【報ステ】説明時の音声入手「手術までは秘密で」“臓器移植あっせん”でNPO理事逮捕(2023年2月9日)
臓器移植を希望する男性に対し、無許可で海外での移植のあっせんを行ったとして、NPO法人『難病患者支援の会』の理事・菊池仁達容疑者(62)が逮捕されました。
腎臓移植を申し込んだ男性:「生体の方が、取り出してそのまま洗浄して、移植するからフレッシュだと。そっちの方が持ちもいいんですよと。どこでやると聞いたら、ベラルーシだと」
ホームページで、海外で臓器移植を希望する患者を募集し、170件以上の移植を手掛けたといいます。
警視庁によりますと、菊池容疑者はおととし11月、肝臓移植を希望する男性患者の親族に対し、こう話しました。
患者の親族への説明:「ベラルーシかウズベキスタンかキルギスのいずれかで、臓器移植を受けるが、臓器について生体はあり得ない。肝臓の状態がぎりぎりの数値だから、早くした方がよい」
男性は、2カ月後の去年1月にベラルーシに渡り、2月に移植手術を行いました。
費用として、3300万円を振り込んだといいます。
臓器移植について、菊池容疑者は…。
菊池容疑者:「(Q.腎臓や肝臓の移植は実績として何例ある?)170件ぐらいです。(Q.生体肝移植は?)生体はほとんどない。死体が標準。90%以上が死体です。臓器を仲介したり、あっせんすることは一切致しておりません」
臓器移植法では、生体以外から臓器移植のあっせんをする場合、国の許可が必要です。
今回の容疑で、菊池容疑者は、あっせんは認めていますが「海外の場合は、許可がいらないと思った」として、一部否認しています。
腎臓移植を申し込んだ男性:「金額も2300万円です。死体からちゃんともらうし、死刑囚からもらうものもあると。死刑囚は事前に契約をして、執行された時には臓器を提供しますと。遺族はお金をもらえるから、それはそれでハッピーなんだと話を受けました。(Q.食い違いはあった?)いっぱいありましたよ。合ってたことがない。ドクターはトルコ人とインド人で、移植で有名と聞いたが、実際はエジプト人。オペを受ける病院は、ウズベキスタンの国立病院と聞いたが、キルギスに移動。そこの病院は4階か5階建てのちっちゃいビルのワンフロア。実際、後で教えてもらったら、そこは泌尿器科と産婦人科だと」
移植について説明を受けた際の音声データがあります。
菊池容疑者とされる音声:「この世界やっぱりグレーゾーンとか秘密があるので、とにかく手術ができるまでは、オープンにしないでくださいと。帰ったらウズベキスタンで移植したという書類を作りますから。口が裂けても、生きている人からもらったって言ってほしくないんですよ。裏で金が動いてるんじゃないのかとか、貧乏な人から買ったとか言われますから」
この男性は移植手術を取りやめました。
また、帰国した移植患者の受け入れを依頼された、日本の病院は、信じられないような内容の書類を受け取っていました。
浜松医科大学(医療法学)大磯義一郎教授:「私どもの病院に送られてきた紹介状、診療情報提供書というものが、移植術後のフォローアップ依頼としては、信じられないような乏しい紹介状。診療経過が5行しかなくて、どこの国で、どこの病院で移植したのか全く分からない紹介状が送られてきた。病院として非常に驚いた」
そんな状態では、受け入れを断らざるを得ませんでした。
海外での臓器移植は、医療界でも大きな問題となっています。
大磯義一郎教授:「(国際的に)移植商業主義は、貧困層や弱者層のドナーを標的にしており、容赦なく不公平や不正義を導くため、禁止すべきであると。(患者には)命に関わる問題なので、緊急避難的に、そうした移植にわらにもすがってしまう気持ちは分からなくもない。そこの難しい問題が移植にはあることを踏まえたうえで、最大のネックはドナー不足の問題。そこに国民の理解が広まっていったら良い」
警視庁は、この団体が紹介した移植手術の実態についても、今後調べる方針です。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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