新型コロナ『5類』へ見直し検討…現場医師「既存の分類と当てはめるのは難しい」(2022年12月28日)

新型コロナ『5類』へ見直し検討…現場医師「既存の分類と当てはめるのは難しい」(2022年12月28日)

新型コロナ『5類』へ見直し検討…現場医師「既存の分類と当てはめるのは難しい」(2022年12月28日)

28日の全国の新型コロナウイルスの感染者数は21万6219人でした。第7波の26万人まではいきませんが、増え続けている状況です。一方、死者数は415人と、初めて400人を超えました。これまでの傾向では、感染の波から、やや遅れて死者数が増えています。

◆大阪大学医学部の忽那賢志教授に聞きます。

(Q.この死者数の多さをどう見ればいいのでしょうか)
病原性は変わっておらず、高齢者や基礎疾患を持つ人が多いということも変わりません。感染者数自体が多いため、それに合わせて死者数も増えている状況だと思います。現在の感染者数の規模自体は、第7波に近づいていますが、全数把握の仕組みが変わったことで、実際には、それ以上の感染者がいると考えられます。例えば、風邪の症状はあるが、検査を受けずに診断されていない人もいるのではないかと思いますので、そうした人も含めると、実際の感染規模は、もっと大きいと考えられます。

(Q.“ただの風邪”と言う人もいますが、厄介な感染症には変わりないということでしょうか)
オミクロン株になって、重症度は下がり、一人ひとりにとって、以前ほど恐れるべき感染症でなくなってきたことは事実だと思います。致死率も、最初は5%くらいでしたが、0.2%まで下がっていて、インフルエンザ並みになり、怖くないと思っている人は多いかもしれません。ただ、亡くなっている人が、今年だけで3万人以上います。インフルエンザは、年間、多くても数千人ですので、規模が大きい。また、コロナは年間に何度も流行を起こしますし、後遺症の問題もあり『風邪相当』とは言えない状況だと思います。

厚生労働省は、来年4月をめどに、『2類相当』から『5類』に引き下げる方向で検討に入りました。詳しい内容は、これから議論するとのことですが、もし『5類』となると、次のような懸念が挙げられます。
入院勧告や就業制限がなくなります。陽性者も行動制限がなくなり、感染拡大リスクが増えます。
入院は、指定医療機関から一般医療機関に。公費負担がなくなるかもしれません。医療費の一部自己負担、ワクチンも有料になる可能性があるため、受診控えや接種控えが起こることも考えられます。

(Q.現場を診てきた医師として、こうした議論をどう感じますか)
どこの病院でも診れるようになるということですが、自治体に病床確保の権限がなくなりますので、行政が入院調整する法的根拠がなくなることで、逆にどの病院もコロナ患者を診なくなることがあり得ます。そうしたことを避けるために、事前に自治体ごとに、診療所、病院ごとの役割を調整しておく必要があると思います。自己負担の問題ですが、重症化リスクのある人が、ワクチン接種や治療を控えてしまうことで重症化する人が増えてしまう可能性もあると思います。やみくもに公費を使うわけにはいかないが、どうすればしっかりワクチン接種は行いつつ、適切な治療薬の提供も健全な形で継続させることができるか、考えなくてはならない難しい問題だと思います。

(Q.単純に『5類』に当てはめればいいという簡単な話ではないということでしょうか)
新型コロナは100年に一度のパンデミックともいわれ、既存の感染症と同じ分類に単純に当てはめるのは、難しいところがあるのではないかと思います。新しい分類を作るなど、新型コロナに合わせた行政上の建てつけを考えたほうが、混乱は少ないように思います。例えばワクチンや治療薬にしても、全て自己負担にするのではなく、重症化リスクの高い人は負担を少なくするとか、現実に即した仕組みを考えたほうがいいのかなと思います。
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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