アメリカ上空に“スパイ気球” 中国が偵察?“即撃墜”できないワケとは(2023年2月3日)
アメリカ北西部の上空で撮影された映像です。国防総省はこの白い球体が中国のスパイ気球だとして追跡している事を明かしました。果たしてその正体とは。徹底分析しました。
突如、現れた“謎の白い球体”。目撃者たちは、異口同音にこうつぶやきます。
撮影者:「あれが月。少し輪郭がぼやけていて、やや曇天で雲が掛かっている。じゃあ、あれは一体、何なんだ?」
一体、何なんだ…。アメリカ北西部、モンタナ州ビリングスの上空で、月とは異なる白い球体が飛んでいるのが捉えられました。CNNがその正体について報じています。
CNN:「たった今、CNNに入ってきたニュースですが、アメリカ政府は中国のスパイ気球と思われるものを追跡しています」
謎の球体の正体は気球。それも中国が飛ばしたとみられる“スパイ気球”だというのです。ABCテレビはバス3台分ほどの大きさだと伝えています。よく見ると、何か機械のような物も付いています。
CNN:「国防総省は商業用、軍事用の飛行高度よりさらに上空で、商業飛行、軍事飛行のどちらにも脅威とはならないと言っています」
国防総省の報道官は、スパイ気球について「アメリカ政府として機密情報が収集されないよう直ちに行動した」と明かしました。CNNの軍事アナリストは“中国のスパイ気球”がアメリカ上空を飛ぶ危険をこう指摘します。
CNN軍事アナリスト、セドリック・レイトン退役大佐:「モンタナ州、ノースダコタ州、ワイオミング州には弾道ミサイルの基地や格納庫がある。彼らはそれらを見ることができるかもしれない」
アメリカの機密情報を狙っているかもしれないスパイ気球。すぐには撃ち落とせない訳があるというのです…。
アメリカで確認された、中国のものとみられるスパイ気球。なぜ、スパイ活動に気球が使用されたのでしょうか。
防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「人工衛星だと、アメリカはすべての衛星の軌道を把握しているので、例えば中国の衛星が通過するタイミングが分かっている。そのタイミングに合わせて情報を制限することができる。ただ気球を不意打ち的に飛ばすことができれば、より日常に近い情報を収集できる可能性はある。衛星より(高度が)低い所から撮るので、より精度が高い映像が撮れる」
そんなスパイ気球の目的として、基地から出る電波などの収集もあるといいます。
防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「基地の中で交信しているものや、基地の間であるとか、アメリカのICBM(大陸間弾道ミサイル)の基地はミサイルが広い範囲で点在している。そのコントロールのための電波がどのように出てるのかというのを見ようとした、そういう可能性も考えられます」
では、なぜ撃ち落としてしまわないのでしょうか…。気球の中に爆発物など何が入っているか分からず、破片が地上に落ちる危険があるというのです。
防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「破片を回収するために、大西洋に出てから撃墜することはあるかもしれない」
また、スパイ気球は遠く離れた中国から飛ばされた可能性があるといいます。
防衛省防衛研究所・高橋杉雄氏:「この気球は自分で進路を変えられるらしい。太陽電池と小型のプロペラか何かを積んでいれば進路は変えられるので、ある程度自分で進むべき所に飛んでいる」
アメリカ上空を飛ぶスパイ気球との関係は不明ですが、空に浮く“謎の球体”は日本上空にも現れているのです。2020年、宮城県や福島県の上空に“謎の白い球体”が現れました。警察や自衛隊が、誰が何のために飛ばしたか調べましたが分からなかったといいます。
街の人:「UFO?風船ですか?」「気球?」「あんなに高いの?」
また、2021年には岩手県でも目撃され、盛岡地方気象台は「正体不明」としました。専門家は、これら日本で目撃された“謎の球体”も中国からのスパイ気球だった可能性があるとしています。
アメリカ国防総省の高官が「中国のものだと確信している」と話すスパイ気球。2日、中国外務省が会見で言及しました。
中国外務省報道官:「気球の問題は現在確認中です。双方共に冷静に慎重に問題を処理してほしい」
アメリカ政府は、直ちに中国側と連絡を取り、中国大使館から話を聞いているということです。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
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