国債“空売り”で莫大な利益を…市場vs日銀の駆け引き 金融緩和策「現状維持」の背景(2023年1月18日)

国債“空売り”で莫大な利益を…市場vs日銀の駆け引き 金融緩和策「現状維持」の背景(2023年1月18日)

国債“空売り”で莫大な利益を…市場vs日銀の駆け引き 金融緩和策「現状維持」の背景(2023年1月18日)

日銀は18日、異次元の金融緩和の“現状維持”を決定しました。

発表された直後、円相場は一時、1ドル=131円台まで下落。日経平均の終値も、1カ月ぶりの高水準となりました。

SBIリクイディティ・マーケット、鈴木亮常務:「金融政策の現状維持は、日本の銀行の人たちは見込んでいたが、海外の人たちは引き締め方向に変更すると見込んでいたので、そこの認識の差がプライスの動きとして現れた」

金利の上昇を容認するという予測も出ていました。しかし、結果は現状維持です。

もし今回、長期金利の上限を引き上げていた場合、住宅ローンや企業が借入する時の金利も上がっていた可能性がありました。それらも全て現状維持になりそうです。

日銀は先月、金融緩和策を修正し、長期金利の上限を引き上げたばかりでした。

日銀・黒田東彦総裁:「必要あれば躊躇(ちゅうちょ)なく、追加的な金融緩和措置を講じます」

今回の日銀の現状維持について、ロイター通信は「この意外な決定により、円は他通貨に対し急落、債券利回りは過去数十年で最も低下した」と分析しています。

ブルームバーグは「日本が持続的な賃金上昇を伴う景気回復を達成するまで、日銀は刺激策を縮小しない。利回り上昇圧力に対抗するため、より多くの駆け引きに頼ることになりそうだ」と伝えました。

実は今回の会合を前に、日銀と市場の間で、激しい駆け引きが繰り広げられていました。

ことの発端は、前回の会合でのサプライズ。長期金利の上限を0.5%程度に引き上げたことでした。

この瞬間を虎視眈々と狙っていたのが海外の投機筋です。ロンドンに本社を持つヘッジファンドは…。

『ブルーベイ・アセット・マネジメント』ダウディング最高投資責任者:「日本国債の売り取引が成功したことで、年間売り上げ目標の約50%を達成できました」

ヘッジファンドに莫大な利益をもたらしたのは、日本国債の“空売り”。金利の上昇を見越して、去年の中頃から始めていました。

金利が上昇すると、逆に国債価格は下落します。価格が下がったところで買い戻せば、その分が利益となるカラクリです。

市場では、日銀が今回の会合で金融緩和策を修正し、金利がもっと上昇するのではないかとの観測が出ていました。

国債はさらに売られ、金利が上限の0.5%を上回る日が続いていました。

対する日銀は、金利上昇を抑えようと、国債を大量に買い入れ。購入額は今月すでに17兆円を超え、過去最多となっていました。

ダウディング最高投資責任者:「(Q.日銀との戦いに勝てるか?)まず戦いではありません。日銀にケンカを売る気は全くなく、変化を先読みしたいだけです。デフレは、数十年にわたって日本経済を襲った呪いで、日銀の緩和策は、その対策でしたが、終える時を迎えたのです」

日銀が“現状維持”とした背景には何があったのでしょうか。

テレビ朝日経済部日銀担当・進藤潤耶記者:「今回の決定を市場が不十分だとみれば、長期金利が0.5%に張り付いたり、超えたりするという声が広がっている。後任の新しい総裁の下で、政策を変えるとみる関係者が一定数いる。課題は明確と言われている。『10年結果を出せていない異次元緩和策を、どう正常な形に戻すか』不具合が出るたびに手当をしてきた、つぎはぎと表現する専門家もいる。課題を先送りせずに、一つ一つどう戻していくかに注目している。(Q.今回は先送りだったと)先送りしてきた政策・課題を、日銀が変えていかなければならないと市場は求めている」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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