自動運転バスで“少子高齢化の町”激変…GAFA超えろ!37歳・日本人社長の挑戦(2022年12月30日)
「少子高齢化」が進み、人口減少が止まらない日本。しかし「少子高齢化」という逆境をバネに、自動運転で世界を変えようとする町が注目されています。何が起こっているのか、町を取材しました。
■“少子高齢化”の町を変えた「自動運転」
スペースXで、宇宙へ乗り出すイーロン・マスク氏(51)。テスラをヒットさせ、自動運転も実現。時価総額では、トヨタを超えました。
そのテスラを凌ぐ自動運転を実用化している町があります。
茨城県境町、人口2万4000人。少子高齢化の町で、どう自動運転を実現させているのでしょうか。
やってきたのは、「小さなバス」です。これのどこが、世界一進んだ車なのでしょうか?
このバス、運転しようにも運転席がありません。一体、どうやって走らせるのでしょうか。
発車ボタンを押しただけです。進む、止まる、曲がる。どれも自動です。時速は20キロ。確かに運転手なしで、走っています。
乗務員:「(Q.事故は、今まであったんですか?)自動運転の事故はない」
バスは決められた4キロのコースを走ります。役場、病院、銀行、学校、道の駅など、一日18便ものバスが動き回っています。
なんと、2年前からすでに定期運行を行っているということです。
これまでの利用者は累計1万2000人以上。町中を走る姿も、すっかり馴染んでいます。バス停に止まると、後続車が追い抜いていきます。
乗客(80代):「やっぱり病院とか、銀行のお金おろすとか、こういうのあったら助かりますね」
もはや住民にとって、自動運転バスは当たり前の風景となっていました。
一体、どうやって「降りたい場所」を知らせるのでしょうか?
乗務員:「エレベーターと同じように、行きたい場所を選びます」
エレベーターのように乗れるバス。さらに去年からは、LINEでバスを呼べるオンデマンドの運行も試験的に始まりました。まさに、車がいらない環境を作り出しているのです。
利用者(75):「子どもさん連れた親が喜んでね。お母さんが子どもに『あなたたち、これからこういう時代があるのよ』とか言って。そういう点でも、ありがたいなと思ってます」
中には、こんな人もいました
利用者(75):「私75歳になったのね。これを機に、(免許)返納しようかなと思っています」
この町に、日本の未来の姿が見えました。
アメリカのアリゾナ州フェニックスや中国・北京でも自動運転タクシーが走っていますが、より地域住民に寄り添った実用的なシステムなのです。
■自動運転の“ニーズ最先端”は日本の田舎
さらに私たちは、この安全運行を支える裏側に迫りました。
乗務員だった男性は、なんと社長でした。佐治友基さん(37)です。
BOLDLY 佐治社長:「遠隔監視システムを使って、この町の自動運転バス3台を見守っています」
スマートフォンの営業をしていた佐治さんは社内ベンチャーの会社を設立。その時から、巨大IT企業を意識していました。
佐治社長:「グーグルとかアマゾン、名だたる世界中の自動車メーカーが、自動運転の開発競争を繰り広げてるんですけども。私は最初から自動運転バスと、大型のバスと決めてまして。アメリカとか中国よりも、実は自動運転を一番欲しているニーズの最先端は日本の田舎」
佐治さんは「少子高齢化の町」と「自動運転バス」のマッチングこそが、巨大企業を超える方法だと初めから考えていたのです。
佐治社長:「そこで問題を解決できれば、日本での成功モデルを(世界に)横展開できる」
人口減少に歯止めを掛けたい境町と会社の思惑が一致、「少子高齢化」が進む町だからこそ自動運転が成功したのです。
■年間“7億円”の経済効果試算も
この町から生まれたイノベーションは、すでに国や世界を動かしています。
茨城・境町 橋本正裕町長:「海外からも視察に、この間もドイツから来られた。経済効果が生まれていて、我々の試算だと年間7億円くらい」
境町の成功を受け、国土交通省や警察庁も、来年4月からの法律改正に動きました。自動運転バスを取り巻くすべてのものが、未来へ向かっているのです。
人口減少対策総合研究所・河合雅司理事長:「皆で力を結集していくことをやっていく意味においても、地方のほうがやりやすい。少子高齢化、これが逆にステップアップするためのキーワードになる」
(「グッド!モーニング」2022年12月30日放送分より)
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>
コメントを書く