【ウクライナに戦車供与】許可躊躇の“ドイツに包囲網”米国の戦略は◆日曜スクープ◆(2023年1月22日)

【ウクライナに戦車供与】許可躊躇の“ドイツに包囲網”米国の戦略は◆日曜スクープ◆(2023年1月22日)

【ウクライナに戦車供与】許可躊躇の“ドイツに包囲網”米国の戦略は◆日曜スクープ◆(2023年1月22日)

 膠着するウクライナの戦況打開に貢献するとされる独製主力戦車の供与を巡り、ドイツの許諾可否の行方に注目が集まる。ドイツ西部ラムシュタインで20日、約50カ国の代表が参加し、ウクライナへの軍事支援を話し合う国際会議が開かれた。領土奪還を目指すウクライナに対し、欧米が攻撃性に優れる主力戦車の供与を検討するだけに、供与承認を巡るドイツの判断に注目が集まった。

 焦点となったドイツ製戦車「レオパルト2」の供与について、最終的に結論には至らなかった。オースティン米国防長官は、「ロシアが兵力増強する今が正念場」と述べ、支援に躊躇ない姿勢を示した。保有国からの戦車供与の許可を求める声が高まっていることに対し、ピストリウス独国防相は、判断の躊躇を否定したうえで、「レオパルト2の許諾を巡る長短のバランスを慎重に考慮している」と説明した。一方、ゼレンスキー大統領は「戦車以外の選択肢がないことは日々、明らかになっている」と述べ、戦車供与の必要性を強調した。

 最強の戦車と評される「レオパルト2」は、火力・装甲・機動力の全てが、世界トップクラスの性能を誇る。欧州15カ国は約2300台を保有する。防衛省防衛研究所の山添博史氏は、欧州各国が同戦車を採用する理由として、「欧州標準の仕様に設計され、平原での戦闘に適している。ディーゼル・エンジンを駆使するため燃費効率もよい」と有用性を指摘する。だが、同戦車の外国移転には、製造国であるドイツの許可が必要条件となる。ポーランドのモラウィエツキ首相は、「ドイツが再輸出に同意しない場合、承認を得ずにウクライナに戦車を送ることを厭わない」と強硬姿勢を示した。

 今回の国際会議を主催するオースティン米国防長官は、「戦闘激化が予想される春までの間にそう長い時間はない」と述べ、早期の「レオパルト2」の供与実現に強い意欲を示した。ロシアによるウクライナへの大規模攻撃が春までに展開されることを警戒している。明海大学の小谷哲男教授は「アメリカは戦車供与でロシアの部隊を確実に撃破できるよう、ウクライナの戦い方を変えたいと考えている」と米国の思惑と戦略を解説する。

 侵攻前の戦車保有台数は、ウクライナ軍が987台、ロシア軍は3417台で、ロシアが圧倒的な優位性を維持している。既に、ウクライナ軍が450台、ロシア軍は1634台の損失を出している。ウクライナのサルジニー総司令官は、戦況打開のために、戦車「レオパルト」300台の供与を要請する。

 一方、加速する欧米の軍事支援に対し、ロシアのメドベージェフ安全保障会議副議長は19日、「通常兵力によって核保有国が敗北させれば核戦争を引き起こす可能性がある」と牽制した。

 ミリー米統合参謀本部議長は20日、会議後の会見で、ウクライナでのロシアによる占領地域について、「今年中に全てのロシア軍を追い出すのは非常に困難だ。戦場の動向ではなく交渉で終結する可能性がある」と述べ、長期戦は不可避との認識を示した。ロシアと米国の安全保障に精通する識者とともに、ドイツ戦車供与の許諾可否を巡る展開を考察する。

★ゲスト:山添博史(防衛省防衛研究所)、小谷哲男(明海大学教授)
★アンカー:片山善博(大正大学地域構想研究所所長)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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