【報ステ】「ウクライナ支援縮小も…」100年ぶり“異例事態”米議会混乱の意外な影響(2023年1月4日)

【報ステ】「ウクライナ支援縮小も…」100年ぶり“異例事態”米議会混乱の意外な影響(2023年1月4日)

【報ステ】「ウクライナ支援縮小も…」100年ぶり“異例事態”米議会混乱の意外な影響(2023年1月4日)

アメリカでは野党・共和党が下院で多数派を占める新しい議会が始まりました。

しかし、共和党が党内をまとめられず、下院の議長が決まらない“100年ぶりの異例の事態”となっています。

連邦議会下院は、先の中間選挙で共和党が過半数を占めています。本来なら、これでマッカーシー下院議長誕生のはずでした。

しかし、結果は過半数に届かず。2回目も過半数に届きません。3回目でも過半数に届かず、議長選出の投票は延期されてしまいました。

マッカーシー陣営は、これから作戦の練り直しです。

CNN、アンダーソン・クーパー:「マッカーシー氏の事務所に大量のピザが届いていますが、3回の屈辱的な議長選の後では胸焼けをおこすかもしれません。マッカーシー氏は4日正午、再び過半数獲得を試みます」

今回、造反した共和党議員は20人います。なぜマッカーシー下院議長ではだめなのでしょうか。

造反した共和党、ロイ下院議員:「我々に必要なのは変革です。国民が既成政治の犠牲としないように、リーダーシップと政策が欠かせません」

造反した共和党、ゲーツ下院議員:「マッカーシー議員は、我々が出した条件を拒否しました。テキサス議員団がまとめた、国境警備強化策も拒否したんです」

20人の議員の中には、トランプ前大統領と近かったり、政治信条が似ている人が多いという特徴があります。

ニューヨーク・タイムズによりますと、造反した20人のうち、17人が中間選挙でトランプ前大統領の推薦を受けていました。

また、12人が「2020年の大統領選は無効だった」と主張しています。

そして、19人が共和党内の強硬派グループに関わっています。

トランプ前大統領とマッカーシー院内総務は、共闘してみたり、反目してみたり、微妙な距離感です。

共和党下院、マッカーシー院内総務(2021年1月):「トランプ大統領は、暴徒による議会襲撃の責任を負い、議会襲撃の様子を見て、直ち暴徒を非難すべきでした」

一発で下院議長が決まらなかった事例は、100年以上前には何度もあり、過半数獲得まで133回も投票が繰り返されたこともあります。

ただ、異常事態であることは言わずもがなです。

共和党下院、マッカーシー院内総務:「(Q.議長選からの撤退は?)まさか。体調でも悪いの?私は、議会で最も長い演説をした記録を持っています。議長選で史上最多の投票回数になっても構いません」

【米議会の混乱 今後の影響は…】

◆ワシントン支局・梶川幸司支局長

(Q.現在の状況はどうなっていますか?)

下院では4時間後に、議長を選ぶ4回目の投票が行われる見通しですが、4日中に決着がつくのか、何回やれば終わるのか、全く予断を許さない状況です。

マッカーシー氏は3日夜「トランプ氏から電話を受けて、支持を取り付けた」と話すなど、説得工作に余念がありませんが、造反議員の決意は固いようで、こうした切り崩しが上手くいくかは分かりません。

保守強硬派の造反議員の翻意を促すため、彼らが求めている政策、例えば「小さな政府」「アメリカ第一主義」といった政策の実現を条件として示すなど、彼らの面子を立てる“取引”が残されています。

(Q.“取引”とは、どのようなものですか?)

懸念されるのは、ウクライナ支援の縮小です。

というのも、造反議員の多くは、ウクライナに巨額の支援を続けることに批判的な発言をしてきています。

先月、この議事堂にゼレンスキー大統領が来た時も、造反議員の多くは欠席したり、ツイッターで批判を書いたり、出席しても拍手も立ち上がりもせず、スマートフォンを見ながら、無言の抗議を示す光景も見られました。

マッカーシー氏は、造反議員の主張を知っていますので、これまでに2回「ウクライナに白紙小切手は切らせない(=無制限にお金は渡さない)」と公言してきましたが、さらに踏み込んだ対応を示す可能性があります。

ただ、造反議員に配慮するあまり、ウクライナの“生命線”とも言える、アメリカの巨額の軍事支援が今後、縮減することにつながるのかが、注目されます。

(Q.アメリカ議会の異常事態は、今後どうなると予想されますか?)

共和党は下院の多数を握ることができましたが、わずか20人の造反で、議長さえ決められない事態になり、議会をコントロールする力がないことがあらわになりました。

これを外交面で見てみると、懸念されるのは中国との向き合いになると思います。

共和党は「バイデン政権の対中政策は弱腰である」として、今の議会でも、新しい特別委員会を立ち上げて、中国問題を集中的に議論し、「中国に厳しく向き合っていく共和党」をアピールするはずでした。

民主党のペロシ前議長が台湾を訪問したので「共和党から選出される新しい議長も当然、台湾を訪問すべきだ」という空気も根強くあります。

三権分立の中で、バイデン大統領が口を出せない議会で“対中強硬論”に拍車がかかった場合、共和党に事態をコントロールする力があるのかというところに、今回問題が出てきたと思います。

共和党の混乱は、日本にとって、米中対立や台湾問題といった形で影響を及ぼす恐れもあります。 (C) CABLE NEWS NETWORK 2023
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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