【危険】「湿った雪」凶器に 雨から再び雪へ“雪の重み”に警戒(2022年12月22日)

【危険】「湿った雪」凶器に 雨から再び雪へ“雪の重み”に警戒(2022年12月22日)

【危険】「湿った雪」凶器に 雨から再び雪へ“雪の重み”に警戒(2022年12月22日)

 雪が溶けたうえにこの後来る寒波が重なると私たちの生活にどんな危険が起こるのでしょうか。雪が凶器に変わる瞬間について専門家に聞きました。

 大規模な車の立ち往生が起こった新潟が22日は雨に見舞われました。

 防災科学技術研究所、雪氷防災研究センター・中村一樹センター長:「今は幹線道路に関しては路面が出ていて濡れている状態」

 そうなると怖いのが道路の凍結です。今回のように一度溶けた雪が凍結した場合、こんな状況になる危険性があります。

 防災科学技術研究所、雪氷防災研究センター・中村一樹センター長:「舗装の所が凍っていて黒く見えるのがブラックアイスバーン」

 ブラックアイスバーンの映像です。積もった雪がそのまま凍結した場合、道路は白く見えますが、溶けた雪が凍った場合、当然アスファルトの色になります。そしてブラックアイスバーンの道路と濡れた道路の比較ですが一見、見分けがつきません。つまり濡れた道路と思って侵入すると凍った道路だった、という危険性になるわけです。

 歩行者の場合も同じです。街中で大雪が降った後、除雪したアスファルトの部分の水分が再凍結し、歩行者が滑ってしまうことがよくあります。なかにはその方が歩きやすいのか、わざわざ雪の上を歩く人も。

 凍った道路だと見分けがつきにくいだけではありません。JAFの実験動画ですが、時速40キロで急ブレーキを行った場合、雪道の場合は停止するまでおよそ20メートル。同じ条件でブラックアイスバーンの状態で急ブレーキを掛けると、停止するまでおよそ70メートル。3倍以上の距離が必要でした。ただし、専門家は今後の気象条件を踏まえて…。

 防災科学技術研究所、雪氷防災研究センター・中村一樹センター長:「ブラックアイスバーンとかになるよりは雪がどんどん積もっていく方向になる。除雪が進んでいない中での雪になるので、かなり進行がしづらくなったり、『スタック』の危険があるということ」

 大規模立ち往生の原因とされるタイヤが空転して進めなくなるスタック現象。23日以降の大雪で再びスタック多発の状況になる危険性があるそうです。NEXCO東日本では23日からの大雪で早くも通行止めの可能性があることをホームページで緊急発表。不要不急の外出を避けるように国土交通省の担当者とともに会見で呼び掛けました。

 国土交通省・北陸地方整備局:「大雪時の道路利用のお願いということで国土交通省から道路事業者の皆様へ広くお願いするものであることをご理解頂きたい」

 そのほか、NEXCO西日本でも通行止めの可能性を発表しています。

 雪から雨。そして再びの降雪による危険は道路だけではありません。増加するのは、落雪による事故。さらに、増しているのは雪の“重み”です。危険が増しているのは、屋根から雪崩のように次から次へと雪が落ちてくる落雪です。毎年、屋根から落ちてきた雪に巻き込まれるという事故が後を絶ちません。そして、特に注意しなければならないのが雪の後に雨が降り、その後、また雪が降る。まさに、これから日本各地で迎える天候なのです。

 防災科学技術研究所、雪氷防災研究センター・中村一樹センター長:「先日、雪が降ってその上に雨が降って、気温が上がって雪が溶けた状態、湿った状態になっているんですね。さらにその上に雪が積もると濡れた状態の上にさらに重くなるので屋根から落雪の危険性が増す」

 屋根に積もった古い雪は雨により溶けたり、水分を含んだ状態になります。すると雪と屋根の間に水の層ができ、滑りやすくなっているうえに、さらに雪が積もることで重くなり、下に落ちる力が増していくのです。

 防災科学技術研究所、雪氷防災研究センター・中村一樹センター長:「それから屋根から少し張り出した雪庇(せっぴ)というものができているところもある。そういう所も雪が濡れた状態になると落ちやすくなるので雪庇の崩落も留意すべき」

 地面を揺るがすような轟音(ごうおん)とともに屋根から一気に滑り落ちる雪。これがもし、人に直撃したら。防災科学技術研究所では、2階の高さから30キロの雪を落とす実験を行っています。結果は、木箱が真っ二つに割れるほどの威力です。特に雨が降ると雪の重みは増すと言います。

 防災科学技術研究所、雪氷防災研究センター・中村一樹センター長:「雪が降った後、雨が降るので雪がスポンジのような性質を持っているから雨が雪の中にしみ込んでいる状態。その上に雪が積もるのでさらに重くなる」

 恐ろしいのは、雪の重みによる建物の倒壊です。富山県で、建物が倒壊していく様子を捉えた映では、ガタガタと不気味な音を響かせながら雪の積もった建物が跡形もなく崩れ落ちました。倒壊の瞬間が映された家屋はどれも空き家でしたが、近年は市街地にも空き家が増え、専門家も雪による倒壊を懸念します。

 防災科学技術研究所、雪氷防災研究センター・中村一樹センター長:「特に集中的に雪が降ってくるような状況になると、そのエリアでは建物の管理はしっかりしていった方がいい」
[テレ朝news] https://news.tv-asahi.co.jp/a>

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