国連などの人道支援物資の通行を許可するそうです。大きな前進ではありますが、アサド政権が苦しんでいる自国民がいるにもかかわらず、手を差し伸べようとしなかった事実からは逃れられません。
シリア・サバーグ国連大使:「シリア政府は、国民がどこにいようと人道支援を行うと繰り返し表明している。また、北西部は領土の一部であること。そこの住民も国民であると主張してきた。(Q.では、なぜ決定に1週間もかかったのか)それをなぜ私に聞くのか。我々は国境を管理していない」

一方、反政府側はこの措置に反発。「アサド政権がこの状況を利用し、支援しているかのように見せることは許さない」とし、政府側からの支援を拒否する考えを示しています。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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