“謎の飛行物体”めぐり米中対立…歴史は繰り返す? 米ソ冷戦時代にも“スパイ気球”(2023年2月14日)

“謎の飛行物体”めぐり米中対立…歴史は繰り返す? 米ソ冷戦時代にも“スパイ気球”(2023年2月14日)

“謎の飛行物体”めぐり米中対立…歴史は繰り返す? 米ソ冷戦時代にも“スパイ気球”(2023年2月14日)

 気球の撃墜を巡って、アメリカと中国が対立を深めています。中国外務省は「アメリカの気球も中国に不法に侵入していた」と主張しました。

■北米大陸で“飛行物体”…4回目で3日連続

 米CNN:「アメリカ軍が3日連続で飛行物体を撃墜しました」

 五大湖の一つ「ヒューロン湖」の上空で、アメリカ空軍のF16戦闘機によって撃墜された飛行物体。

 NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)・バンハーク司令官:「我々は引き続き、北米に迫るあらゆる未知の脅威やその可能性の特定に努めていきます」

 撃墜命令を出した、バイデン大統領は…。

 記者:「撃墜された物体は気球だったのでしょうか」
 バイデン大統領:「…」

 北米大陸で確認された謎の飛行物体。今月に入って4回目、3日連続となります。

 バンハーク司令官:「どのようにして、どこの国から来たのか、今後も調査が必要だ」

■中国反発「米国の気球も他国の領空に侵入」

 アメリカ国防総省は、中国の偵察気球が、過去数年間で世界40カ国以上の上空を飛んだと指摘。名指しされた中国は、猛反発しています。

 中国外務省・汪文斌副報道局長:「中国の顔に泥を塗るようなやり方には、断固として反対する。1つの事実を確認しておきたい。アメリカこそが世界最大のスパイ国家だ。中国に対し、頻繁に諜報(ちょうほう)活動を行っている」

 気球の領空侵犯についても次のように話します。

 汪文斌副報道局長:「アメリカの気球が他国の領空に侵入することも、よくあることだ。去年だけでも、アメリカの気球が中国の許可なしに十数回、中国の領空に侵入した。アメリカがまずやるべきことは、自らを省みて反省することだ」

 これに対し、アメリカ政府高官は、真っ向から否定しました。

 NSC(米国家安全保障会議)・カービー戦略広報調整官:「アメリカは、中国上空で気球を飛ばしてなどいない。全く事実ではない」

■“禁輸追加”企業「関わらないほうがいい」

 バイデン政権は、気球製造などに関わったとして、中国企業6社を「禁輸リスト」に加え、アメリカ製品の輸出を事実上、禁止する制裁を発表しています。

 リストに加えられた中国企業に取材を申し込むと…。

 中国の禁輸対象企業:「(Q.今回の制裁の件は知っていますか?知りません。この件には関わらないほうがいいと思います」

■歴史は繰り返す? 米ソ冷戦でも“偵察気球”

 “偵察気球を使った領空侵犯”と主張しているアメリカ。しかし、歴史を振り返ってみると…。

 軍事ジャーナリスト・黒岩文太郎氏:「アメリカ自身も、第2次世界大戦のすぐ後ぐらいから、気球を研究し、使ってきた歴史がある。実際に、ソ連へスパイ気球として使ったのは1956年」

 軍事ジャーナリストの黒井氏が指摘したのが、米ソ冷戦時代、アメリカが立案・実行した「ゲネトリクス計画」です。

 1956年、わずか数週間のうちに、500機以上の偵察気球をソ連の上空に飛ばしたのです。

 黒井氏:「実際は500機以上飛ばしても、途中で墜落したり、ソ連軍も気付いて撃墜している」

 気球の撃墜。歴史は繰り返す、ということでしょうか。

 黒井氏:「500機以上飛ばし、米軍が回収できた気球は50機くらい、10%。そのうち、写真が撮れていたのは30機くらい」

 アメリカの偵察気球は、一定の成果を上げましたが、翌1957年に高高度偵察機「U-2」がデビュー。さらに偵察衛星の整備も急ピッチで進んだこともあり、アメリカにとって、気球はその役割を終えたとみられています。

■日本の対応は?「国内法に基づき自衛隊が…」

 では、日本の領空を、外国の気球が許可なく飛んだ場合、どのように対応するのでしょうか。

 松野博一官房長官:「一般論として申し上げれば、対領空侵犯措置については我が国自身の警察権の行使として国内法に基づき自衛隊が行っているものであります」

(「グッド!モーニング」2023年2月14日放送分より) (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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